2022年2月24日から始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻から1年が経ちました。今回は昨年このブログでもご紹介したウクライナ情勢に関連する英語の表現を振り返りつつ、新たな英語表現についてもご紹介します。(EnriqueによるPixabayからの画像 )
ウクライナ・ロシア戦争
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻。始まった当初はどのメディアも「戦争 War」と言う言葉は使わず、以下の様な表現を用いていました。
- Military attack
軍事攻撃 - Military activity
軍事行動 - Military invasion
軍事侵攻 - Russia attack on Ukraine
ロシアによるウクライナへの攻撃 - Russia invasion ( or invades) Ukraine
ロシアによるウクライナ侵攻 - Russia Ukraine crisis
ロシア・ウクライナ危機 - Ukraine conflict
ウクライナ紛争
Military activity / 軍事行動は実際の攻撃前の行動を指す場合が多く、実際の攻撃については Military attack や Military invasion を使用するケースが多い様です。
しかし、現在は Ukraine war や War in Ukraine, Russia-Ukraine war などが英字メディアでは多く使われています。
- War in Ukraine BBC
- War in Ukraine The Washington Post
- Russia-Ukraine war The Garden
- Russia-Ukraine war The New York Times
- Ukraine war CNBC
ミーハングループ・ブログに1年前、2022年3月26日に掲載した以下記事では、軍事侵攻に関連した英語表現もいくつかご紹介しています。併せてチェック頂ければ幸いです。
停戦・休戦
英語表現
今年の1月にロシア プーチン大統領が呼び掛けた「停戦 Ceasefire / Cease-fire」。この Ceasefire / Cease-fire の意味をより明確に理解してみましょう。
ceasefire noun
Cambridge dictionaryan agreement, usually between two armies, to stop fighting in order to allow discussions about peace:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/ceasefire
つまり ceasefire は、和平交渉のために戦闘を停止する協定のことを意味します。
ところで日本語では戦闘状態を中止する意味の言葉に「休戦」と「停戦」の2つがあります。調べると以下の様な説明がありました。
意味解説辞典 より
https://meaning-dictionary.com/%E3%80%8C%E4%BC%91%E6%88%A6%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%80%8C%E5%81%9C%E6%88%A6%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%8F%E8%A7%A3/
「休戦」は「終戦に向けて合意の上、戦闘行為を長期間中止すること」です。
「停戦」は「目的があって合意の上、戦闘行為を一時中止すること」です。
「休戦」を意味する英語を調べてみると truce や armistice 等が出てきます。
truce noun
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/truce
Cambridge dictionary
a short interruption in a war or argument, or an agreement to stop fighting or arguing for a period of time:
armistice noun
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/armistice
Cambridge dictionary
a formal agreement between two countries or groups at war to stop fighting for a particular time, especially to talk about possible peace:
しかし、時に「休戦」を意味する場合の英語として ceasefire が使われる場合もありますし、日本語の「休戦」と「停戦」も明確な定義はないといった説明もありますから、これらの言葉の選択は、前後の文章や状況により変化すると考えた方が良いでしょう。
人道危機・人道支援他
に関連する英語表現
ロシアによるウクライナ侵攻でよく耳にする言葉の一つに「人道○○」があると思います。
この人道とは「人間の尊厳を至上のものとし、人間愛に基づいて、人種、民族、国籍の別にかかわりなく、人類の福祉を増進することをめざす立場。( コトバンク・精選版 日本国語大辞典より )」を意味します。
英語の Humanism(ヒューマニズム) を、そのまま使用するケースも日本ではよく見かけると思いますが、人道が危機にさらされた場合、及び人道的な理由により実施される事柄や対応については、英語では Humanism をそのまま使うのではなく、Humanitarian という言葉がよく使用されます。
日本政府もロシアの軍事侵攻に対して、多くの人道支援をウクライナに行っていますが、この場合の「支援」は、Support や Help ではなく、Action が用いられます。
- 人道危機(人道的危機)
humanitarian crisis
国家が保障するべき自国民の健康・安全・地域共同体に属する権利などが、なんらかの理由で侵害されている重大で危機的な状況のこと - 人道回廊
humanitarian corridor
人道的危機下にある地域へ援助をもたらす、またはこの地域から民間人を避難させる、あるいはその両方のための安全な通行を保証、設定される通路(回廊)の事。 - 人道支援
humanitarian action
紛争の被害者や自然災害の被災者の生命、尊厳、安全を確保するために、援助物資やサービス等を提供する行為の総称。 - 人道援助
humanitarian aid
緊急事態またはその直後における、人命救助、苦痛の軽減、人間の尊厳の維持及び保護のための支援。 - 人道支援機関(複数の場合)
humanitarian agencies
※1つの場合は humanitarian agency
AIIC
国際会議通訳者連盟
国際会議における通訳者の権利保護や地位向上を目指す綜合専門職能団体であるAIIC(アイイク)は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった直後から、世界各国の会員及び非会員によびかけ、ウクライナの人々の言語支援を行っています。
AIIC会員であるミーハングループ代表 通訳者の右田アンドリューも、このAIICのウクライナ向け言語支援リストに名前を連ねています。