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通訳の方法・種類・ランク

ミーハングループは同時通訳にも対応する通訳・翻訳会社です。今回の記事では、通訳の方法や種類、ランク等について、過去に掲載した記事からの情報等を抜粋しつつ、再度ご紹介したいと思います。

通訳とは

まず、そもそもの話ですが「通訳」とは何でしょう?

通訳及び通訳者とは、異なる言語を話す人々の間に立って、双方の言葉を話したり、手話などを用いて、お互いの意思の疎通・コミュニケーションをサポートする行為または人を指します。

つう‐やく【通訳】・コトバンク

デジタル大辞泉
[名](スル)異なる言語を話す人の間に立って、双方の言葉を翻訳してそれぞれの相手方に伝えること。また、その人。「ドイツ語を通訳する」「同時通訳」[類語]通事・通弁

精選版 日本国語大辞典
〘 名詞 〙 異なった国語を話す人や言語の不自由な人などの間にたって、訳して、互いの意思を通じるようにすること。また、その人。通弁。通事。

https://kotobank.jp/word/%E9%80%9A%E8%A8%B3-570665

近年では通訳者のことを「通訳士」と呼ぶケースもある様ですが、こちらは一般的に「全国通訳案内士(観光ガイド)」や、厚生労働省認定の「手話通訳士」などを指すことが多い様です。

因みに通訳案内士を含む、様々な言語を用いて海外からの観光客の国内旅行を案内する通訳ガイド制度は、2018年1月4日に施行された改正通訳案内士法により、現在は以下の様な仕組みになっています。

通訳ガイド制度(国土交通省・観光庁)

  • 全国通訳案内士とは
    全国通訳案内士は、通訳案内士法において「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」とされています。
    全国通訳案内士は国家試験に合格した方であって、高度な外国語能力や日本全国の歴史・地理・文化等の観光に関する質の高い知識を有する者であり、「全国通訳案内士」として都道府県の登録を受けた方々になります。
  • 地域通訳案内士とは
    地域通訳案内士は、特定の地域内において、「報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。)を業とする。」とされています。
    地域通訳案内士は、特定の地域において、その固有の歴史・地理・文化等の現地情報に精通した者であり、各自治体が行う研修受講を通じて「地域通訳案内士」として登録を受けた方々になります。
  • 通訳案内士の資格を持たない方
    全国通訳案内士や地域通訳案内士の資格をもたない方であっても、今般の法改正により、有償で通訳案内業務を行うことが可能になりますが、その場合、全国通訳案内士や地域通訳案内士、又はこれに類似する名称を使用することができません。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/tsuyaku_guide/index.html

また「手話通訳士」は、手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)に合格し、手話通訳士として登録を行った人を指します。

手話通訳士について(厚生労働省)

手話通訳士とは、「手話通訳を行う者の知識及び技能の審査・証明事業の認定に関する省令(平成二十一年三月三十一日厚生労働省令第九十六号)に基づき、手話通訳技能について審査・証明事業を行う法人として、厚生労働大臣が認定した「社会福祉法人聴力障害者情報文化センター」が実施する手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)に合格し、手話通訳士として登録を行った者であり、手話を用いて聴覚障害者と聴覚障害を持たない者とのコミュニケーションの仲介・伝達等を図ることを業とする者をいう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30553.html

日本では、異なる言葉を話す人々のコミュニケーションをサポートする「通訳者」と、聴覚障害者と聞こえる人とのコミュニケーションをサポートする「手話通訳者」は、別の組織に分類される事が多い様ですが、海外、例えば弊社代表で通訳者の右田アンドリュー・ミーハンも会員の AIIC(国際会議通訳者連盟)には、2012年に国際会議も担当する手話通訳者 第1号が参加。2023年の時点では、16言語の手話に対応する手話会議通訳者がAIICのメンバーとなっています。(残念ながら、日本の手話に対応する通訳者は未登録との事です。)

通訳の方法
(通訳形態)

通訳の方法(通訳形態)としては、大きく2つの種類を挙げることが出来ます。それが「逐次通訳(ちくじつうやく)」と「同時通訳(どうじつうやく)」です。

逐次通訳
(ちくじつうやく)

「逐次通訳(ちくじつうやく)」とは、話者の話が一区切りついたら、その内容を都度=逐次(ちくじ)訳す通訳のスタイルになります。

以下画像は、2023年3月 G7広島サミット2023 を前に行われた、日本学術会議が主催する Gサイエンス学術会議2023(G-Science Academy / S2023)での提案を、直接岸田首相(当時)に渡す手交式の様子になります。

この時、通訳を務めた弊社代表の右田アンドリュー・ミーハンは、画面向かって左側に座るGサイエンス学術会議2023(G-Science Academy / S2023)のメンバーの少し後ろに座って、逐次通訳を行いました。

一般的に通訳と言えば、海外の有名映画俳優やミュージシャン、政治家や企業の偉い人、セレブリティの隣に立っていたり、近くに座って通訳する姿をイメージすることが多い気がします。

