2月21日は「国際母語デー / International Mother Language Day」。1999年にユネスコの総会で認定された日で、言語と文化の多様性、多言語の使用、あらゆる母語の尊重の推進を目的としています。そこで本ブログでも国際母語デーの由来や、「母語」の英語表現、AIIC 国際会議通訳者連盟の情報などをご紹介したいと思います。(Trid IndiaによるPixabayからの画像)
国際母語デー
International Mother
Language Day
2月21日は「国際母語デー / International Mother Language Day」です。
1999年にバングラデシュが発案し、ユネスコの総会で認定され、翌年 2000年より世界各国にて記念されている日になります。
日付である2月21日は、1952年 パキスタンの一部であったバングラデシュのダッカで、ベンガル語も公用語にと求めるデモが発生、警官隊が発砲し、死者が出たことに因んでいるとのこと。
当時のパキスタン政府が、アラビア文字を使用するウルドゥー語を公用語にして国民統合をはかろうとした事に対し、ベンガル語を日常会話とする人々が反発。
ベンガル語も公用語に!と求める「言語運動」が起り、1952年2月21日 ダッカ大学にて抗議集会が行われ、ここに警察隊が突入。4人の尊い命が失われました。
参考リンク
【今日は何の日?】2月21日: 国際母語デー/International Mother Language Day(2021年2月19日 Free The Children Japan)
なお、バングラデシュは1971年12月に解放戦争に勝利し、国家として独立。現在はバングラデシュ人民共和国となっており、国際母語デーである2月21日は、バングラデシュでは「言語運動記念日」にもなっています。
「国際母語デー」
https://unesco-sdgs.mext.go.jp/3616
ユネスコは、持続可能な社会の実現に文化と言語の多様性は欠かせないと考えており、これらを保護することが寛容と他者への敬意の心を育み、平和につながると信じています。
多言語および多文化社会は伝統的な知識や文化を、言語を通して持続可能な方法で伝達・保護することで存続しています。言語の多様性は、多くの言語が失われていく中、ますます脅威にさらされています。
世界において40%の人々が、それぞれが使用する、あるいは理解する言語で教育を受けることができていません。しかしながら、母語を基礎とした多言語教育は、特に幼児教育と市民生活の発展において、重要であるという理解が深まっています。
ユネスコ Website より
母語とは
ここで改めて「母語 / Mother Language / Mother tongue」とは、何を意味するのか調べてみました。
精選版 日本国語大辞典 / コトバンク より
ぼ‐ご【母語】・ 名詞
① ( [英語] mother tongue の訳語 ) 幼児期に最初に習得される言語。第一言語。[初出の実例]「此の希臘人の発見した真理の教を伝へんとするに当って、自分の母語ラテンが余りに貧しいものであるとこぼして」(出典:ルクレチウスと科学(1929)〈寺田寅彦〉一)
② ( [フランス語] langue mère [ドイツ語] Ursprache の訳語 ) 同じ系統に属する諸言語の源である言語。例えば、フランス語、スペイン語、イタリア語などの母語はラテン語である。祖語。
2月21日に制定された「国際母語デー / International Mother Language Day」が意味する「母語」は、1に書かれている「幼児期に最初に習得される言語。第一言語」になります。
つまり国籍がどこであれ、最初に、幼少期に覚えた言葉が、その人の「母語」になります。
英語で母語は、mother Language, mother tongue の他に、日本語の第一言語に該当する first language, native language / native tongue という言い方もあります。
※ tongue は舌を意味します。
from Cambridge dictionary
first language noun
the language that someone learns to speak firsthttps://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/first-language
someone's native language/tongue phrase
the first language that someone learns:https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/native-language-tongue
参考リンク
国際母語デーはなぜ存在するのだろうか。言語を守る意義とは(2022.2.9 あしたメディア)
International Mother Language Day 21 February (United Nations)
AIIC
国際会議通訳者連盟
AIIC(アイイク)/ 国際会議通訳者連盟 でも、国際母語デー / International Mother Language Day を記念し、様々な投稿をしたり、催し物を行ったりします。
AIIC - a world where every language counts / 世界のあらゆる言語に価値がある これが、今回の国際母語デーにおけるAIICからのメッセージです。
またイタリアのローマでは、AIIC Training & Professional Development 主催による、AI and Ethics / AIと倫理 に関するワークショップが、2月21日と22日に開催されます。
The Rome Seminar 2025:
AI and ethics in interpreter training
https://aiic.org/viewEvent.html?no_header=true&productId=692
AIIC とは
1953年に設立したAIIC(アイイク)は、国際会議における通訳者(手話通訳者も含む)の権利保護や、地位向上を目指す綜合専門職能団体で、本部事務局はスイス・ジュネーブにあります。
日本ではまだ馴染みが薄い組織ですが、世界100ヶ国以上、約3,000名の通訳者が会員登録をしており、対応する逐次・同時通訳言語は96言語になります。
※2025年2月現在の登録者地域/国数と会員数:106ヶ国・3085名
AIICに会員登録している日本語(英/日・仏/日・独/日 伊/日)の通訳者は20名、そのうち日本在住の会員は7名(2025年2月現在)。弊社代表の 右田アンドリューミーハン (英/日通訳)も、日本在住AIIC会員の1人です。
AIIC Websiteにはイベント情報や、お勧めの通訳学校情報 等も掲載されています。非会員の方でも参加できるイベントもありますし、もちろん情報にアクセスする事も可能です。
ご興味のある方は、以下リンクの Website または AIIC の LinkdIn ページ をぜひチェック下さいませ。
Website
https://aiic.org/
AIIC LinkdIn page
https://www.linkedin.com/company/aiiconline/