先日 岸田総理大臣の首相答弁にて使用され、注目を集めた言葉「リスキリング」。学び直し等と訳される事が多いこの言葉は、和製英語ではなく Reskilling と言うれっきとした英語です。今回の本ブログでは「リスキリング / Reskilling」を中心に、最近企業等でよく使われる言葉を紹介したいと思います。
リスキリング
Reskilling
冒頭にも書きましたが、最近注目を集めている言葉「リスキリング」または「リスキル」は、和製英語ではなく、れっきとした英語です。
reskilling noun
Cambridge dictionarythe process of learning new skills so you can do a different job, or of training people to do a different job:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/reskilling
新しい仕事や、異なる職種に就くために新たなスキル(技術や能力)を学ぶことを意味する reskilling は、日本語では「学び直し」や「再訓練」「新たな学び・研修」などと訳されています。
2020年1月に行われたダボス会議でも、この「リスキリング」は話題に取り上げられました。
リスキリング革命
Reskilling Revolution
2020年1月21日から24日にかけて、スイス・ダボスで行われた世界経済フォーラムの年次総会 2日目に発表された「リスキリング革命 / Reskilling Revolution」。
これは「第4次産業革命に伴う技術の変化に対応した新たなスキルを獲得するために、2030年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供する」といった内容でした。
参考サイト
リスキリング革命を実現するには(2019年6月 世界経済フォーラム)
第4次産業革命とは、IoTやAI、ビッグデータを用いた技術革新のことを指します。
英語では The Fourth Industrial Revolution または 4IR や Industry 4.0 などと表記される場合もあります。
参考サイト
日本経済2016-2017 第2章 新たな産業変化への対応 第1節 第4次産業革命のインパクト (2017年1月 内閣府)
つまり英語の Reskilling は、DX / Digital Transformation が進む現在ビジネス市場に対応したスキルの学び直し・再訓練・再研修を意味する場合が多いです。
アップスキル
Upskilling
第4次産業革命に対応する為の、技術や能力の学び直し Reskilling に関連した他表現もいくつかあるので、ご紹介したいと思います。
2020年10月に世界経済フォーラムが開催した「ジョブ・リセット・サミット」及び、オンラインにて2021年6月開催「ジョブ・リセット・サミット2021」では以下の様な言葉も使われています。
参考サイト
新型コロナウイルス感染拡大により加速する「仕事の未来」の到来 - 労働者を守るためにすべきことは?(2020年10月 世界経済フォーラム)
- Upskilling
スキル向上 - Gender Parity
ジェンダー公正 - Great Recession
世界的 / 大規模な経済的衰退
スキル向上を意味する Upskilling ですが、似た様な意味の言葉に「スキルアップ」があります。
しかし「スキルアップ」は和製英語です。単純に技術や能力=スキルの向上を意味する場合は、英語では improving (your) skills と表現します。
ではこの Upskilling 日本語では「アップスキル / アップスキリング」と表現される言葉は、どの様な場合に使われるのでしょうか?
upskilling noun
Cambridge dictionarythe process of learning new skills or of teaching workers new skills
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/upskilling
一見すると、日本語 / 和製英語の「スキルアップ」と意味はほぼ同じように見えます。
しかし Upskilling の背景には第4次産業革命がある事を忘れてはいけません。
今持っている技術や能力を、DX化が進む現在のビジネス市場に併せて向上させる事を upskilling では主に意味します。
参考サイト
アップスキル&リスキルとは何か?- 革新的なアプローチと定義(2022年10月 DevSkiller)
技術の進化に伴い、世界におけるビジネスの状況も急速に変化しています。
コロナ禍で定着したテレワーク / リモートワーク( Work from home )、オンライン会議など、デジタルツールを利用した仕事のスタイルも、この変化に拍車をかけたのではないでしょうか。
この様な社会の変化に伴い「言葉」も進化します。しかし、その表層的な意味だけに捉われず、背景にある事柄や本質的な意味等も理解しておくことは、大事なことではないでしょうか。