ビジネスはもちろん、ビジネス以外でも関わる事の多い「契約」。今回のブログでは、この「契約」に関する興味深い英語表現について、ご紹介したいと思います。(CatkinによるPixabayからの画像)
契約 / 契約書
Contract
ビジネスはもちろん、日常生活でも例えば電気や水道、ガスを使用する場合や、家を借りる等に始まり、娯楽に関するサービスを利用する場合にも発生する「契約」。
契約 / 契約書は、英語では Contract と表現されるのは、皆様ご承知の事と思います。また、契約するは be under contract と表現されます。
from Cambridge dictionary
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/contract
contract noun
a legal document that states and explains a formal agreement between two different people or groups, or the agreement itself:
be under contract phrase
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/be-under-contract
to have formally agreed to work for a company or person on a stated job for a stated period of time:
契約 / 契約書 = Contract と似た様な表現には、Deal / Agreement があります。
それぞれの言葉の意味の違いを、まずは英英辞典で調べてみましょう。
from Cambridge dictionary
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/deal
deal noun
an agreement or an arrangement, especially in business:
agreement noun
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/agreement
the situation in which people have the same opinion, or in which they approve of or accept something:
この内容を見ると deal と agreement では、合意度が高いのは agreement 、それに加えて法的拘束力が高いのは agreement (an agreement) < contract となります。
Agreement についての豆知識
実は、不定冠詞ありの an agreement と不定冠詞なしの agreement では微妙に意味が異なります。
- an agreement = 契約の一種、又は拘束力があるもの
- agreement = 合意度が高い状態
- to be in agreement = to be under contractに似てる表現。AとBの間の合意度が高い状態。
例:A and B talked about their deal for a long time, and after two weeks they were in agreement on the details. Then, they signed a contract agreeing to details of their deal.
以下動画では agreement と contract の違いについて説明しています。(字幕設定で日本語の選択も可能です)
不可抗力免責条項
天変地異 / Act of God
契約書には、様々な契約に関する条件や約束事が書かれていますが、一般的に、いわゆる「不可抗力免責条項」も規定されてます。
from KEIYAKU-WATCH
不可抗力条項とは、契約当事者にはどうしようもない(不可抗力といえる)事情によって、債務の履行ができなくなってしまった場合には、債務不履行責任を負わないことを定めた条項です。不可抗力事由として規定されることが多い事由は、以下のとおりです。
https://keiyaku-watch.jp/media/keiyakuruikei/fukakouryokujoukou/
- 天災地変(地震、津波、洪水、台風、火山噴火、感染症、伝染病など)
- 社会的事変(戦争、暴動、内乱、テロなど)
- 争議行為(ストライキ、ロックアウト、ボイコットなど)
- 法令の改廃・制定
- 公権力による命令・処分
- 火災
- 輸送機関や倉庫業者の保管中事故
英語の契約書にも 不可抗力免責条項 / Force Majeure は存在し、多くは一般条項 / General Provisions に記載されています。
この 不可抗力 / Force Majeure 免責条項の1つの例として、良く見かける表現に Act of God があります。
Act of God は「神のしわざ、神の思し召し」とも訳せますが、ここで指しているのは「自然事象」日本語の契約書で言う「天変地異」になります。
Force Majeure には、契約が履行できない様々な事象、事由(予測できない、予防もできない、抑止策も打てない、その他、怠慢や不正行為から発生した普通の契約書文言で賄えられなかった事態)などが記載されるのが一般的ですが、その1つとして Act of God も書かれている事が多いです。
ここでポイントは、不可抗力免責条項に表記されている事が、不法行為ではなく不正行為としてる点です。不正行為は、不法以外の現在の法の及ばない部分も指しています。
それにしても、契約書の God が出てくるのは、とても英語的な表現だと思いますが、皆様は如何お思いですか?
委任状
Power of Attorney
英語で契約を行う場合、代理人を通じて契約を結ぶ場合もあると思います。
契約を委任する場合や、それを記した委任状の事を英語では Power of Attorney と表現します。
英英辞典で Attorney を調べると a lawyer と出てくる事が多いですが、委任 または 委任状の場合 Attorney は弁護士だけを意味しません。商談や対応する契約の内容によっては、代理人 / Agent or Deputy を意味する事もあります。
そして、その人に一定のチカラ / 権限を与える / 譲渡する = 契約の締結を委任する =つまり Power of Attorney は 委任状と言うことになります。
power of attorney noun
the legal right to act for someone else in their financial or business matters, or the document that gives you this right
通訳・翻訳者からの Tips
ミーハングループは契約に関わる場での通訳や契約書の翻訳、言葉にメスを入れる様なデリケートな案件を多く手掛けています。ミスが許されない、ミスをすると賠償金額がすぐに膨らむ様な案件や、株価に響く案件等々。
また、法律事務所が関連する公開できない案件(大型訴訟事案、スキャンダル事案、人事部とかのセクハラなどの社内事案、デリケート事案、人事解雇事案、訓戒・懲戒関連の人事部、社長室事案 等々)の翻訳や通訳も数多く手掛けています。
これらの案件は、言葉のひとつひとつが非常に重要になる為、すごくピリピリします。
内部告発等をした人の面談での通訳等もあります。この様な面談はZOOM等を使用した遠隔では行わず、必ずアメリカやヨーロッパなどから会社本部の人事担当者の方が来て、対面で面談が行われます。
その様な面談の時の緊張感たるや、法廷で通訳してる時と同じくらいの緊張を通訳者もします。
なぜなら、面談中に相手が逆ギレしたり、爆発したり、泣いたり、怒ったりして、収拾がつかなくなる時もあるからです。
さらに大学の教授の論文、海外の大きな学会や一流ジャーナルに載せる論文の翻訳・校正・校閲・リライトや、海外の科研費申請の英語書類準備のお手伝い、例えばアメリカの大学との共同研究などで日米の大学が科研費申請をする際に、日本側が出す書類の翻訳や英語書面のリライト作業全般も手掛けています。