ジェームズ・クラヴェルの小説「将軍」を原作とした戦国スペクタクル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」が、2024年2月から配信をスタート。大きな注目を集めています。今回は、出演及びプロデューサーとしても名を連ねる真田広之さんのインタビュー動画等を基に、英語を話す時に求められる姿勢や態度、またドラマを通じて学ぶ事が出来る日本文化の英語表現等について、ご紹介したいと思います。(Vilius KukanauskasによるPixabayからの画像)
ドラマシリーズ
SHOGUN 将軍
2024年2月27日よりHuluなどで配信開始。日本ではDisney+で独占配信をしている戦国スペクタクル・ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」。
俳優 真田広之さんが出演 及びプロデューサーとしても名を連ね、アメリカ制作でありながら、本格的な日本時代劇として話題を集めてます。
日本語Website
https://dcam.disney.co.jp/disneyplus_jp/shogun/top.html
英語Website
https://www.fxnetworks.com/shows/shogun/viewers-guide
本作は、ジェームズ・クラヴェル / James Clavell の1975年に出版された小説「将軍」を原作としています。同作を原作としたテレビシリーズは、1980年にアメリカ NBCによっても制作されており、日本では 1980年11月に125分に編集された映画版が公開されています。
小説「将軍」Shogun: NOW A MAJOR TV SERIES (The Asian Saga Book 3) (English Edition)
映画「将軍」(1980)https://eiga.com/movie/45515/
本作に登場するキャラクターは、徳川家康 他 歴史上の人物を基に生み出されており、イギリスの船乗りジョン・ブラックソーン / John Blackthorne は、慶長5年 / 1600年に豊後(大分県)の臼杵に近い佐志生に漂着。大坂に送られて徳川家康と会見し、その後 家康の政治顧問を務めた ウィリアム・アダムズ / William Adams = 三浦按針がモデルとされています。
ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」では、ジョン・ブラックソーン役はコズモ・ジャーヴィス / Cosmo Jarvis さんが演じています。
真田広之さんが演じる吉井虎永は徳川家康、アンナ・サワイ(澤井杏奈)さん演じる敬虔なキリシタンで語学堪能な戸田鞠子は細川ガラシャ、他 本多正信 を基にした樫木藪重を浅野忠信さん、石田三成を基にした石堂和成を平岳大さん、淀殿を基にした落葉の方を二階堂ふみさんが演じています。
なお、主な撮影はカナダ・バンクーバーで行われたそうです。
特報と予告 / 大河ドラマ の
英語表現
映画でもそうですが、ドラマなどでも本編公開前に作品を紹介する短い動画が公開されますよね。
1分前後の短い動画は、英語では teaser / teaser trailer 日本語では「特報」等と呼ばれます。
通常は、その後に2~3分くらいの official trailer「本予告編(通称・本告)」が公開されますが、重ねて Extended trailer「予告編・ロングバージョン」が公開される場合もあります。
日本語でも最近は「メイキング」などと言いますが、いわゆる制作中だったり、撮影中の様子を収めた動画は making of 〇〇(作品タイトル)や inside of 〇〇 などと英語では表現される他、舞台裏と言う意味で behind the scenes が使われる場合もあります。
また、ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」の様な、大規模かつ歴史上の人物を描くドラマと言えば、日本ではNHKの「大河ドラマ」がお馴染みです。
英語には「大河ドラマ」に100%該当する言葉はありませんが、historical fiction television series / historical drama television series / historical epic series 等と表現する事は出来ると思います。
真田広之氏
インタビュー
ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」のプロモーションの為、真田広之さん 及び アンナ・サワイさん は、多くのアメリカの番組に出演。英語でインタビューを受けました。
アンナ・サワイさんは、ニュージーランドで生まれ、幼少期をニュージーランド、香港、フィリピンで過ごされた後、10歳で日本に帰国されており、英語と日本語が堪能です。
