本ブログでは何度か異文化コミュニケーションについての話題もご紹介してきました。今回は異文化コミュニケーションについての気になる記事が2つありましたので、実際に体験したエピソード等と併せてご紹介したいと思います。
「無宗教」に対する
海外の反応
日本では「自分は仏教徒」だとか「神道の信者だ」とか、宗教を強く意識して生活する事は、少ないと思います。それ故、自分の事を「無宗教だ」と言う人も多いそうです。
でも、よく考えてみるとお盆時期にお墓参りをしたり、年末に除夜の鐘をついたり、新年には初詣をしたりします。
また受験の時などに合格祈願のお守りをもらったり、健康祈願をしたり、家を建てる時は地鎮祭をしたりと、気が付くと生活の中に様々な宗教行事や行為が根付いています。
弊社代表 通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、日本人の宗教や宗教観について「生活習慣化している事が多い」と、他国の方に説明する事も多々あるそうです。
つまり宗教として意識しない=無宗教とは言い切れないと言うことです。
一方、日本以外の国の場合、熱心か熱心ではないかは別として「無宗教」と言う人は余り多くありません。
この「無宗教」と言う考えに対する意識や認識の差、またそれに対する反応について、興味深い記事がありました。
日本では違和感ない「無宗教です」の言葉も海外では危険 元大使が経験した“凍りついた”現場(AERA dot 2022/08/27)
駐チュニジア、駐ラトビア特命全権大使を歴任した多賀敏行・中京大学客員教授のインタビュー記事ですが、「無神論者」を意味する atheist(エイシエスト)をクチにした時の、他国の人々の反応について話しています。
インターネットの辞書で「無神論者」を検索すると、「atheist(エイシエスト)」という単語が出てくる。なので、こう言いたくなります。
「I’m an atheist(私は無神論者です)」
しかし、海外で無神論者は、「神をおそれない傲慢な人」「不遜な考えを持つ人」というふうに受け止められます。これを私が最初に教えられたのは、外務省の新人研修でした。
当時は、東京都文京区の茗荷谷にあった外務省研修所で3カ月間、外交のイロハを学びました。当時の副所長は、開口一番、私たちにこう言い放ったのです。「君たちのなかで、外国の人に対して『自分は無宗教主義者だ』と言いたい人はそう伝えなさい。ただし、相手から反論が出てくるので、それに答える覚悟が必要である」
それ以上、具体的なことには踏み込ませんでした。しかし、異なる国と文化圏の人びとを相手に「無宗教主義」と告げることへの配慮を最初に教えられた場でした。
https://dot.asahi.com/dot/2022082400091.html
宗教を余り意識して生活しないのと、無神論者 / 無宗教主義には大きな隔たりがあります。
熱心な信者では無くても、お寺や神社にご縁がある方は「仏教徒」または「神道信者」と答えるのが良いのではないか?と記事内で多賀氏は話しています。
また、宗教も含めた異なる文化社会での、コミュニケーションの取り方についても、記事では紹介されています。
コミュニケーションの
「暗黙のコード」
なんだか、ちょっと怖いタイトルですが、次にご紹介したい記事はコチラです。
足を組んだら不合格!? 世界基準で考えるコミュニケーションの「暗黙のコード」とは(ZUU online 2022/08/30)
本記事は、御手洗昭治氏の著書『ビジネスエリートが身につけたい 教養としてのダンディズム(ぱる出版)』の中から一部を抜粋・編集した内容になっています。
一つの身振りや仕草、それに立ち振る舞いなども、言語が異なれば、同じものとして解釈されないことがある。例えば、日本の若い女性の「くすくす笑い」は、日本では別に問題視されないが、欧米文化で育った人たちには、これは「大変無礼な行為」として受け止められるので、要注意である。
われわれが、無意識のうちに行っている一つの身のこなし、振る舞いの意味するところのイメージを浮かび上がらせるためには、その言葉を使用している人びとの間で、共通にシェアされている「暗黙のルールやコード」を知る必要がある。
https://zuuonline.com/archives/240728
身振りや手振り、仕草などに対する意味や解釈の違い、コレも異文化コミュニケーションで気をつけたいポイントです。
以前 右田アンドリュー・ミーハンが通訳をした場では、中指を自分の額に当てて考える癖のある日本人男性が居たそうです。
これを見たアメリカ人の参加者が「あの日本人は、コチラ側に対して失礼なサインを送ってる!! 」とものすごく腹を立てたとの事。
中指を立てるジェスチャーは、すなわち「FUCK YOU(くたばれお前ら)」を意味します。恐らくご本人は無意識にやってしまった事でしょうが、それで話がとん挫しては元も子もありません。
とは言え、無意識に出てしまうことを完璧に抑えるのも、なかなか難しいのものです。
ですので、まずは「様々なボディランゲージは国や文化によって、大きく異なる」を意識する事、そして異なる文化の場所に身を置いたら、何が失礼か?してはいけない事はなにか? 誤解を与えてはいないか、確認するのも大事だと思います。
通訳・翻訳でも
異文化理解は大事
さて、通訳や翻訳は「異言語」を訳す仕事であると言うのが一般的な認識だと思います。例えば、英語を日本語へ、日本語を英語へ。
それは確かにそうなのですが、実は「異文化」を訳す仕事でもあるとミーハングループは考えています。
例えば 弊社代表通訳の右田は、Thank You と言う言葉ひとつとっても、話のどこで発言しているかによって「ありがとうございます」ではなく、「よろしくお願い申し上げます」、「恐縮です」、「助かります」等々、何に対して Thank you と言ってるのかを考えて、訳す言葉を選んでいるとのこと。
異なる言語の背後には、異なる文化、価値観、常識が必ず存在します。
それらを含めて訳し、コミュニケーションが円滑に行われる様にサポートをする。それが通訳であり翻訳の仕事であると、私たちは考え、日々業務にあたっています。
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