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ワグネルの反乱 / プリゴジンの乱 ~報道から学ぶ英語表現~

「ワグネル」創設者のプリゴジン氏による武装蜂起。この出来事に世界中のメディアが注目、報道しました。今回のブログでは、この「ワグネルの反乱 / プリゴジンの乱 (ワグネルの乱)」に関する報道で使われた英語表現について、少しご紹介したいと思います。Дмитрий ОсипенкоによるPixabayからの画像)

エフゲニー・プリゴジン
Yevgeny Prigozhin

2023年6月24日 在サンクトペテルブルク日本国総領事館は「ロシア国内情勢(ワグネルによる武装反乱の呼びかけ)」と言うメッセージを緊急で発表しました。

6月24日~25日 ロシアで起きた ワグネル・グループ 創設者のエフゲニー・ヴィクトロヴィッチ・プリゴジン氏による武装蜂起に、世界中のメディアが注目。急遽 特別番組を編成し、刻々と変わる状況を報道しました。

  • ワグネル・グループ
    ロシア語表記:Группа Вагнера
    英語表記:Wagner Group
  • エフゲニー・ヴィクトロヴィッチ・プリゴジン
    ロシア語表記:Евге́ний Ви́кторович Приго́жин
    英語表記:Yevgeny Viktorovich Prigozhin

この様な緊急事態が発生すると、海外の報道内容を訳す為に通訳者や翻訳者も大忙しになります。

名前の読み方

報道番組で通訳をする場合、名前の読み方、アクセントやイントネーション等にも注意しなければなりません。

日本のニュース報道などでは、プリゴジン氏の名前は「ゴ」に少しアクセントをつけて読まれています。

英語のメディアでも「ゴ」にアクセントを付けていますが、日本語読みの様に一音をハッキリと発音すると言うよりは、「プリゴ」までを一息に言い切った後に「ジン」を付け足すような、カタカナで書くと「プリゴージン」と言った感じです。

こうした名前の読み方、発音、イントネーション(抑揚)の違いにも、報道番組で通訳する場合は気をつけなければなりません。

プリゴジンの乱
ワグネルの乱 を英語で

日本のメディアでは、今回の出来事を「ワグネルによる反乱」または「反乱行動」、「武装蜂起」等と表現。ネットでは「プリゴジンの乱」や「ワグネルの乱」等とも表現しています。

英語のメディアでは 主に insurrection / rebellion を使って伝えています。

また、クーデターを用いていたメディアもありました。

日本大百科全書(ニッポニカ)  / コトバンクより

クーデター
「国家に対する一撃」という意味で、武力によって非合法的に政権を奪取することをいう。

https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC-55624

クーデターは coup d'état と書きますが、御覧の通り 実は英語ではなくフランス語です。

しかし英語でも一般的に使われており、多くは略した形 coup(クー) と表記。話す場合も coup のみのことが多いです。

Insurrection / rebellion

英語メディアが主に使った insurrection / rebellion の意味を、英英辞典でチェックしてみましょう。

from Cambridge dictionary

insurrection noun
an organized attempt by a group of people to defeat their government and take control of their country, usually by violence:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/insurrection

rebellion noun
violent action organized by a group of people who are trying to change the political system in their country
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/rebellion

https://dictionary.cambridge.org/

insurrection / rebellion は、多少の違いはありますが「政府や政治体制を、組織や集団が暴力によって奪取・変更」をする事、つまり「反乱」を意味しています。

英メディアでは armed insurrection = 武装反乱と言う表現も使われた他、同様に「反乱」や「反抗 / 抵抗」「暴動」を意味する以下の表現も使われました。

mutiny は下級の兵隊や水兵が、上位者や権力者に対して反抗 / 反乱を起こす事を意味しています。revoltverb / 動詞ですので「反乱行動」を意味します。

また、これ以外にも似た様な意味合いの言葉には revolution(革命)や、riot (暴動)等があります。

Civil War=内戦 を使って「ワグネルの乱」を伝える英語メディアもありました。

event

今回の件を「暴力的な表現」を避けて伝えたい場合は event = 「事件/出来事」を使うと良いでしょう。

  • The event in Russia
  • The event by Prigozhin who is leader of the Wagner

深刻な(国際的な)事件や紛争 / 衝突を、 incident を使って表現する場合もありますが、今回は「大きな対立」を含んだ「事件/出来事」になりますので event を使った方が伝わります。

event =イベントは、日本では「祭事」や「催し物」「行事」に対して使われる事が多い言葉ですが、英語の event は「印象的な(ショッキングな / 衝撃的な)事件や出来事」も含みます。

event noun
anything that happens, especially something important or unusual:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/event

エグザイル
Exile の意味

「ワグネルによる反乱」で、英語メディアで使われた言葉の1つに Exile があります。

Exile / エグザイルは、日本では 超有名男性ダンス&ボーカルグループの名前として目にする事が多いと思いますが、英語での意味は「亡命」または「追放」になります。

exile noun
the condition of someone being sent or kept away from their own country, village, etc., especially for political reasons:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/exile

動画の記事の見出し Wagner leader Prigozhin flees Russia for exile in Belarus after agreeing to stand down in Kremlin deal to end rebellion (The Sun 25 Jun 2023) の場合は「亡命」と訳すのが適切でしょう。

これ以外にも、余り耳慣れない言葉 mercenary = 傭兵: Russian mercenary fighters / The Wagner Group is a private army of mercenaries なども使われていました。

ロシアの状況は 刻々と変わっており、この記事も2023年6月24日 / 25日の報道を元に書いています。

今後、この件を伝える表現=名称等が統一される事もあるでしょうが、その時、その時の場や状況に即した「訳」を、通訳者や翻訳者は求められますので、この様な言葉や表現のチェックは欠かせません。

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