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ゴールデングローブ賞 / 東京サラダボウル

新年早々、ドラマ「SHOGUN 将軍」俳優陣他のゴールデングローブ受賞と言うおめでたい話題がアメリカから届きました。今回は本作の受賞について、及び2025年1月7日からNHKにて放送がスタートした警察官と通訳人コンビが活躍するドラマ「東京サラダボウル」の話題を中心にお届けします。Alehandra13によるPixabayからの画像)

ゴールデングローブ賞
4冠達成・SHOGUN 将軍

改めまして、新年 あけましておめでとうございます。今年もミーハングループ・ブログでは、通訳・翻訳についてや、英語表現、様々な言葉や言語についての話題、異文化コミュニケーションに関する情報を、少しでも皆様のお役に立てる様 発信してまいります。

さて、第82回 ゴールデングローブ賞 / THE  82nd ANNUAL GOLDEN GLOBES®  の授賞式が、アメリカ現地時間 2025年1月5日に開催され、テレビドラマ部門(ドラマ)にて「SHOGUN 将軍」が作品賞を受賞。同作にて主演男優賞を真田広之さん、主演女優賞をアンナ・サワイさん、助演男優賞を浅野忠信さんが受賞されました。

また海外メディアでは、映画部門で主演女優賞を獲得したデミ・ムーア / Demi Moore (The Substance / ミュージカル・コメディ)や、映画「I’m Still Here」で主演女優賞(ドラマ)を獲得したブラジル人のフェルナンダ・トーレス / Fernanda Torres 等についても大きく取り上げています。

ゴールデングローブ
GOLDEN GLOBES

ゴールデングローブ賞とは、毎年1月に発表されるアメリカにおける映画とテレビドラマに与えられる賞で、アカデミー賞の前哨戦としても注目を集めています。

GOLDEN GLOBES Website
https://goldenglobes.com/

賞は大きく分けて映画部門とテレビドラマ部門の2つ。

映画部門はドラマ / ミュージカル・コメディ:Motion Picture - Drama / Motion Picture - Musical or Comedy の2つのジャンルがあり、それぞれに作品賞、主演男優賞、主演女優賞が設けられています。

またジャンルを問わない賞として、外国語映画賞、助演男優賞、助演女優賞、アニメ映画賞 他があります。

テレビドラマ部門は、ドラマ / ミュージカル・コメディ / ミニシリーズ・テレビ映画:Television Series - Drama / Television Series - Musical or Comedy / Television Limited Series, Anthology Series, or Motion Picture Made for Television の3つのジャンルに分れています。

こちらも、それぞれに作品賞、主演男優賞、主演女優賞が設けられている他、ジャンルを問わずに選ばれる賞として助演男優賞、助演女優賞 他があります。

「SHOGUN 将軍」はこのテレビドラマ部門にて Best Television Series - Drama / 作品賞、Best Performance by a Male Actor in a Television Series - Drama / 主演男優賞、Best Performance by a Female Actor in a Television Series - Drama / 主演女優賞、そして Best Performance by a Male Actor in a Supporting Role on Television / 助演男優賞を受賞しました。

Tips
男優 / 女優 ?

英語で男優 または 俳優 / 役者のことは Actor 、女優は Actress と呼ぶのが以前は一般的でした。

しかし、昨今はジェンダーについての表現も厳しい目で見られており、ゴールデングローブ賞では男優を Male Actor / 男性俳優、女優のことは Female Actor / 女性俳優としています。

※本記事では、Male Actor / Female Actor については、日本での一般的な表現:男優 / 女優を用いています。

他の映画祭、例えばベルリン国際映画祭や英国インディペンデント映画賞等では、男優 / 女優 と言う区分を撤廃。「主演賞」「助演賞」のみにする動きもあるとのこと。

「男優賞」「女優賞」は撤廃すべき? 映画賞審査員の本音【ハリウッドコラムvol.325】(映画.com)

なお「主演」は、英語では Leading Role「助演」は Supporting Role と表現されます。

「主演」は Starring と言う英語表現が使われる場合もありますが、コレは正しく「その映画での最も重要な役柄 / 役者 / スター」=主演を意味します。

真田広之さん / 浅野忠信さん
英語でのスピーチ

ゴールデングローブ賞 テレビドラマ部門(ドラマ)にて、主演男優賞を受賞した真田広之さんのスピーチは、いつもより少し興奮気味ではありましたが、堂々と落ち着いて話す姿は、正に英語ネイティブではない人のお手本と言った感じでした。

そして助演男優賞を獲得した浅野忠信さんは、ユーモアも交えつつ、嬉しいと言った気持ちが手に取る様にわかる、喜びの感情をあらわにした、これまた素敵なスピーチをされました。

落ち着いて、堂々と話す。時には喜びの感情を爆発させながら、ユーモアを忘れない。2人とも素晴らしい英語でのスピーチをされたと思います。

東京サラダボウル

さて、2025年1月7日よりNHKにて放送がスタートしたドラマ「東京サラダボウル」。

本作は、外国人犯罪・外国人事件を捜査する警察官と通訳人が活躍するマンガ「東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー」が原作となったドラマです。

