先日、ISU世界フィギュアスケート選手権2021が開催されましたが、今回のブログでは2022年開催予定の北京冬季オリンピックでの翻訳、さらにはIOCの通訳チームについて少しご紹介したいと思います。
翻訳エキスパートとは
オリンピック開催国では、開催前に選手や関係者に向けて沢山の資料や小冊子が作成されます。
この資料等を他言語に翻訳するさいの、チェックや監修を行うのが翻訳エキスパートの仕事です。これら資料は、オリンピック公用語の英語及びフランス語から各国言語に翻訳されます。
翻訳チェックを行うエキスパートは、各言語1名。弊社代表であり、現役通訳者/翻訳者である右田アンドリュー・ミーハンは、2017年12月 中国文化庁より、2022年北京冬季オリンピックの日本語・翻訳エキスパートに選定されました。
これらの写真は、2020年以前に参加した会議にて撮影されたモノになります。2020年は主にオンライン上にて翻訳のチェックは行われました。
そして先日 足掛け3年に渡り行われた、各競技専門用語を英語 / フランス語から、中国語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、韓国語そして日本語に翻訳するプロジェクトが、終了致しました。
選定方法
こうした国際オリンピック委員会(International Olympic Committee / 以下 IOC)が対応する、翻訳及び通訳については、IOCが任命した通訳者/翻訳者のリーダーを通じて、世界各国の通訳者/翻訳者が集められ、業務に当たる事が多いです。
IOC任命の通訳者/翻訳者リーダーは、開催されるオリンピックごとに異なりますが、国際会議通訳者連盟 (AIIC) で通訳者のコーディネーション等を行っている、コンサルタント・インタープリターと呼ばれる通訳/翻訳者が多く務めています。
コンサルタント・インタープリターは、同じくAIICのメンバーである、世界各国、様々な言語の通訳者や翻訳者を中心に声をかけ、通訳・翻訳チームを組織し、業務にあたります。
国際会議通訳者連盟 AIICについての詳細は、以前掲載したブログ記事にてご確認頂けます。
国際オリンピック委員会
通訳 チーム
オリンピック開催時、IOCが管轄するエリアの通訳は翻訳エキスパートと同様に、IOCが任命したコンサルタント・インタープリターが、各言語の通訳者を集め、チームを組織します。
このIOC通訳チームが対応する通訳案件はIOCが運営する事全てとなります。
公式会見(メダル会見やIOCが運営する会見・セレモニー)はもちろん、IOCが毎朝メディアに対して行う広報会見(通称:朝会)、ドーピング検査での通訳、各首相や高官の通訳などなど。
同時通訳はもちろん、逐次通訳やウィスパリング通訳も行いますし、選手や競技についての通訳のみならず、医療、政治、国際会議、ありとあらゆる話題の通訳が求められます。
特に広報会見では、オリンピックの運営に関する全般の話題の通訳を担当します。競技はもちろん、オリンピック開催国の政治問題・環境問題、シャトルバスの運行に関して、オリンピック会場のネットや放送技術環境問題、ドーピングに関するお知らせ、会場に関するお知らせ等々 本当に多岐に渡ります。
弊社代表の右田アンドリュー・ミーハンも、2008年北京(夏季オリンピック)、2012年ロンドン(夏季オリンピック)、2014年ソチ(冬季オリンピック)にて、IOC通訳チーフインタープリターのチームメンバーにて英日の通訳を務めました。
オリンピックの通訳の仕組みについては、以前ミーハングループのFacebookにてご紹介しております。ご興味のある方はチェック頂ければ幸いです。
https://www.facebook.com/meehan.interpreter.japan/photos/a.145439448846263/1272097622847101/