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お弁当に見る異文化 ~訪日外国人観光客急増に伴い~

海外からの訪日観光客増加により、トラブルの発生を報じるニュースやSNSの投稿等を目にする事も多くなってきました。そこで今回は「お弁当」や「食文化」をキーワードにした異文化コミュニケーション、そして英語表現 等をご紹介します。likesilktoによるPixabayからの画像)

オーバーツーリズム
Over-tourism

コロナ禍により海外旅行が出来なかった期間を経て、現在多くの旅行客が様々な観光地に押し寄せています。

3年もガマンしていたので、皆さん楽しみにしていた旅行だとは思いますが、気分が高揚しすぎてなのかトラブルを報じるニュースやSNSでの投稿等も、残念ながらよく見かける様になりました。

観光客を連行、トレビの泉に侵入し水筒満たす ローマ(2023.08.20 CNN.co.jp)

最近では観光地に旅行客が押し寄せ、そこに住む人々の生活もままならない状況になる「オーバーツーリズム / Overtourism (観光がもたらす弊害・公害)」についての番組なども よく見かけます。

先日、日本の伝統的なお弁当で知られる老舗のお店が、コロナ禍前のエピソードとして『中国からの団体さんにご利用いただき「冷めている」「肉が入っていない」と大不評だった』と、自店のお弁当の写真と共にSNSに投稿し、話題になっていました。

同投稿にも書かれていましたが、これはお弁当に対する「文化の違い」が原因と思われます。

お弁当と異文化

最近は、コンビニなどではお弁当を電子レンジで温めてくれますし、駅弁などでも蒸気等で温める事が出来るモノもありますが、日本のお弁当、特に昔ながらのお弁当は「冷めている」状態で食べる事を前提に作られているモノが多いです。

その代わりに「冷めても美味しく食べられる」様に、ご飯の炊き方や味付けを工夫したり、衛生面でも問題が無いように抗菌効果の高いスギやヒノキ、マツなどの木材を、紙のように薄く削った経木や、竹皮などでおかずやおにぎりを包装したりしています。

柿の葉で包まれたお寿司「柿の葉寿司」なども、柿の葉の抗菌/抗ウイルス作用を利用していると言われていますし、お弁当によく使われるお酢やワサビ、生姜なども殺菌作用が高い事で知られています。

昔は、長距離を徒歩で移動するのが主でしたし、移動中の食べ物の保存状況も今と比べると、温度や湿度が高かったり、一定で無かったりと、保存には良くない環境でした。

そんな中でも、安全に美味しく食べて貰えるように、工夫をされているのが昔ながらの日本のお弁当です。

しかし、この様な歴史的背景を知らず、盛り付けが美しくとも冷めた料理を提供されてしまうと、文化の違う人々が不快に思う事もあります。

冷めた料理を嫌う国

前出の老舗お弁当屋さんのケースもそうでしたが、例えば同じアジアでも中国や台湾、韓国、タイなどは「冷めた料理(お弁当等も含む)」を嫌う傾向があります。

インドや中東の国々も同様の傾向があると言われていますが、これは味だけの話ではなく、冷めている料理は保存状態が悪く、安全ではないと言う意識や常識の違いもあります。

この様な常識や食文化の違いを踏まえて、国土交通省では以下の様なマニュアルも作成しています。

多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル ~外国人のお客様に日本での食事を楽しんでもらうために~(国土交通省 総合政策局 観光事業課 平成20年2月資料 PDF)

英語で
秋の行楽シーズン

さて、お弁当と言えば行楽に持っていくイメージもあると思います。

因みに「行楽の秋」に100%該当する英語はありません。季節に対するイメージや文化は、各国によって異なりますから。しかし、あえて訳すとすれば Activities to celebrate the season in autumn or fall と表現できるかと思います。

お祝いや、祝福と言ったイメージの強い言葉 celebrate は、堪能する(気分を晴らす) と言う意味で使うことも出来ます。

From Cambridge dictionary

celebrate verb
to take part in special enjoyable activities in order to show that a particular occasion is important:

to express admiration and approval for something or someone:

to lead a religious ceremony:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/celebrate

また日本の食文化は Japanese diet 、昔ながらの知恵は Pearls of wisdom と訳す事が出来ます。

最近は日本のお弁当として「キャラ弁」も世界的に知られています。これは英語で Kyaraben または キャラクター弁当の略語なので Charaben と表記されたりもしますが、より分かりやすく cute Japanese bento box 等と紹介されたりもしています。

秋の行楽に伝統的な日本のお弁当を持っていくのも素敵ですが、異文化コミュニケーションの場では、この様な「キャラ弁」を持っていくのも、話題作りにはアリかも知れません。

食文化を学ぶことは
言語を学ぶことに似ている

以前、このブログに掲載した AIIC 通訳者 グラッツィエ−ラ・デ・ルイスさんのインタビュー で、グラッツィエ−ラさんは以下の様に話しています。

その国の食べ物を食べる事、言語は食!。言葉と文化の結びつきは強く、習得する言葉の国の食べ物を食べる事により、食べ物の名前や料理の名前を覚える事から、文化・歴史も学べます。

通訳者 グラッツィエ−ラ・デ・ルイスさんインタビュー

生きる為に言葉を覚えた・通訳者 グラッツィエ−ラ・デ・ルイスさんインタビュー

言語は、話される国の歴史や文化、常識を大きく反映するものですが、食文化も実は同じです。

それ故に文化や常識の違いで、誤解やトラブルを生み出す可能性もあります。

知らずに間違えてしまう事もあるかも知れませんが、それを恐れず、「理解しよう」と言う意識を持って お互いに歩み寄り、美味しく、そして楽しく、異なる食文化を味合うのも大事なのではないでしょうか。

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