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同時通訳の幕開け・AIIC / 国際会議通訳者連盟の始まり

1945年11月20日 第二次世界大戦において、ドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判「ニュルンベルク裁判」が始まりました。この裁判は、それまで非公式な場で実験的に行われていた「同時通訳」が、始めて公式に採用された裁判であり、AIIC / 国際会議通訳者連盟の設立のきっかけにもなっています。

ニュルンベルグ裁判
NurembergTrials

1945年11月20日 第二次世界大戦において、ドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判「ニュルンベルク裁判」が始まりました。

英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語で行われたこの裁判は、話者の話が終わった後に通訳をする「逐次通訳」では膨大な時間がかかる為、それまで非公式な場で実験的に行われて いた「同時通訳」が、始めて公式に採用された裁判でもありました。

同裁判で働いた同時通訳は36名。12名からなる3チームで構成され、裁判所では4ヶ国語のデスクがガラスで4つのブースに仕切られ、英仏独露の4ヶ国語のセクションに区切られていました。

各々のデスクは3名で構成されており、そこにマイクを1本配置。3人の役割は、例えば英語への通訳の場合、1人がドイツ語を聞きながら英語を喋る担当、他は仏→英、露→英と言う具合に通訳が行われました。

当時の同時通訳機器

裁判官、検察官、オブザーバー、傍聴人にはそれぞれ4チャンネルのダイヤルが付いている小さなスイッチボックスが渡され、それを自分の使用する言語に合わせてイヤホンを付けると、審理全体を自国語で聞けるシステムになっていました。

通訳するにあたっては、高度な言語知識(方言や、各国により異なる社会的・文化的、法律や軍事的な専門用語)が求められる他、喧騒の裁判所内で話者の話を聞く集中力と忍耐力も必要でした。

また同時通訳を円滑に進める為、同時通訳機器にも高い技術力が求められました。

国際会議における通訳者の権利保護や地位向上を目指す綜合専門職能団体として、1953年に設立されたAIIC / 国際会議通訳者連盟は、このニュルンベルグ裁判での同時通訳が始まりとなっています。 

75年前の11月20日から始まった同時通訳の歴史を紹介する為、AIICではTwitterやFacebookを通じて、様々な情報を発信しています。

Website
https://aiic.org/

Tweetされた動画がこちら。同時通訳がニュルンベルグ裁判でどの様に行われたかを紹介する動画になります(英語 他)。

動画タイトルにある様に、同裁判で使用された同時通訳のシステムはIBMが開発しました。

AIIC
国際会議通訳者連盟

AIICは、日本ではまだ馴染みが薄い組織ですが、世界100ヶ国以上、約3,000名の会員が登録しています。

日/英の通訳者は20名ほどが会員となっており、日本在住のメンバーは7名(2020年8月現在)。弊社代表の右田アンドリューミーハンもその内の1人です。

AIICは、国際連合(国連)や世界銀行、国際オリンピック委員会(IOC)などの国際団体、主要国首脳会議(G7 /G20)等と提携しており、これらの機関や組織で働く通訳者の多くがAIICの会員です。

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