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警察通訳人について

「警察通訳人」をご存知ですか?読んで字のごとく警察で発生する様々な業務において、通訳を務める人の事を指します。現在マンガ「東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー」でも取り上げられている、この「警察通訳人」について、今回は少しご紹介したいと思います。

警察通訳人とは

警察通訳人は何をするのか? これを知るのにはピッタリなマンガが、少女・女性マンガアプリPalcy(パルシィ)にて、2021年6月20日より連載されています。

タイトルは「東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー」。国際捜査係と警察通訳人の2人の物語がマンガでは描かれています。

『東京サラダボウル』
あらすじ

破天荒な女性捜査官とゲイの警察通訳人の最強バディ!

昼下がりの公園で警察通訳人の有木野が出会ったのは、ミドリ頭で楽しそうにサソリを食べる女。通称 ”国際捜査のこぼれカス担当” の鴻田。

2人はさまざまな事情で日本にやってきて、犯罪に巻き込まれた、または起こしてしまった外国人の想いをこぼさぬよう事件と向き合う。

自分の目で見るまで納得しない警察官と、仕事に一線を引き感情を交えない警察通訳人のコンビによる、国際捜査を描いたこれまでない警察漫画!!

イメージ/情報出典 PR Times

本作の第1話はマンガアプリPalcy(パルシィ)にて無料公開、以下リンクにて試し読みが可能になっています。

東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー
(マンガアプリ Palcy)
https://palcy.jp/comics/1210

また、現在2巻までが講談社より単行本(デジタル版含む)で出版されています。

「東京サラダボウル」既刊・関連作品一覧
(講談社コミックプラス)
https://kc.kodansha.co.jp/title?code=1000039937


マンガではエンターテイメント要素は不可欠ですが、本作は一般社団法人 関西司法通訳養成所 代表の清水 真氏が監修を務めており、著しくリアリティを欠く内容でもありません。

警察通訳人は、冒頭にも書きましたが「警察で発生する様々な業務」にて通訳を行います。

これは犯罪現場の捜査や取り調べの時だけではなく、家宅捜索や実況見分、被害届や遺失物/拾得物等の手続も含まれますし、通訳する相手も被疑者だけではなく、被害者、目撃者等も含まれます。

参考記事

マンガ「東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー」監修者 清水氏のインタビュー記事は、以下リンクにて御覧頂けます。

「えーと」「あの〜」のつなぎ言葉まで、警察通訳人がすべて訳す「深すぎる理由」(2021年10月29日 現代ビジネス)

また朝日新聞にも警察通訳人についての記事が掲載されています。

警察通訳人が見た外国人事件の裏側 海外から来た若者がなぜ容疑者に」(2022年2月23日 朝日新聞)

警察通訳人に
なるには

現在、日本で警察通訳人なるには2つのパターンがあります。

1つ目は警察官、または警察行政職員として採用され、通訳人業務を行う方法です。

前出の関西司法通訳養成所代表 清水氏は、2014年3月まで兵庫県警察に勤められていました。清水氏及び関西司法通訳養成所設立についての詳細は、同養成所Website 法人案内ページにて紹介されています。

また、神奈川県警察のWebsiteには 警察職員「通訳職」の先輩からのメッセージ が紹介されている他、大坂府警察本部のサイトにも先輩からのメッセージ(通訳専門職員)が掲載されています。

そして 令和4年度 警視庁採用サイトには、警察行政職員 専門職種Ⅰ類に「通訳(英語・中国語・スペイン語)」の記載があります。

具体的な仕事の内容やスケジュールについては「通訳者・翻訳者になる本 2023(イカロス出版)」に掲載されている記事『色々なゲンバで輝く 通訳・翻訳の仕事』内で、警視庁通訳センターで勤務される方のインタビューや1日の過ごし方等が紹介されています。


もう1つの方法は、各警察や検察と契約する「民間の通訳」として活躍する方法です。

こちらについては「警察通訳人 募集」などで検索すると情報が出てきます。募集の言語や、業務内容、応募条件は各警察によって異なります。

以下情報は2022年4月に検索した時点での募集事例になります。

日本では、警察通訳人も含めた司法に関連する通訳/翻訳の、認定制度等はまだ確立していません。ですので、条件や求められるスキル、業務内容も様々です。

ただ、 一般社団法人 日本司法通訳士連合会/Japan Law Interpreter Association では、司法通訳士認定試験や司法通訳養成講座を実施するなど、司法通訳人の技能と地位の向上に努めています。

2022年度・司法通訳養成講座

司法通訳養成講座は、法律について何の予備知識もない人が、司法通訳を行うために必要とされる法律知識、実務知識を身に着けるための講座です。

2022年度 全8回の前期は、5月7日から開催されます。講義をオンラインにて受講できるコースもあります。ご興味のある方は、以下リンクより詳細をご確認下さいませ。

2022年度・司法通訳養成講座のご案内
一般社団法人 日本司法通訳士連合会(JLIA)
http://japanlawinterpreter.org/course/

また法務省が運営する、日本法令の翻訳を提供するウェブサイトもございます。

日本法令外国語訳データベースシステム
https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja

海外での事例

アメリカ、カナダ、ドイツ、オランダ等では、司法通訳・翻訳者の認定制度が実施されています。

ミーハングループ代表 通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、東京地方裁判所にて通訳者登録をしていますが、以下海外の裁判所でも、裁判所認定法廷通訳者として登録をしています。

  • 米国:地裁 NY, DC, TX 東部地裁等, 検事局 NY, NJ, DC等, 国際貿易裁判所等
  • 英国:ロンドン国際仲裁裁判所
  • スイス:スポーツ仲裁裁判所 (Tribunal Arbitral du Sport)
  • オーストリア:ウィーン国際仲裁センター

また、アメリカでは司法省連邦刑務所局公認通訳士、司法省連邦捜査局嘱託言語学者(contract linguist monitor)としても登録しています。

アメリカ司法省連邦捜査局とは Federal Bureau of Investigation の事、つまりFBIにおける捜査の通訳者と言う事です。FBIで、通訳者として登録するには、語学スキル等は基より、非常に厳密な身元調査が行われます。

右田アンドリュー・ミーハンは出身が長崎県佐世保市であった為、2年近く身元調査に時間がかかったとの事。それだけ厳重な調査を経て、登録となります。

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