Steve BuissinneによるPixabayからの画像
度重なる北朝鮮のミサイル発射や、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻情勢、物価の高騰など不安なニュースが続いています。今回の本ブログでは、昨今のニュース報道から気になる言葉をいくつか選んで、英語表現等ご紹介したいと思います。
北朝鮮がミサイルを発射
North Korea fires missile
北朝鮮からのミサイル発射が続いています。
日本ではソウルが首都の大韓民国は「韓国」、ピョンヤンが首都の朝鮮民主主義人民共和国は「北朝鮮」と通常は表記します。
英語での正式名称は、韓国は Republic of Korea (ROK)、北朝鮮は Democratic People's Republic of Korea (DPRK) ですが、一般的には 韓国を South Korea、北朝鮮を North Korea と表記します。
このアメリカ abc ニュースの動画や、他記事で使われている言葉を幾つかピックアップしてみました。
- 弾道ミサイル
ballistic missile - 中距離弾道ミサイル
intermediate-range ballistic missile - 演習
exercises - 排他的経済水域
Exclusive Economic Zone・EEZ - 発射
Launch / Fire
発射については、「発射した」と過去形で使われているので Launched / Fired と過去形表記がされている記事もあります。
Launch については、通常 例えば何か商品等を発表/発売した時や、Websiteを立ち上げた時に「プロダクトがローンチされた」や「ウェブサイトがローンチした」と、日本でも使われる場合があります。
launch
Cambridge dictionary
【noun】
an event to celebrate or introduce something new:an occasion when a ship is put into water, or a spacecraft is sent into space, for the first time:
【verb】
to begin something such as a plan or introduce something new such as a product:to send something out, such as a new ship into the water or a spacecraft into space:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/launch
英英辞典で Launch を調べると、【noun / 名詞】、または【verb / 動詞】を見ても明らかなる「発射」と言う意味は書かれていません。
しかし、船が初めて進水(初めて水に触れる)や、宇宙船が宇宙に飛び立つ意味合いもある事から、陸上から離れる=発射と言う訳が成り立ちます。
fire
Cambridge dictionary
【noun】
the shooting of guns or other weapons【verb】
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/fire
to cause a weapon to shoot bullets, arrows, or missiles:
Fire は英英辞典で調べると、もちろん一般的に良く知られている「火」や「炎」また「何かが燃える状態」と言う意味も書いてありますが、ハッキリと「銃、または他の武器を撃つ」「弾丸、矢、ミサイルを発射させる」と書かれています。
Fire にこれらの意味があるのは「弾丸=火薬に着火する」から来ていると言われています。
つまり英英辞典に書かれた意味から考えると、同じように「ミサイル発射」と訳された言葉でも Launch には陸から離れる=打ち上げると言う意味が、Fire には 撃つと言う攻撃的な意味が含まれている と理解する事ができると思います。
ペルソナ・ノン・グラータ
Persona non grata
日々、様々なニュースが報じられているロシアによるウクライナへの軍事侵攻情勢ですが、先日、ウラジオストクにある日本総領事館の領事をロシアが拘束。国外退去となった事が報じられました。
参考リンク:ロシア治安機関 日本総領事館員を“スパイ活動”で拘束し追放(2022年9月27日 NHK)
この時にも使われた「ペルソナ・ノン・グラータ」と言う言葉は、「好ましからざる人物」「厭わしい人物」を意味しますが、ロシア語ではなくラテン語です。
persona non grata
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/persona-non-grata
Cambridge dictionary
a person who is not wanted or welcome in a particular country, because they are unacceptable to its government:
ラテン語
https://kotobank.jp/word/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E8%AA%9E-147445
コトバンク・日本大百科全書(ニッポニカ)「ラテン語」の解説より
ギリシア語と並んで西欧の古典語であるラテン語Latinは、古代ローマ帝国の公用語であり、中世から近代の初めに至るまでカトリック教会を中心とする全ヨーロッパの知識層の、いわば共通の文語として用いられた。また、現在のフランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ルーマニアなど、すべてのロマンス諸語の母体である。
「ペルソナ・ノン・グラータ」は、接受国が外交官の受け入れ拒否や外交官待遇の同意の取り消しを行うことで、外交関係に関するウィーン条約第9条及び領事関係に関するウィーン条約第23条に規定されています。
この言葉は、各国語に訳される事なく「ペルソナ・ノン・グラータ / Persona non grata」と言う「名称」で通常は使用されます。
