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外国語教育とAI(人工知能)

先日「中国の大学がAIの影響を受け、韓国語を含む外国語専攻の募集を次々と中止している」との報道記事を読みました。今回のブログでは、言語とAI(人工知能)及び、機械翻訳では対応しきれない翻訳における大事なポイントについて、以前掲載した本ブログ記事なども混ぜながら、少しご紹介したいと思います。Gerd AltmannによるPixabayからの画像)

外国語教育 と AI

外国語はもはやAIに任せる?…中国の大学、韓国語専攻などの募集、次々に中止(2024年9月1日 KOREA WAVE MONEY TODAY JAPAN / Yahoo News)

2024年9月1日 Yahoo Newsに転載された KOREA WAVE MONEY TODAY JAPAN の記事では、中国の大学の外国語教育について、以下の様に報じています。

中国の大学がAIの影響を受け、韓国語を含む外国語専攻の募集を次々と中止している。外国語専攻の卒業生は就職率が低く、AI(人工知能)の進化により社会的需要も減少しているため、外国語教育は大きな転換点を迎えている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b0e01e91219fd744450e20ab2395ee7f5347ea1f

同記事では、まとめとして「簡単な日常的な表現の翻訳はAIが容易にこなす一方で、専門的な文書や複雑な表現においては依然として人間の介入が必要だとされる。このため、専門家はAIの進化に伴って、外国語の教育は質の向上が求められると指摘している」と最後に述べています。

機械翻訳
Machine Translation

本ブログでは、何度か機械翻訳 / Machine Translation についての記事を掲載してきました。

この機械翻訳には、AI翻訳 / AI translation tools, Artificial Intelligence translation tools も含まれています。

機械翻訳の精度は確かに年々上がって来てはいますが、先ほど紹介した記事のまとめにもあった様に「専門的な文書や複雑な表現においては依然として人間の介入が必要」とされています。

ではなぜ「人間の介入が必要なのか」これについては以下のブログ記事等でもご紹介しています。

ミーハングループのモットーは「言語だけに留まらない 文化・ビジネス・心の橋渡し」ですが、これをかみ砕いた形で言い換えると、以下の様な文章になります。

通訳や翻訳は、その言葉の背後にある、歴史や文化、常識、状況、文脈を考慮し、言葉を発した人や文章が本当に伝えたい事を理解した上で、異言語/異文化におけるコミュニケーションが円滑に行われる様に、言語スキルを用いてサポートするのが通訳/翻訳の使命

つまり、言葉を単純に置き換えるだけでは実現できない、深いレベルでの相互理解、より良いコミュニケーションの実現を、言語の面からサポートするのが通訳/翻訳者の仕事だと我々は考えており、それこそが「専門的な文書や複雑な表現においては依然として人間の介入が必要」と言われる所以でもあると思います。

これからの時代、シンプルなやり取りであったり、文章の概要的な意味を理解するだけであれば機械翻訳ツールを使用し、より深いコミュニケーションの場合や、じっくり内容を吟味する必要がある文章の場合は通訳/翻訳者を利用すると言う、「訳の精度」によった住み分け/使い分けも進むと思います。

AIとの共存共生、どうタッグを組むかが今後の課題。

それ故、通訳者や翻訳者になる・ならないは別としても、他言語を学習する場合は、その言語の裏側にある常識や文化、歴史、母語との考え方の違いや、表現方法の違いを学ぶことが、今まで以上に重要になると思います。

お世話になります
よろしくお願いします

弊社代表で、英日・日英 通訳/翻訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、Thank you と言う一言をとっても、日本語に訳す場合は、どのタイミングで、どの様な文脈で言われたかによって「お世話になります」や「よろしくお願いします」と、訳を変えると言います。

例えば We look forward to working with you も、直訳すれば「あなたと一緒に働く事ができるのを楽しみにしています」になります。

しかし 分解して考えると We は弊社や私ども、look forward は今後のこと、working with you は何かの案件でご一緒できることを意味するので、例えば契約締結後にこの言葉が出てきたら、フォーマルな場や文章であれば「貴社の事業にお力添えができるよう、弊社一丸となって頑張ってまいります」や「より一層貴社のお役に立てるよう、精進してまいります」等と訳すのが適切です。

よりカジュアルなシチュエーションであっても、ビジネスシーンであれば 例えば「お仕事をご一緒出来ること、楽しみにしております」くらいの表現にはなりますし、相手に変なプレッシャーを与えない日常的な日本語に訳すのであれば「今後とも何卒よろしくお願いします」とするのが、妥当な気がします。

どの様なシチュエーション、どの様な意図でその言葉が言われたか?書かれているのか? 発した側の意図を汲み取り、なおかつ訳す言葉の文化や常識も加味して、適切な表現/言葉に訳す。

これがあって初めて円滑な異言語/異文化コミュニケーションは成り立ちます。

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