今年2023年は4月22日 / 23日 開催の東京レインボープライド。そこで今回のブログでは「トランス / Trans 」と言う言葉についてご紹介。また、いま 注目を集める「オールジェンダートイレ」「 ジェンダーレストイレ」の英語表現についてもご紹介します。
Trans / トランス
と言う言葉の意味
最近注目を集める言葉に「トランスジェンダー / Transgender 」があります。
このトランスジェンダーは、略して「トランス / トランズ」などと表記される事もあります。 Trans woman / トランス女性、Trans man / トランス男性 等と書いているケースも見かけます。
そこで、まずは Trans がどういう意味なのかチェックしてみましょう。
From Cambridge dictionary
trans- prefix (接頭辞)
across:
changing or having changed from one thing to another:trans adjective (形容詞) ・GENDER
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/trans
short for transgender : used to describe a person whose gender does not match the body they were born with:
adjective(形容詞)の意味として、トランスジェンダーの略語使用も書かれていますが、prefix(接頭辞)の説明には across と書かれています。
つまり、接頭辞として使われる Trans は「~を横切る」「~を渡る」「~を超える」または「あるモノを別のモノに変える」と言う意味があります。
これ以外にも Trans には化学の専門用語として使われる場合もあります。こちらについては、今回の記事では省略しますが、ご興味のある方は Cambridge dictionary に掲載されているので、チェックしてみて下さい。
Trans / トランス
を使った言葉
接頭辞として Trans を使った言葉には、どの様な言葉があるか?実は物凄く沢山あるので、代表的な例を見ていきましょう。
- Translate / Translator
翻訳:Aと言う言語をBと言う言語に変える / 言語を訳す人 - Transport
輸送: AをBに送る - Transfer
移動: AをBに移す - Transform
変形:AからBに形を変える - Transcript
書き写す:AをBに書いて写す
この例には概要的な意味を書いているので、文脈によって訳し方が変わる場合もありますが、言葉それぞれが持つイメージはつかめると思います。
これ以外にも馴染みのある言葉で言えば、声をAからBに届ける Transceiver=トランシーバー や、飛行機などの乗継を意味する Transit = トランジット、そして世代を超えて受け継がれる Traditional=トラディショナル / 伝統 も、実は Trans を接頭辞とした言葉になります。
参考: 【英単語】transの語源から14の英単語を覚える(丸暗記英語からの脱却ブログ)
トランス / Trance
カタカナで書いてしまうと違いが分かりにくいのですが、音楽のジャンルなどで使われる「トランス(トランス・テクノやトランス・ミュージック)」の「トランス」は Trance です。
From Cambridge dictionary
trance noun(名詞)・MENTAL CONDITION
a temporary mental condition in which someone is not completely conscious of and/or not in control of himself or herself:trance noun(名詞)・MUSIC
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/trance
fast, electronic dance music with a regular beat, keyboards, but usually no singing
この Trance は、日本語では「恍惚 / 催眠 」状態などと訳されます。しかし Trance も実は語源に Trans を含んだ言葉になり「精神や意識が別の所にある状態」を意味します。
参考:Transの付く英単語28語【translate,transport,transferなど】(English Workbooksー英語ノート)
トランス / シス
Trans / Cis
略称として「トランス(トランズ)/ Trans 」が用いられるトランスジェンダー / Transgender も、やはり Trans を接頭辞としている言葉で、生まれつきの性別(Sex)が、心の性・性自認(Gender identity)と一致しない人を意味します。
これに対して、生まれつきの性別と心の性・性自認が一致している人のことは シスジェンダー / Cisgender と表現されます。
参考:シスジェンダー (PRIDE JAPAN) / セクシャリティーとは?(Tokyo Sexual Health)
オールジェンダートイレ
ジェンダーレストイレ
英語表現
さて トランスジェンダー / Transgender または「トランス / Trans 」が注目される言葉になった理由の1つに、オールジェンダートイレ / ジェンダーレストイレの問題があります。
- 「東急歌舞伎町タワー」オールジェンダートイレがSNSで物議 PR事務局の見解は(2023/4/18 JCAST ニュース・Yahoo ニュース)
- 歌舞伎町タワー「女性専用トイレない」困惑も…ジェンダーレストイレに男女混在の階も(2023/4/18 Business Journal)
オールジェンダー
ジェンダーレス 違い
英語でも All gender toilet / bathroom / restroom と言う表現は使いますが、これは「全ての性別の人の為のトイレ」と言う意味になります。
日本では、オールジェンダートイレは「性差が無い / 性差を無くす」と言う意味で「 ジェンダーレス トイレ」とも呼ばれている様です。
しかし、英語での Genderless は「典型的 / 一般的な性(gender / sex)の特徴 / 資質 が無い」と言った意味を持つため、「男性用・女性用と言った区別が無い服装」といった ファッション等のシチュエーションで使われる事が多い様です。
From Merriam Webster
genderless adjective1 : lacking qualities typically associated with either sex
https://www.merriam-webster.com/dictionary/genderlessness
2 : suitable to or for either sex
also : not reflective of the experiences, prejudices, or orientations of one sex more than the other
英語で男女以外の性別を自認する人が利用するトイレを表す場合、All gender 以外だと、男女の区別がない事を意味する Unisex や、性的に中立を意味する Gender neutral を用いて表す事が多い様です。
※ Unisex は男女兼用を意味する場合もあります。
また、日本では「多目的 / 多機能 トイレ」などと表現される、身体の不自由な人や、介助者が必要な人の為のトイレのことは Accessible bathroom / restroom / toilet と言う事が多いです。
アメリカの場合、身体の不自由な人が使いやすいトイレやお風呂などについては The Americans with Disabilities Act (ADA) が決めた要件 に従って作られている設備の場合、例えばトイレの場合は ADA Compliant bathrooms や ADA toilet と表現される場合もあります。
日本でよく見かける、利用者の性別を問わず、身体の不自由な人や介助者が居る人も利用できる「誰でもトイレ」は All gender accessible toilet / Gender neutrality and accessible toilets 等と表現されます。
とは言え、海外でも公共トイレも含めてジェンダーに関する設備等の表記は、完全に統一されているとは言い難い状況もあります。ですので、日本と同様に多くの施設にはピクトグラム(絵文字)等も併せて表示されています。
参考:Unisex vs Gender Neutral vs All Gender Toilets – what’s in a name? (from Access Insight - February/March 2020 by Association of Consultants in Access Australia, Inc)
ジェンダーフリー
Gender-blind / Gender-equality
因みにトイレに限らず「全ての性別の人」を意味する場合、All gender 以外だと 英語では Gender inclusive と言う表現があります。
『従来の固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動・生活できること』と言う定義の言葉「ジェンダーフリー」は、 英語では Gender-blind または「男女の平等」と言う意味にて Gender-equality を用いて表現されます。
From Cambridge dictionary
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/gender-blind
gender-blind adjective(形容詞)
not considering whether someone is male or female when making a decision, for example about who gets a job or acting part, or when providing a service:
※「ジェンダーフリー」は和製英語と言う説もありますが、英語として全く使われていない訳ではありません。しかし、上記の様な言葉の定義の場合、英語では Gender-blind / equality が一般的には用いられます。
参考:https://www.wordsense.eu/gender-free/
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株式会社ミーハングループは、言語だけにとどまらない様々な背景を持った人々の心の橋渡しをモットーに、通訳・翻訳業務を行っており、多文化共生(ダイバーシティ&インクルージョン)やLGBTQ+ コミュニティの案件も数多く手掛けています。