真田広之さんは、2002年 アカデミー外国語映画賞にノミネートされた「たそがれ清兵衛」に主演。2003年製作/公開の映画「ラスト サムライ」の演技で世界的な賞賛を集め、その後は海外での活動を中心にされているのは、皆様ご存知の事と思います。
しかし、真田さんは幼少期より英語に慣れ親しんだわけではなく、1999年 蜷川幸雄さん演出で 英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー / Royal Shakespeare Company が公演した「リア王 / King Lear」に、唯一の日本人キャストとして参加。全編17世紀の英語の台詞にて道化師役を演じたことが、海外及び英語でのキャリアのスタートと言われています。
なお 真田さんは この「リア王」出演後、日英両国の文化交流の架け橋としての功績が評価され、名誉大英帝国勲章第5位(Honorary Member of the Order of British Empire: MBE)を、2002年に授与されています。
では、その真田さんとアンナ・サワイさんの「SHOGUN 将軍」についてのインタビューの様子を、動画で見てみましょう。
他にも幾つかインタビュー動画はありますが、真田さんの英語での受け答えは、常に「ゆったり」かつ「堂々」としています。
英語を勉強されている方の中には、ネイティブの話す英語のスピードの速さや、音をつなげて話す リエゾン / liaison または リンキング / linking の多さに驚かれる人もいらっしゃると思います。
その結果、聞き取りが上手くできない事もありますし、「その様に話す事が英語社会では求められる」と思いこんでしまうこともあると思います。
しかし、真田さんの英語での受け答えを見るとわかる通り、彼の話すスピードはけして早くありません。ただし、発音やアクセントは正確ですし、何よりも堂々かつハッキリと自分の意見を言う姿勢が、多くの人に好感を持って受け入れられています。
また、日本語の会話では相手が話している時に「なるほど」「そうですね」「はい」「へぇ~」等々、相槌をうつことが多いですし、それが相手の話を聞いていますと言うメッセージになりますが、英語では、相手が話をしている時は、相槌をしない / 相手の目などを見て聞く事が、話を真剣に聞いていると言う態度になります。
真田さんもインタビューでは、変に相槌をせず相手の目を見て話を聞いていますし、自分が話す時も相手の目をしっかりと見て話しています。
ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」を制作したFX Network が公開している、本作のプロデューサーとしての真田広之さんの活躍・評価を紹介する動画を見ても、そう言った英語での会話で必要とされる堂々とした態度や物腰が見て取れます。
通訳者のTips
「堂々」と「はっきり」
「堂々」と「はっきり」話すことは、通訳者にも求められる話し方です。
右田アンドリュー・ミーハン
その為、ジュネーブ大学の翻訳通訳学部では、俳優さんを招いてのボイスレッスンも行われます。
仕事の内容は異なりますが、俳優さんも、通訳者も、人前に出て「言葉を伝える」ことに変わりはありません。通訳者の通訳も、録画・録音されることもしばしばありますので、相手に伝わる様に話すことは、非常に重要です。
時代劇の所作
ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」では、様々な動画をソーシャルメディアにて公開。今まで余り知られていなかった日本の時代劇における所作なども紹介しています。
https://www.tiktok.com/@fxnetworks/video/7347764759166668078 からのキャプチャ
ドラマで描かれているのは、慶長5年 / 1600年 以降、時代で言えば安土桃山時代と江戸時代にまたがった時代になります。
もちろん史実に基づいているとはいえ、ドラマはあくまでフィクションですから、演出として当時とは異なる所作や、動き等も取り入れられている場合もあります。
とは言え、この様な動画には、日本の伝統文化を英語で伝える際のヒントとなる表現も沢山使われています。
畳の縁は、けして踏んではならないこと、皆さんはご存知でしたか?
参考リンク:3分解説!畳のへりを踏んではいけない理由について(小笠原流煎茶道 Website)
ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」の 日本語Website にも動画は幾つか公開されていますが、英語Websiteには、衣装やかつら、化粧など、時代劇には欠かせない「外見」を、どの様に作るかを説明する動画等、時代劇に馴染みのない人たちに向けた、ドラマ制作の舞台裏を紹介する動画も沢山公開されています。
これらは英語の表現を勉強する時にも役に立つと思いますので、ぜひチェックされてみては如何でしょうか?