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法言語学の研究を目的とした学術団体「法と言語 学会」

高崎経済大学名誉教授であり、「法と言語 学会」の発起人の1人でもある 大河原眞美(おおかわら まみ)先生が、2025年4月 労働行政功労・教育研究功労 にて瑞宝小綬賞を授与されました。おめでとうございます。今回の記事では、「瑞宝章」の英語表記や、弊社代表の右田アンドリュー・ミーハンも会員である 「法と言語学会」等を簡単にご紹介致します。YvonneによるPixabayからの画像)

瑞宝章

瑞宝章(ずいほうしょう)は、旭日章(きょくじつしょう)や宝冠章(ほうかんしょう)と並んで、日本の勲章制度を代表する勲章の1つで、国家又は公共に対し功労のある方、公務等に長年にわたり従事し成績を挙げた方に授与されます。

1888年(明治21年)に制定された瑞宝章は、制定時は勲一等から勲八等までの8等級でしたが、現在は瑞宝大綬章、瑞宝重光章、瑞宝中綬章、瑞宝小綬章、瑞宝双光章、瑞宝単光章の6つの等級に分れています。(2003年 現在の等級に改訂)

勲章の種類及び授与対象(内閣府Website)
https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-kunsho.html

2025年4月29日付けで内閣府より発令された春の叙勲では、高崎経済大学 名誉教授であり、「法と言語学会」の発起人の1人で現在 理事も務められている 大河原眞美(おおかわら まみ)先生が、労働行政功労・教育研究功労 にて瑞宝小綬章を授与されました。誠におめでとうございます。

瑞宝小綬章の正章(右)と略綬(左)。
旧・勲四等瑞宝章
内閣府, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

高崎経済大学 地域政策学部 地域政策学科 地域政策学部地域政策学科 名誉教授である大河原眞美先生は、上智大学 外国語学部英語学科卒。ウィスコンシン大学マディソン校 文学修士(日本語言語学 / 英語言語学)・シドニー大学 文学博士(法言語学)でもあります。

書籍「裁判おもしろことば学(2009年出版・大修館書店)」や「みんなが知らない“裁判ギョーカイ”ウラ話(2010年・清流出版)」を始め、本の執筆も多数手がけていらっしゃる他、「現代用語の基礎知識(自由国民社)」では、2010年版から2020年版まで「裁判と社会」を担当。

前橋家庭裁判所 調停委員等も務められており、2016年には前橋家庭裁判所長賞、2024年には東京高等裁判所所長賞を受賞されています。

大河原 眞美 (Hiraike Mami Okawara) - マイポータル(researchmap)

日本の勲章・褒章
Decorations and Medals in Japan

瑞宝章は Orders of the Sacred Treasure 、瑞宝小綬章・略綬 は The Order of the Sacred Treasure, Gold Rays with Rosette との英語表記が 内閣府Website で紹介されています。

瑞宝章以外の、日本の勲章及び褒章の英訳名についても、内閣府Website に掲載。日本の勲章・褒章を紹介する英語ページもございますので、ご興味のある方はチェックしてみてくださいませ。

法と言語 学会

大河原眞美先生が発起人の1人であり、現在 理事も務められている「法と言語 学会 / Japan Association for Language and Law」は、法言語学の研究を目的とした学術団体です。

通訳者であり東京女子大学現代教養学部国際英語学科教授・東京外国語大学名誉教授でもあられる 鶴田知佳子先生や、同じく通訳者であり立教大学名誉教授でもあられる鳥飼玖美子先生も発起人の1人であり、弊社代表 / 通訳者の右田アンドリュー・ミーハンも、同学会が設立された時からの会員です。

日本で裁判員制度が施行された2009年に設立された「法と言語 学会」では、司法通訳における言語使用や司法翻訳、司法コミュニケーションの諸問題、法言語教育(Language for Legal Purposes) 等、日本語に限らず外国語や手話なども含む様々な「法言語学」の研究を、あらゆる角度から行っています。

法と言語 学会 Website
https://jall.jpn.org/

現在(2025年6月)同学会の会長を務めていらっしゃるのは、以前 弊社Facebookに「司法通訳コラム」をお寄せ頂いた金城学院大学 文学部 英語英米文化学科 / 金城学院大学大学院 文学研究科 英文学専攻 教授 水野真木子先生です。

弊社代表で通訳/翻訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、水野先生が2024年3月25日くろしお出版から発刊された「刑事手続きと通訳 その日本語、通訳を介して伝わりますか?」の、第2部 日本語の用語・表現と英語対訳・第1章 訳出困難な一般用語 監修を務めさせて頂きました。

また、2025年5月31日 オンラインで行われた「法と言語学会 2025年第1回研究例会」では、「30年に亘る通訳ジャンルのロテーション活動からみる司法通訳のあり⽅について」と言うテーマにて、右田アンドリュー・ミーハンが講演をさせて頂きました。

法廷 / 司法通訳者
警察通訳人 不足問題

在留外国人の増加やオーバーツーリズムもあり、日本人以外が日本国内で起こす犯罪の報道等も増えていますが、残念ながら警察通訳人や法廷/ 司法通訳者、翻訳者の数は充分とは言いずらい状況です。

2025年1月 NHKにて放送された、警察官と通訳人コンビが活躍するドラマ「東京サラダボウル」を紹介する記事でも紹介しましたが、全国の地方裁判所や簡易裁判所で事件が終局した被告人44,907人のうち、通訳人が付いた外国人被告人は3,471人。おおよそ13人に1人の割合となっており、国籍数は70か国にも渡るとのこと(令和4年 / 2022年調べ)。

データ引用元:最高裁判所発行小冊子
「ご存知ですか法廷通訳」

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2024/R6.1ban-gozonji.pdf

また数の不足もさることながら、一般社団法人 日本司法通訳士連合会/Japan Law Interpreter Association では、司法通訳士認定試験や司法通訳養成講座を実施するなど、司法通訳人の技能と地位の向上に努めてはいますが、日本では警察通訳人も含めた司法に関連する通訳/翻訳の認定制度等も、まだ確立していません。

今回ご紹介した「法と言語 学会 / Japan Association for Language and Law」を始め、様々な組織や団体により、司法の場における言語バリアを取り除く努力や研究は進められており、テクノロジーの利用も含め状況は少しづつ改善されてきているとは思いますが、質の向上はもちろん、人材の拡充や制度の確立等、まだまだやらなければいけない事も多数残っています。

弊社代表・通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、東京地方裁判所の裁判所登録通訳者としても活動していますが、司法の現場や「法と言語 学会」等にて、ミーハングループも、微力ではありますが日本の法廷/司法通訳・翻訳の発展に寄与できるよう、今後も努力してまいります。

また本ブログでも、少しでも多くの人に司法通訳や翻訳について知ってもらえる様、今後も様々な視点から情報を発信し続けてまいりたいと思います。

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