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BLM / Black Lives Matter とは ~報道から学ぶ英語表現~

2020年5月25日アメリカ・ミネアポリス近郊で、黒人男性 ジョージ・フロイド(George Floyd)氏が、警察官の不適切な拘束方法によって死亡した事件に端を発し、再燃している BLM こと Black Lives Matter 。今回はこの言葉を訳す事の難しさについて、少し触れたいと思います。

#BlackLivesMatter

そもそもBLM / Black Lives Matter は、2012年2月にフロリダで起きた、当時高校生だった黒人青年トレイボン・マーティン氏射殺事件の容疑者に、無罪判決が出た事に抗議する為、多くの人が #BlackLivesMatter というハッシュタグを付けて、ソーシャルメディアに投稿した事で広まった言葉です。

この動画は、2016年にオランダのVPRO documentaryで放送された50分弱の少し長めのドキュメンタリーになります。(英字字幕等あり)

動画の冒頭にてハッシュタグ #BlackLivesMatter が生まれた経緯について、BLM運動の創始者の1人である Patrisse Cullors (パトリッセ・カラーズ)さんが説明をしています。

※BLM運動は、現在世界中に40の支部がある組織として活動しているグループでもあります。ハッシュタグ #BlackLivesMatter が生まれた経緯については、以下のリンクから日本語でもお読みいただけます。

Black Lives Matter運動、創始者に聞く女性の力 - アリシア・ガルザ氏
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/071300415/
(ナショナルジオグラフィック)

Black Lives Matter
日本語にどう訳すか

さて、この「BLM / Black Lives Matter」の日本語訳は、実は非常に難しく、WikipediaのBlack Lives Matter 日本語ページにも以下の記載があります。

2020年5月のミネソタ州ミネアポリスで発生した黒人男性を白人警官が死に至らしめた事件に端を発する世界的に広がった抗議運動についての報道に際し、ハフポスト日本語版による当初の「黒人の命も大切だ」という日本語訳に対して異論・批判が生じたことを受け、「黒人の命を守れ」、「黒人の命も大切だ、軽視するな」、「黒人の命は大切(です / だ)」等の修正・追補が行われた。この「黒人の命は大切」という日本語訳は、他のメディアでも使用されている。(後略)

Wikipedia / ブラック・ライヴズ・マターより

また、東京新聞にも先日以下記事が掲載されました。

上智大の飯野友幸教授(米文学)は、同記事にて以下の様に話しています。

飯野氏は「訳によって大きくニュアンスが異なり、運動への見方がずれる」と指摘。「黒人の命はどうでもいいはずがない」または「…どうでもよくはない」という訳を提案した。

東京新聞 2020年7月20日記事黒人差別反対運動のスローガン「Black Lives Matter」どう訳す? 偏見と向き合うきっかけに より

また、京都大の竹沢泰子教授(文化人類学)は以下の様な訳を提唱しています。

「黒人の命を粗末にするな」との訳を提唱するのは、京都大の竹沢泰子教授(文化人類学)。「奴隷制の歴史に始まり、今も不必要に殺され続ける黒人の厳しい現実は『大事だ』では伝わりにくい」と話す。

東京新聞 2020年7月20日記事黒人差別反対運動のスローガン「Black Lives Matter」どう訳す? 偏見と向き合うきっかけに より

背景情報=コンテクスト

それぞれ BLM / Black Lives Matter の訳には理由があり、またどの様な話の流れ、またはどの様な場面・状況で使われるかによっても、訳し方は変わると思います。

例えば人種差別問題や、アメリカにおける黒人の歴史について、どれくらい知っているか、つまりBlack Lives Matter の背景情報=コンテクストの理解度によっても、訳や伝え方は異なるかと思います。

Black Lives Matterは、「Lives」つまりジョージ・フロイド氏やトレイボン・マーティン氏など、警察によって理不尽に失われた多くの黒人の命について訴える言葉です。今回のジョージ・フロイド氏の事件では #BLM にあわせて #Icantbreathe と言うハッシュタグも、ソーシャルメディア等で多く使われました。

しかし、この言葉は「命」だけの問題ではなく、暴力や偏見、長きに渡り踏みにじられてきた黒人の権利=人権問題を訴える言葉でもあります。ですので、その辺りの事情も踏まえて「訳」や「説明」をしなければ「Black Lives Matter」は、キチンと意味が伝わらない言葉だとミーハングループは考えます。

とは言え、例えば記事の見出しや、文章、会話の状況によっては、詳しく説明ができなかったり、言葉を短く伝えなければいけない場合もあります。

大事なことは状況やニーズにあわせて、この言葉が伝えようとしているメッセージ、つまり「黒人の命や人権が(権力者側によって、また社会的構造によって)軽視・蹂躙され続けている事に強く抗議する」と言ったことを、伝わる様に訳す事ではないでしょうか。

背景も含めてどの様に訳すか

背景情報無くして言葉の真の意味を伝える事は難しく、双方の背景情報の理解度によって受け取る意味やイメージも変わります。

プロの通訳者や翻訳者は、言葉をただ置き換えるのではなく「背景情報も含めてどの様に訳すか」が求められます。それはつまり言葉を介して、どの様に相手を理解するかと言う事にも繋がるかと思います。


ミーハングループは、言語だけに留まらない『文化・ビジネス・心の橋渡し』を合言葉に、背景も含めた訳をご提供する通訳・翻訳会社として、今後も業務に邁進してまいります。

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