ロシアによるウクライナ侵攻についての報道は、日に日に深刻度を増しています。1日も早く、この戦争が収束/終結し、人々に平和な日々が訪れる事を願うばかりです。今回のブログでは、人道支援にまつわる英語表現のご紹介他、寄付や支援の情報等も、僅かですがご紹介したいと思います。
人道危機・人道支援他
に関連する英語表現
ロシアによるウクライナ侵攻でよく耳にする言葉の一つに「人道○○」があると思います。
この人道とは「人間の尊厳を至上のものとし、人間愛に基づいて、人種、民族、国籍の別にかかわりなく、人類の福祉を増進することをめざす立場。( コトバンク・精選版 日本国語大辞典より )」を意味します。
英語の Humanism(ヒューマニズム) を、そのまま使用するケースも日本ではよく見かけると思います。
しかし、人道が危機にさらされた場合、及び人道的な理由により実施される事柄や対応については、英語では Humanism をそのまま使うのではなく、Humanitarian という言葉がよく使用されます。
- 人道危機(人道的危機)
humanitarian crisis
国家が保障するべき自国民の健康・安全・地域共同体に属する権利などが、なんらかの理由で侵害されている重大で危機的な状況のこと - 人道回廊
humanitarian corridor
人道的危機下にある地域へ援助をもたらす、またはこの地域から民間人を避難させる、あるいはその両方のための安全な通行を保証、設定される通路(回廊)の事。 - 人道支援
humanitarian action
紛争の被害者や自然災害の被災者の生命、尊厳、安全を確保するために、援助物資やサービス等を提供する行為の総称。 - 人道援助
humanitarian aid
緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援。 - 人道支援機関(複数の場合)
humanitarian agencies
※1つの場合は humanitarian agency
ところで、この Humanitarian とはどういう意味か、英英辞典(Cambridge Dictionary) で調べると以下の記述があります。
(a person who is) involved in or connected with improving people's lives and reducing suffering:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/humanitarian
人々の生活の向上と苦しみの軽減に貢献する事 / 関与する事 / 関わる人、つまり「人道」に関わる何か( Humanitarian の後ろに来る言葉)と訳せると思います。
国連(UN / United Nations) のウクライナ危機における人道的対応 humanitarian Response については、以下のリンクから詳細をご確認頂けます。
Ukraine Crisis Response
https://www.un.org/en/ukrainecrisisresponse/
通訳者泣かせの
ゼレンスキー大統領
ウクライナのゼレンスキー大統領が、国会演説を在日ウクライナ大使館を通じて日本政府に提案したと言う報道がありました( ウクライナ大統領が演説を打診 2022年3月16日 共同通信)
また、日本時間 3月16日夜 アメリカの連邦議会で、ゼレンスキー大統領はオンライン形式での演説を行います(ウクライナ ゼレンスキー大統領 米連邦議会で演説へ 2022年3月16日 NHK News)
ゼレンスキー大統領は今までも欧州議会などでスピーチしていますが、余りにも心動かされる内容で、思わず通訳者が涙を抑えきれない事がありました。冒頭の動画には Ukrainian President Zelensky moves translator to tears in speech to European Parliament とタイトルがついてます。
参考記事:通訳が泣き崩れた......。欧州議会でウクライナ大統領がスピーチ。 2022年 3月2日 madame FIGARO japon 記事
また英国議会では、劇作家 シェイクスピアが書いた有名なハムレットのセリフ to be or not to be や、チャーチル元英国首相の言葉を引用した We will not give up and we will not lose. を用いたスピーチを披露しました。
参考記事:【演説全文】ウクライナ ゼレンスキー大統領 何を語った?2022年3月15日 NHK News
ゼレンスキー大統領は、ソーシャルメディアでは英語でも投稿をしていますが、動画や重大な局面でのスピーチでは、ウクライナ語を話す事が多い様です。それにしても、別の意味で「通訳者泣かせ」の人ですね。
映画を観て
寄付をする
ひまわり
50周年HDレストア版
2022年3月3日に本ブログに掲載した記事でもご紹介した、ウクライナで撮影したひまわり畑のシーンが印象的な映画「ひまわり」(1970年公開)。
現在、2020年に日本劇場公開50周年を記念してレストア (最新のデジタル技術で修復・復元)された『ひまわり 50周年HDレストア版』の上映が、急速に日本全国で拡大しているとの事。(いまこそ見るべき戦争と悲恋の物語『ひまわり』緊急上映急速拡大中 2022年3月15日 Cinema Cafe.net)
この上映で得た収益の一部は、ウクライナにおける人道支援のための寄付に充てられるそうです。同作の上映スケジュール等詳細は『ひまわり 50周年HDレストア版』Website にてご確認下さいませ。
『ひまわり 50周年HDレストア版』Website
http://himawari-2020.com/
動画配信サービス
アジアンドキュメンタリーズ
さらに、ドキュメンタリー映画専門の動画配信サービス・アジアンドキュメンタリーズでは、ウクライナ緊急支援企画として、指定作品の視聴料を寄付する取り組みをスタート。
既に同サービスで配信を開始している『ピアノ ―ウクライナの尊厳を守る闘い―』及び、4月1日から配信開始予定の作品、いずれかを視聴すると視聴料が寄付される仕組みになっています。
詳しくはアジアンドキュメンタリーズ 特集ページ「ウクライナ 自由への闘い」にてご確認下さいませ。
アジアンドキュメンタリーズ
特集「ウクライナ 自由への闘い」
https://asiandocs.co.jp/set/612
AIIC
国際会議通訳者連盟
最後に弊社代表 通訳 右田アンドリュー・ミーハンもメンバーの AIIC(国際会議通訳者連盟)では、東ヨーロッパで起きている危機に対応する為、通訳者と翻訳者のボランティア登録を実施しています。
また、既に64カ国・723人の通訳者と翻訳者が参加しているこのボランティア名簿(roster)を、ウクライナからの難民を受け入れている各都市で共有して欲しいとTweetもしています。
Crisis in Eastern Europe
Roster of Linguists(AIIC)
https://aiic.org/site/probono