この様に、実際に通訳者が訳している姿を目にする場合、行われている通訳のスタイルは「逐次通訳」であることが多いです。

コチラは、2023年3月17日 第4回野口英世アフリカ賞の受賞者らが福島を訪問した際に、弊社代表の右田アンドリュー・ミーハンが同行し、逐次通訳(日⇔英)を行っている様子になります。

同時通訳
(どうじつうやく)

同時通訳は、大勢の人が参加するカンファレンスや国際会議、またはテレビやラジオの放送等にて用いられる事が多い通訳のスタイルで、話者(スピーカー)が話すのとほぼ同じタイミングで通訳者が言葉を訳し、話の内容を人々に伝えます。

「同時通訳」の場合、会見の壇上や話者(スピーカー)の隣や近くなど、人から見える位置に通訳者が居る事はほとんどなく、会場内に設置されたブースやスタジオ等にて通訳する事が多いです。

こちらは2021年 7月3日開催 ラグビー日本代表テストマッチ2021 アイルランドvs日本  (スポーツテレビ局 J SPORTS 放送)にて、弊社代表通訳の右田アンドリュー・ミーハンが同時通訳を行った時のスタジオの様子です。

国際会議などでの「同時通訳」の場合は、通訳者は「通訳ブース」と呼ばれるブースの中でモニター等を見つつ、ステージ上で話者(スピーカー)が話すのと「同時」に、話の内容を通訳します。

こちらは、先日2026年10月12日から18日まで タイ・バンコクで行われた 国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会 / The 2026 Annual Meetings of the International Monetary Fund and the World Bank Group 及び、10月15日 同総会内で開催された 第114回 世銀・IMF合同開発委員会 / The 114th WB/IMF Development Committee にて、右田が英日/日英 同時通訳を担当した時の同時通訳ブース内の写真になります。

そして以下写真は同会議にて使用された同時通訳用の簡易ブースになります。

同時通訳のブースは、常設ブースがある会場もありますが、ない場合は簡易ブースが設置されます。ブースの設置及びブース内の機器は、音響機器等の専門会社が用意・運営する事が多いです。

常設の同時通訳ブース・一例

常設の同時通訳ブース・一例

常設の同時通訳ブース内・一例

同時通訳の歴史

同時通訳は、1945年11月20日 第二次世界大戦において、ドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判「ニュルンベルク裁判」で公式に採用されました。

英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語で行われたこの裁判は、話者の話が終わった後に通訳をする「逐次通訳」では膨大な時間がかかる為、それまで非公式な場で実験的に行われて いた「同時通訳」が、始めて公式に採用されたのです。

日本における初めての同時通訳は、一般的に、1950年(昭和25年)に行われたMRA (Moral Re-Armament)世界大会で、西山千氏と相馬雪香氏によって行われたとされていますが、一方で、1946年(昭和21年)3月に東京外事専門学校の大谷敏治教授らが、専用の受話器やマイク装置を使用して実施した記録も残されているとのこと。

昭和21年3月の同時通訳 水野 的 / JAITS

1969年7月20日 アポロ月面着陸をNHKがテレビ中継をしたさいに、同時通訳を西山千氏が担当。これによりお茶の間にも「同時通訳」または通訳者と言う存在が知られる様になったと言われています。

アポロ月面着陸と同時通訳【小松達也アーカイブス 第2章】(2020-10-02 サイマル・インターナショナルが運営するWebマガジン 通訳・翻訳ブック)

ウィスパリング通訳・
リレー通訳

通訳の方法としては、このほかに「ウィスパリング通訳」と「リレー通訳」があります。

ウィスパリング通訳

ウィスパリング通訳とは、話者が話している内容を通訳者が同時に訳し、話を聞いている相手のそばで、whispering つまり「ささやき声」で伝える方法になります。

逐次よりもスピーディーに、話者が話しているのとほぼ同時に内容を理解する事ができ、かつ大規模な機材等が必要ない通訳方法ですが、ささやき声で「訳」を伝える為、聞く人が少人数に限られた、例えば小規模な商談や少人数の政府高官が参加する会談等にて用いられる事が多いです。

リレー通訳

「リレー通訳」は、同時通訳で、複数の言語を訳す場合に用いられる方法です。様々な国や言語の人々が参加する、例えばサミットの様な国際会議等で用いられる通訳方法です。

リレー通訳の「リレー」は英語の Relay に由来し、運動会などで行うバトン等を次々と受け継いで走るリレー走の「リレー」と同じ意味になります。

リレー通訳では、話者(スピーカー)が話した言語を、まず「ピボット言語」と呼ばれる言語に訳します。ピボット言語は会議ごとに設定されますが、多くは英語です。

通訳者は「ピボット言語」に訳された内容を、それぞれの言語に訳して相手に届けます。

例:ピボット言語が「英語」の場合

  1. 日本語話者が日本語で話す
  2. 日本語を日/英通訳者がピボット言語の英語に訳す
  3. 英語に訳された内容を各言語の通訳者がそれぞれの言語に訳す
  4. フランス語話者が日本語話者にフランス語で質問する
  5. フランス語の質問を仏/英通訳者が英語に訳す
  6. 英語に訳された質問を各言語の通訳者がそれぞれの言語に訳す
  7. 日/英通訳者が日本語に訳した質問に日本語話者が答える

