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様々な国の英語 ~通訳者の視点から~

最近ではアメリカ英語とイギリス英語の違い動画をはじめ、各地域・国による英語の違い動画などを目にする機会も多くなりました。そこで今回は「英語の違い」や「多様な英語」について動画等も交えながら紹介。また、通訳者がこれら英語にどの様に対応しているかについても、ご紹介したいと思います。keizi5050によるPixabayからの画像)

YouTuber
だいじろー / Daijiro

Bottle of Water など、イギリス英語とアメリカ英語の発音や表現の違いを元にしたジョークは、英語圏では以前から言われたりしていました。

日本では最近、YouTuber だいじろー Daijiro さんによる、各地域・国の英語の発音や表現の違いを解説したり、実際にやってみたりする動画が人気です。

日本生まれ日本育ちでも、「だいじろー」が流ちょうな英語で“発音指導”できる理由とは(2022/03/06 文春オンライン)

だいじろーさんは、オーストラリアでのホームステイを経て「英語音声学」に興味を持ち、外国人留学生が半数という国際色豊かな立命館アジア太平洋大学(APU)に進学。在学中に香港とフィンランドの大学に計1年間留学もし、様々な国の英語について学ばれたそうです。

だいじろー/Daijiro Website
https://www.daijiro.jp/

イギリスとアメリカ
英語の違い

だいじろーさんも ご自身の動画でやったり、解説をしたりしていますが、コチラは よく言われるアメリカ英語とイギリス英語の違いについてのジョーク動画です。

(YouTubeの字幕設定で自動翻訳による日本語字幕が表示されます)

アメリカ英語とイギリス英語は、発音が異なる以外に、単語も異なる事をジョークにした動画ですが、アメリカ国内でも地域によって話し方が違ったり、イギリス国内でも地域によっては異なる発音になる場合があります。

これは、日本でも北や南、関西と関東と言った各地域で発音や話し方、言葉が違う(方言)のと同じです。

例えばスコットランドの英語が聞き取りにくい事は有名ですが、イギリス人でもスコットランド英語に慣れていない人は聞きづらい様で、特にスコットランド北部は訛り/方言がきつく、イギリス人でもチンプンカンプンとのこと。

でも、1ヶ月くらいそこに住めば、イギリス人や英語を母語とする人だと耳が慣れて、わかるようになるそうです。日本でも例えば関東から関西に引っ越した場合、初めは分らなくても、その内に理解出来る様になりますからね。(個人差はもちろんあると思います。)

また英語を母語とした国、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどでも、アメリカ英語とイギリス英語の違いの様な、発音や言葉の違いはあります。

(YouTubeの字幕設定で自動翻訳による日本語字幕が表示されます)

ラグビーワールドカップ2023
英日通訳での失敗

2023年9月8日~10月28日までフランスで開催されたラグビーワールドカップ2023。日本テレビ系列 及び Hulu で放送された試合の英日同時通訳を、弊社代表で通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは担当させて頂きました。

右田は、準決勝で勝ったニュージーランド代表 オールブラックス・キャプテン(主将) Sam Cane / サム・ケイン のコメントを通訳する際に、思いがけないハプニングに見舞われたそうです。

キャプテンのSam Caneは、興奮冷めやらぬ状態で準決勝の試合終了後、コメントに応じました。

ところが、ニュージーランドの英語にはそもそも訛りがある事に加えて、全力で戦った試合直後でしたから息切れ状態だった為、非常に聞き取りずらい英語になっていました。さらに興奮状態でもあったので、彼は矢継ぎ早に話しました。

その結果、私は「言葉に追いつけない」「理解が消化不良のまま」通訳することになってしまい、終了後すごく落ち込みました。ラグビー・ワールドカップの試合の通訳は、2021年にもやっていたので、本当にショックでした。

右田アンドリュー・ミーハン

多様な英語

さて、英語を母語としない国の人が「英語」を話す時、自国の言葉と混ざったり、発音が異なったりする場合があります。その理由について、この動画は説明しています。

(YouTubeの字幕設定で自動翻訳による日本語字幕が表示されます)

この動画では、話す時のアクセント、ストレス(言葉の強弱)、リズムが母語の影響を受ける為、様々な「英語」が生まれると説明しています。

最近は海外から日本に移住する人も増えており、特に東京をはじめ都市部などでは観光客+在住者による多様な英語を耳にする事がよくあります。

またビジネスの場 等でも、各国の人々と「英語」を介してコミュニケーションをする機会が、以前より格段に増えています。

そこで、この様な「多様な英語」に通訳者はどの様に対応しているのか?右田アンドリュー・ミーハンに聞いてみました。

私は、スコットランド、アイルランド、ヨーロッパ系 フランスやドイツ等の人が話す英語は得意だったので、そちらの方面の方々の通訳では余り苦労はしませんでしたが、インド、中国、タイ、ベトナム 等の人々が話す英語には慣れておらず、初めは聞き取るのも一苦労でした。

現在では、アジアの国々も関係する会議や案件の通訳を多数経験したので、お陰様でアジア圏訛りの英語でも聞き取れる様になりました。特にシンガポール、インドネシア、マレーシアの方々が話す英語には共通点があるなど、特徴もある程度つかめました。

それでも、不慣れなアクセントのある講演者や発表者の通訳をする場合は、打ち合わせの時などに、正直かつ丁寧に「話されるアクセントに不慣れなのでゆっくり話して下さい」とお願いをします。

しかし残念ながら講演の緊張や、話に夢中になったりなどで、その「お願い」が忘れられたり、無視されることも少なくはありません。

ですので それ以外の対策として、会議等の「資料をしっかり読み込み、キーワードをリストアップしておく」も、いつもより入念に行います。

「キーワード」とは、その会議や商談、講演などでよく出てくる言葉・用語のこと。「固有名詞」「資料の中でよく使われている動詞」「表現」等々です。

また、打ち合わせ時に「何を」または「どのページ」を重点的に話すのか聞いて、その説明の中で頻繁に使われている用語や言葉を、自分は充分に理解できてるか?自分自身で確認したりもします。

もし、理解できていない場合は、本番前でも恥ずかしがらずに「ゆっくり話してもらう」事を再度お願いします。 これはどのアクセントでもやってることです。

あとは 通訳対象者が、話している動画がYouTube等に上がっていれば、それを本番前に何度も見たりもします。(主に話し方のチェックなので、正確には聞く事に重点を置いています。)

先程ご紹介したラグビーワールドカップ2023 準決勝での失敗談ですが、自分の通訳内容に満足できない結果に終わった後、私は何度もSam Caneのインタビュー動画等を見ました。

残念ながら決勝では、オールブラックスは南アフリカ代表に負けてしまいましたが、その動画を何度も見たおかげで、決勝戦後のインタビューでは、Sam Cane 他 ニュージーランド代表のコメントをスムーズに訳す事ができました。

右田アンドリュー・ミーハン

関連動画

通訳者の視点からの記事シリーズは以下リンクより一覧にてご覧いただけます。
https://meehanjapan.com/tag/interpreters-view/

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