「ゴジラ」生誕70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラ映画 通算30作目となる「ゴジラ‐1.0(ゴジラマイナスワン)/ Godzilla Minus One」。2023年11月3日に公開された本作は、全世界でも話題となり、全米興収1位・2023年「外国映画」のオープニング興収1位を記録しています。そこで今回のブログでは、ゴジラの英語表現アレコレや、映画の世界での通訳者・翻訳者について、少しご紹介したいと思います。(Peter SchmidtによるPixabayからの画像)
ゴジラ‐1.0
ゴジラマイナスワン
Godzilla Minus One
日本では2023年11月3日(ゴジラの日)に公開された「ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)」。
アメリカでは 2023年12月1日に公開され、現地時間12月5日に全米における累計興収が1436万ドルを突破。邦画実写作品として歴代1位を記録しています。
【34年ぶり新記録】「ゴジラ-1.0」邦画の全米興収で歴代1位に 神木隆之介「夢みたいです」(映画. com)
本作「ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)」の英語表記は Godzilla Minus One ですが、そもそもゴジラは何故 Godzilla と英語表記される様になったのか、調べてみました。
‘Godzilla’: A Monster of a Name Has Taken On a Life of Its Own
https://www.wsj.com/articles/godzilla-a-monster-of-a-name-has-taken-on-a-life-of-its-own-11617313974
By Ben Zimmer April 1, 2021 5:52 pm ET / THE WALL STREET JOURNAL
For the film's American release in 1956, Toho Studios chose to transliterate the name as “Godzilla.” The spelling recalled “gorilla,” with the “dz” letter sequence intended to represent the “j” sound in the original Japanese.
1956年「ゴジラ」をアメリカで公開する際に、映画を製作した東宝スタジオが Godzilla の英語表記を選んだとあります。
このスペルは 「ゴリラ 」を想起させるもので、「dz 」は日本語の 「ジ」の音を表すものだったとのこと。
「ゴジラ‐1.0(ゴジラマイナスワン)/ Godzilla Minus One」は、吹替 / Voice-over, dubbing ではなく、字幕 / subtitles で公開されおり、日本でも英語字幕付きで上映している映画館もあります。
英語字幕版上映が決定(ゴジラ‐1.0 Website)
キャッチコピーである「その無(ゼロ)が、負(マイナス)になる」は、from Zero to Minus 、「生きて、抗え」は Survive and Fight と訳されています。
因みにゲーム、アニメ等が原作の作品を、実際に俳優さんが演じた場合等に使われる「実写 / 実写版」の事は、英語では live-action / live-action version と表現。「怪獣映画」は、最近は英語圏でも Kaiju eiga / movie と言う表現が、ある程度認知される様になってきています。
Godzilla website (English version)
https://godzilla.com/
from Oxford English dictionary
https://www.oed.com/dictionary/kaiju_n
Kaiju noun
Any of various giant monsters featured in Japanese films and television programmes (or those in a similar style made elsewhere).
「怪獣」の英語表現
先ほども触れましたが、以前はマニアしか使用しなかった言葉「怪獣 / Kaiju or Kaijuu 」も、昨今ではネットを通じて、一般にも知られる言葉となってきています。
しかし、そう言った事に全く興味がない人に対しては Monster または Giant monster と言った方が通じると思います。
Monster = 化け物と言う認識が日本ではありますが、英語での定義は以下の様になっています。
from Cambridge dictionary
monster noun
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/monster
any imaginary frightening creature, especially one that is large and strange:
つまり、想像上の大きくて強く、恐ろしい生き物と言うのが1つの定義です。
また Monster は、以下の様な場合にも使われます。
from Cambridge dictionary
monster noun (PERSON)
a cruel person:monster noun (LARGE)
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/monster
informal: something that is very big, or too big:
つまり、人に対する表現で Monster を使う場合は、人としてあり得ない程の 残酷で非情な人を意味し、大きさの場合は「(怖れを感じさせるほど)巨大」である事を意味します。
さて、最近は Kaiju だけではなく「妖怪 / Youkai or Yo-kai 」と言う言葉も、英語圏で知られる様になってきています。これもアニメやゲームなどを通じて広まりました。本当に日本のコンテンツは、様々な「日本語」を世界に広めていますね。
映画業界における
通訳・翻訳
映画に関連する通訳・翻訳の仕事と言って、パッと思い浮かぶのは、まずは「映画の字幕翻訳」ではないでしょうか?
現在、日本では様々な国の映画が公開されており、様々な言語の字幕翻訳者のニーズも高まってきています。
弊社代表で通訳者の右田アンドリュー・ミーハンがコラム「通訳者がレクチャー! 最新ニュースで学ぶ英語表現」を連載している「Web版 通訳翻訳ジャーナル」にも、様々な言語の映画字幕翻訳者のインタビューや連載コラムが掲載されています。
また「通訳翻訳ジャーナル」を出版するイカロス出版は「メディア・エンタメを訳そう!出版&映像翻訳 完全ガイドブック」等も出版されています。ご興味のある方は、併せてぜひチェック下さいませ。
字幕翻訳以外だと、映画界での通訳・翻訳者の仕事と言えば、ハリウッドからスーパースターが来日した際のステージ等での通訳も思い浮かぶと思います。
2023年12月8日~10日まで幕張メッセで開催された東京Comic Con 2023では、ユアン・マクレガー、トム・ヒドルストン、マッツ・ミケルセン、ベネディクト・カンバーバッチ、クリストファー・ロイド等、そうそうたる面子がゲスト出演しました。
この様なイベントの場合、ステージでの通訳はもちろんですが、ステージ裏での通訳業務も当然発生しますし、当日のスケジュール他資料の翻訳業務も発生します。
今あげた様な、多くの人の目につく通訳/翻訳者の仕事はイメージしやすいと思いますが、映画界では通訳/翻訳者が関わる様々なケースが、実はあります。
例えばミーハングループでは、怪獣映画でも知られる「ガメラ」の著作権に関する案件の通訳/翻訳を何度か手掛けています。
こう言った映画や映画のキャラクターに関わる著作権や知的財産権及び契約等の場面でも、通訳/翻訳者は必要とされます。
また、例えば日米合作等、複数の国のスタッフが混じって制作する映画の場合、台本を始めとしたスタッフ用の資料の翻訳業務や、現場での通訳等の業務が発生する場合もあります。
実は現在、日本の制作スタッフも関わっているハリウッド映画の、スタッフ資料の翻訳をミーハングループは手掛けています。
この様な場合、求められるのは単なる言語の置き換え(例:英語を日本語に置き換える)ではなく、スタッフが理解しやすい訳し方、関わる国の常識(映画業界や制作現場の常識含む)を踏まえて、異文化コミュニケーションが上手くいく翻訳や通訳が求められます。