ペルソナ・ノン・グラータ
https://kotobank.jp/word/%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BF-130571
コトバンク・日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より
外交使節を交換している国家間で、接受国が、派遣国に対し、外交使節団の構成員(外交使節および職員)である特定の者の受け入れ、滞在を拒否する通告。「好ましくない人」の意味。接受国は、いつでも、理由を示さないで、使節の派遣国に対し、特定の外交官がペルソナ・ノン・グラータであると通告することができる(外交関係に関するウィーン条約9条の1)。この通告を受けた派遣国は、その者を召還するか、その者の任務を終了させなければならない。ペルソナ・ノン・グラータの意思表示は、任務地の領域に入る前からいつでも可能である。また、使節団の外交官以外の職員および領事についても同様の制度がある。
物価高騰に関連する
英語表現
現在、世界中で起きている物価の高騰は、各国のニュースでも報じられています。
物価の高騰は、日本でも耳馴染みのある インフレ / inflation を使って英語でも表現する事が出来ます。
inflation
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/inflation
Cambridge Dictionary
a general, continuous increase in prices:
AMERICAN DICTIONARY
a continuing rise in prices caused by an increase in the money supply and demand for goods.
しかし インフレ / inflation は、日本でも経済用語として使用される様に、英語でも経済用語、または状態等を表す時に使われる事が多いです。
- Mexico annual inflation rate steady at 8.7% in September (Oct 7 2022, Reuters)
https://www.reuters.com/markets/emerging/mexico-annual-inflation-rate-hits-87-september-2022-10-07/ - Food prices are outpacing wider inflation across most of the world (Oct 7th 2022, The Economist)
https://www.economist.com/graphic-detail/2022/10/07/food-prices-are-outpacing-wider-inflation-across-most-of-the-world
価格が上がっている事を表現する場合は「高騰 / 急上昇」と言った意味を持つ soaring や、「増える」「高まる」「上がる」と言った意味のある rise / increase / hike 、シンプルに go up / high などの表現を使って「物価の高騰」を表す場合も多いです。
- Petrol price rise warning after Opec oil output cut (Oct 6, 2022 BBC)
https://www.bbc.com/news/business-63149044 - Soaring cost of food no match for Canadians' Thanksgiving plans (Oct 8, 2022 CBC)
https://www.cbc.ca/player/play/2082344515778
この他にも、価格がロケットのように上がった / prices rocketed と言った表現もありますし、加速と言う意味のある accelerated や、甚大な影響と言う意味合いで crippling を使って物価や価格の高騰を表現する場合もあります。
なお「物価」は単純に prices と表現される場合もありますが、cost of living と表現される場合もあります。
cost of living
Cambridge dictionary
BUSINESS ENGLISH / ECONOMICS
the amount of money that people need to spend in order to buy basic goods or services such as food, clothes, and a place to live:The rising cost of living in the country has forced many people to take second jobs.
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/cost-of-living
an increase/fall in the cost of living
a high/low cost of living
報道で使われる
表現を学ぶ
世界情勢は常に動いていますが、新型コロナウイルスの世界的感染拡大はもちろんのこと、ロシアのウクライナ軍事侵攻など、目まぐるしく変化しています。
弊社代表 通訳のアンドリュー右田・ミーハンは、2014年にロシアのソチで開催された冬季オリンピックに、IOCの通訳チームに参加。ウラジミール・プーチン氏の記者会見の通訳も行いました。
今から8年前の出来事にはなりますが、その時からは全く想像もできない状況が、現在繰り広げられています。
世界の変化に伴い、報道はもちろん日常で使われる言葉/表現も日々変わります。
通訳者や翻訳者が日々これらの言葉をチェックするのは業務上必要な事ですが、例えば仕事で英語や他国語を使われる方、また語学学習をされている方も、ニュース記事や映像などを通じて新たな表現や話題に触れる事も大事です。
なぜなら、これら世界情勢に関わる事は、日常会話や仕事の場などでも交わされる場合もあるからです。
本ブログでも、報道で使用される日本語や英語、他言語の表現は、今後も随時紹介して参ります。