原作となったマンガについては以前このブログでもご紹介しました。

番組概要ページには、ドラマの説明として以下の文章が掲載されています。

“一つの言葉”への理解が、“誰かの人生”への理解に繋がれるかもしれない…。 昨今メディアに躍る“外国人犯罪・外国人事件”という言葉。犯罪が起きる事実はあっても、言葉が独り歩きすることで一部に偏見や差別を生んでいます。

これは「事件」と一括りにせず、外国人居住者の方たちの暮らしや人生に光を当て、そこに向き合う刑事と通訳人の目線で、異国で生きる葛藤に出会っていく物語です。

https://www.nhk.jp/p/ts/89M6WMXL8K/

東新宿署・国際捜査係の警察官・鴻田麻里(こうだ まり)を演じるのは奈緒さん、相棒となる警視庁・通訳センターの中国語通訳人・有木野了(ありきの りょう)は、松田龍平さんが演じています。

それ以外にも、警視庁・通訳センターの同僚で英語通訳人の黒須雄介を関口メンディーさん、ベトナム語の通訳人・今井もみじを武田 玲奈さん、シンハラ語通訳人かつチームの統括である清宮百合をイモトアヤコさんが演じています。

シンハラ語(Sinhala or Sinhalese) とは、スリランカで話されている公用語の1つになります。この様な希少言語が登場するのも、なかなか興味深いですね。

因みに、最高裁判所が発行している小冊子「ご存知ですか法廷通訳」からデータを引用すると、全国の地方裁判所や簡易裁判所の刑事事件の法廷で使用された外国語の種類は「32言語」だそうです(令和4年 / 2022年調べ)。

最多がベトナム語(34.8%)、次いで中国語(19.9%)、タイ語(7.5%)、タガログ語(フィリピン・6.9%)、ポルトガル語(5.4%)、英語(4.7%)となっています。

ドラマにも通訳人が登場するシンハラ語は3.7%、その後にインドネシア語、スペイン語、ネパール語と続きます。

さらに、その他の言語:ウズベク語、ウルドゥー語、カンボジア語、トルコ語、ヒンディー語、ペルシャ語、ベンガル語、ミャンマー語、モンゴル語、韓国・朝鮮語は、合計すると9.6%にもなるそうです。

また、全国の地方裁判所や簡易裁判所で事件が終局した被告人44,907人のうち、通訳人が付いた外国人被告人は3,471人で、おおよそ13人に1人の割合となっており、国籍数は70か国とのことでした(令和4年 / 2022年調べ)。

データ引用元:最高裁判所発行小冊子
「ご存知ですか法廷通訳」

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2024/R6.1ban-gozonji.pdf

通訳人
と言う呼び方

通訳をする人のことは一般的に「通訳者」と呼びますが、警察や司法関係では「通訳人」と言う呼び方も使用しています。

先程ご紹介した最高裁判所発行小冊子内にも「通訳人」と言う呼称は登場しますし、マンガ「東京サラダボウル ー国際捜査事件簿ー」の監修者で関西司法通訳養成所代表 清水真氏のインタビュー記事や、朝日新聞の記事でも「通訳人」は使用されています。

「通訳人」以外にも、事件や裁判などに関わる通訳者のことを「法廷通訳者」や「司法通訳者」または「司法通訳士」と呼ぶこともあります。

残念ながら、日本では警察通訳人も含めた司法に関連する通訳/翻訳の認定制度等は、まだ確立していません。

しかし 一般社団法人 日本司法通訳士連合会/Japan Law Interpreter Association では、司法通訳士認定試験や司法通訳養成講座を実施するなど、司法通訳人の技能と地位の向上に努めています。

なお、警察通訳人になる方法については、先ほど紹介した本ブログの記事 警察通訳人について 内にて紹介。以下記事でも育成方法等についてご紹介しています。

また、事件や裁判などでの通訳は、話し手が話した言葉全て、 一期一句 もれなく訳す事が求められる為、話者の話が完了、もしくは一区切りついたら訳すスタイルの通訳=逐次通訳(ちくじつうやく)で行うのが一般的です。

この様な、通訳の方法や種類については、以下記事にて簡単ではありますが、ご紹介しています。

ミーハングループ代表であり通訳者でもある右田アンドリュー・ミーハンは、東京地方裁判所 登録通訳者として法廷通訳を務めている他、海外の裁判所でも裁判所認定法廷通訳者として活動。

アメリカ司法省連邦捜査局嘱託言語学者(contract linguist monitor)、及び アメリカ司法省連邦刑務所局公認通訳士としても、捜査の現場や刑務所等で通訳を務めている事から、本ブログでも、何度か警察 及び 裁判も含めた司法通訳の役割や、その仕事の難しさについてご紹介してきました。(以下は代表的な記事になります。)

1月7日からスタートしたドラマ「東京サラダボウル」によって、警察通訳人及び司法通訳の仕事内容や、日本での外国人犯罪における通訳の難しさや等が、より多くの人に伝わることを本ブログ担当者も心から願っています。

ドラマ10 東京サラダボウル
放送概要

ドラマ10「東京サラダボウル」

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