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訪日外国人・訪日観光客 受け入れ再開に寄せて ~マスクの着用について~

Fumiaki HayashiによるPixabayからの画像

先日 岸田首相が「外国人観光客の受け入れを6月10日から再開する」と表明しました。少しづつではありますが、全員対面による通訳案件も増えてきています。そこで気になるのが、訪日外国人・訪日観光客と日本社会との「マスク着用」に対する考え方の違い... これについて今回は少しご紹介したいと思います。

外国人旅行者
受け入れ再開

2022年5月26日に岸田首相は「外国人観光客の受け入れを6月10日から再開する」と表明しました。

外国人観光客の入国 来月10日から再開へ 当面添乗員付きに限定(2022/5/27 NHK NEWS WEB)

また2022年6月1日には、外務省が『令和4年5月20日付「水際対策強化に係る新たな措置(28)」に基づき、本年6月1日午前0時(日本時間)以降、一部の国・地域からの入国者に対する入国時検査の免除等がなされます』と発表をしています。

これに伴い、入国者数上限も6月1日より2万人となりました。
入国者数上限 きょうから2万人に 入国時検査など一部免除(2022/6/1 NHK NEWS WEB)

参加者全員対面による通訳案件も徐々にですが増えてきており、今後海外からの渡航者は、観光も含めさらに増えることが予想されます。

そこで懸念されるのが「新型コロナウイルス感染対策」についての、外国人と日本社会の意識の違い。特にマスクの着用の有無についての意識の違いです。

マスク / Face mask

日本語では口を覆う布等で出来たモノを「マスク」と言いますが、英語では mask と言うと「顔の一部またはすべて覆うモノ」全般を指します。つまり mask には、日本で言う「仮面」や「お面」の意味も含まれます。

また、日本語で言うところの美容のための「パック」なども mask と言います。時々日本でも「フェイシャルマスク」なんて言う場合もありますね。

mask noun [C] (FACE COVER)
a covering for all or part of the face that protects, hides, or decorates the person wearing it:

mask noun [C] (SKIN TREATMENT)
a cream or a piece of thin material that is left on the skin for some time and then removed, in order to make the skin look and feel better:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/mask?q=Mask

ですので、日本での「マスク」を英語で言う場合は、もちろん「マスク / mask 」で通じる場合もありますが、 face mask と言った方がより明確に伝わりますし、不織布などで出来たマスクや、飛沫防止の機能を高めたマスクは surgical mask と表現した方が良い場合もあります。

マスク着用への
抵抗感

そもそも、日本をはじめとしたアジアの国々では、マスク着用は新型コロナウイルス感染拡大の前から一般的であり、抵抗感は高くありません。

しかし、欧米諸国では新型コロナウイルス感染拡大以前は、「マスクは重病人(または医療従事者)だけがするもの」と言う意識がありました。また感染拡大後もマスク着用に抵抗がある人が多く、トラブルも多発しています。

マスク巡る乗客トラブルが7割 米航空、義務撤廃要求も(2022/3/24 共同通信)

本ブログにも以前掲載しましたが、欧米の人々の「口元を隠す事に対する抵抗感」には文化的/心理的背景もある様です。

さらに欧米では今年に入ってからマスク着用義務を撤廃する国も多くあります。

マスク着用は“義務”か“推奨”か 海外で加速する“脱マスク”が日本では緩やかな理由(2022/5/5 TBS NEWS DIG)

高い日本のマスク着用率

日本でのマスクの着用率の高さは海外でも良く知られています。

世界14ヵ国の「マスク着用率」比較、日本は突出の85%以上、欧米は1年間で大きく減少 ―2021年4月~2022年4月(2022/5/30 トラベルボイス 観光産業ニュース)

しかし、2022年5月20日 厚生労働省は、新型コロナウイルス対策のマスク着用について「人との距離が2メートル以上あれば、屋内でも屋外でも、多くの場合はマスクを外せる」とする基準を公表しています。

New guidelines for face masks in Japan(May 31, 2022 NHK World)

とは言え、屋内では多くの場面でマスク着用が現在も求められていますし、多くの日本人は未だマスクを屋外、屋内問わず着用しています。

訪日外国人・観光客の
マスク着用への対応

この日本人と訪日外国人・訪日観光客の「マスク着用に対する考え方の違い」について、懸念を示す記事やインタビューも最近多く見かけます。

先日 とある日本の企業で行われた会議でも、マスク着用について日本側が何度もお願いをしても、海外からの出席者が着用しなかった為、結局 大きな会議テーブルを用意し、会議参加者同士の距離を充分取り、かつ換気を良くすることで場を収めたという事例が、実際にありました。

これはワクチンの接種の有無や感染の疑いにかかわらず、社会的な意識の違い、つまり1つの異文化コミュニケーションの難しさに入ると思います。

日本の政府の見解や、日本の社会の状況を懇切丁寧に説明するなどの対応で、できるだけお互いにイヤな想いをしない様に出来れば良いのですが。

訪日外国人の通訳をする通訳者や、訪日観光客をアテンドする通訳案内士(通訳ガイド)には、そう言った事への配慮や説明対応、問題解決スキルも今後 求められる様になるかも知れません。

厚生労働省 英語サイト Preventing COVID-19 and stopping its spread より

各国語のポスター及びリーフレット等は以下リンクよりダウンロード可能です。

https://www.c19.mhlw.go.jp/

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