一方、英語話者に対して他言語の話者が質問をする場合は「ピボット言語」を介したリレーが行われます。

例:話者が英語で話す場合

  1. 英語話者が英語で話す
  2. 話の内容を各言語の通訳者がそれぞれの言語に訳す
  3. ドイツ語話者が英語話者にドイツ語で質問する
  4. ドイツ語の質問を独/英通訳者がピボット言語の英語に訳す
  5. 英語に訳された質問を各言語の通訳者がそれぞれの言語に訳す
  6. 英語に訳された質問に英語話者が答える

ウィスパリング通訳やリレー通訳も含む同時通訳、及び逐次通訳については、以下記事でも詳しく紹介しています。ご興味のある方は、併せてチェック頂ければ幸いです。

通訳の種類

通訳には、通訳の方法(通訳形態)の他に通訳する場(分野)による種類がありますが、多様化している為、ここでは代表的なモノを幾つかご紹介したいと思います。

放送通訳

放送通訳は、テレビやラジオ等のマスメディアで放送される通訳を主に指しますが、最近ではインターネット等での配信も含まれる場合もあります。

生放送は同時通訳にて行われることが多いですが、録画を見ながら通訳をする「時差通訳」を、放送通訳ではする事もあります。

時差通訳とは、例えばアメリカで数分または数時間前に放送された映像を録画し、通訳者がそれを見てサッと翻訳した上で、日本での放送時に英語の音声にあわせて通訳する方法を意味します。

しかし放送時間に余裕がある場合は、録画を字幕翻訳者が見て訳し、字幕を作成して映像に表示したり、アナウンサーや声優が翻訳した原稿を読む(吹き替える)ケースもあります。

スポーツ通訳
アテンド通訳

来日したアーティストやセレブ、スポーツ選手に同行して記者会見やインタビュー、テレビ出演などでの通訳に対応する通訳者のことを主に指します。

※アテンド通訳(随行通訳)は、海外からの訪問者に同行して通訳を行う人全般を指す場合もあります。

スポーツ選手やアーティストに同行して通訳を行う通訳者は、同じスポーツ経験者など業界事情に詳しい人、またはアーティストから指名された人が務める場合が多々あります。またスポーツの場合、チームや選手個人が雇う専任の通訳者が対応する事も多いです。

会議通訳 他

通訳者を必要とする業界や業態、または「場」は、本当に多種多様かつ細分化されていますので、以下分類は大枠として捉えて頂ければ幸いです。また通訳者も、特定の分野に特化した人もいれば、幾つかの分野を横断的に対応する人もいます。

  • 外交通訳
    国際会議を含む、政治的な場面での通訳を担う。随行通訳(リエーゾン通訳)と呼ばれる通訳者の場合、国家元首や政府高官等に同行し、通訳を務める。
  • 会議通訳
    国際会議などでの通訳の場合は、基本的に同時通訳のスキルがある通訳者が対応する事が多い。
  • 商談通訳 / ビジネス通訳
    企業内やビジネスの場での通訳を担う。社内に通訳者が在籍する場合もあれば、その都度フリーランスの通訳者に依頼する場合もある。
  • 司法通訳
    捜査も含む警察案件をサポートする「警察通訳」と、裁判のサポートをする「法廷通訳」に分れる場合もある。
  • 医療通訳
    診察等にて通訳を行う他、医療の場全般で通訳を担う
  • コミュニティ通訳
    公共の場や生活全般をサポートをする通訳。医療や司法通訳も含む場合もある。

通訳スキル ランク

通訳のスキルランクについては、海外と日本では少し事情が異なります。

海外の場合

海外の場合は大きく分けて senior interpreter と junior interpreter の2種類のレベルに分けられます。

Senior interpreter は、経験豊富で高度な通訳スキルを持つ通訳者の事を指し、専門用語に熟知しており対応分野も広く、通訳チームの統括などリーダー的な役割を担う事も出来る人を意味します。同時通訳に対応可能なのも senior interpreter です。

Junior interpreter は、経験の浅い通訳者のことを指し、時には「見習い中」の人も含まれます。また、専門的な知識や経験は浅いものの、特定の分野やイベントに特化した通訳を担当する事が可能な通訳者を junior interpreter と呼ぶ場合もあります。

因みに、弊社代表で通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは senior interpreter になります。

日本の場合

日本の場合は、通訳者のスキルランクが細かく設定されている場合が多いですが、統一した基準は特になく、呼び方やランク付けは通訳会社等によって微妙に異なります。

NPO法人 通訳技能向上センター(CAIS)が運営している ビジネス通訳検定(Test of Business Interpreting Skills・略してTOBIS)では、通訳者のスキル ランクを以下基準にて、1~4級に分類しています。

https://www.cais.or.jp/tobis/exam より

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