2025年の年末が目前に迫ってきました。何かと気持ちが急く時期でもありますね。そこで今回は、少し肩のチカラが抜ける様な、それでいて興味深い、言葉に関する記事をご紹介したいと思います。(Image by Pexels from Pixabay)
新語・流行語大賞
第42回 ノミネート語
現在は、様々な流行語や表現がネットやそれぞれのコミュニティから生まれる事が多く、その結果 流行語が細分化され「みんなが知っている言葉」と言うのは少なくなりました。
『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ新語・流行語大賞(旧 『現代用語の基礎知識』選 ユーキャン新語・流行語大賞)第42回 2025年 ノミネート語 が、2025年11月5日に発表されましたが、あなたはどれくらいご存知でしょうか?
『現代用語の基礎知識』選 T&D保険グループ新語・流行語大賞
第42回 2025年 ノミネート語
https://www.jiyu.co.jp/singo/
発表されたノミネート語30語の内、半分も知っていれば知っている方だと思うのですが、いかがでしょう?
言葉だけに留まらず、世代や性別問わず「多くの人が知っている○○」と言うのが生まれにくくなっている現代において、世代や属性を超えて知られる「その年の言葉」つまり「流行語大賞」を選ぶのは、思っている以上に難しいのかも知れませんね。
本気で「平成女児」33歳小原ブラス…流行語大賞は時代に墓標立てる儀式 / オピニオン・小原ブラス(2025/11/27 読売新聞オンライン・大手小町)
テレビ発・流行語
テレビで放送されているドラマや番組を多くの人が視聴・共有していた時代、多くの流行語もそれらの番組やドラマから生まれました。それは日本だけでなく、アメリカ等の英語の世界でも同様です。
そんなテレビ番組から生まれた言葉の数々を紹介している記事がコチラ Common Words And Phrases We Forgot Were Invented By TV Shows (July 3, 2024 Ranker )
例えば、現在では何かをネットで検索する時、動詞として当たり前に使われる英語表現 to Google(日本語でも「ググる」と言いますが同様の英語表現です)。
この to Google 実は1997年から2003年にかけて放映されたアメリカのテレビドラマ「Buffy the Vampire Slayer(邦題:バフィー 〜恋する十字架〜)」から生まれた言葉です。
また、迷惑メール等の事を Spam と呼ぶのは、英語だけではなく日本語でも現在では当たり前ですが、この表現は、英国のコメディ・グループ Monty Python / モンティパイソンの1969年から1974年まで放送されたテレビシリーズ Flying Circus から生まれています。
1970年に放送されたFlying Circus のコメディ・スケッチで、ホーメルの缶詰商品「スパム」の歌を執拗に歌い続けるバイキング達が描かれました。
そのバイキングたちの様子から、1994年『ネットワーク・ワールド』誌が、執拗かつ大量に送られる迷惑メールの事を記事にて「spam attack / スパム攻撃」と表現したのが始まりだそうです。
Tech Time Warp: Could I have email, texts, and spam, without the spam?(May 5, 2023 Smarter MSP)
Until the mid-1990s, this type of unsolicited message didn’t have a name of its own, but in 1994, Network World used the term “spam attack” to describe unwanted Usenet group messages. The phrase was an allusion to one of British comedy troupe Monty Python’s most famous sketches, in which a café serves spam, spam, and more spam—so much so that a group of Vikings sings “The Spam Song.”
https://smartermsp.com/tech-time-warp-could-i-have-email-texts-and-spam-without-the-spam/
こちらの動画では、テレビから生まれた言葉及び、その言葉が使われたシーンなどを紹介。 to Google や Spam も紹介されています。
また以前、このブログで紹介した表現 Jump the Shark / Jumpig the Shark も、上記動画内にて紹介されています。
それにしても、日常的に現在使われている言葉が、実はテレビのドラマ発だったとは驚きですね。
通訳者からのTips
記事 Common Words And Phrases We Forgot Were Invented By TV Shows では紹介されていませんが、テレビドラマ発で、英語圏で良く知られている表現の1つに Sir, this is a Wendy’s があります。
ネットミーム等にもなっているので、見かけたことがある人もいらっしゃるかも知れませんが Sir, this is a Wendy’s は「場違いですよ / お門違いですよ」を意味する言葉で、2005年から2013年までアメリカで放送されたドラマ The Office から生まれました。Sir This Is a Wendy’s – Meaning, Origin and Usage
https://www.thehistoryofenglish.com/sir-this-is-a-wendys※The Officeは2001年/2002年に英国で放送されたのが最初で、その後アメリカにてリメイク版が制作されました。コメディドラマの定番『ジ・オフィス』を観よう!アメリカ版とイギリス版をまとめて紹介(2021-06-24 海外ドラマパンチ)
アメリカ版 The Office 2008年放送・シーズン4 第14話にて、スティーヴ・カレル / Steve Carell 演じるマイケル・スコット / Michael Scott が、人気のファストフード店 ウェンディーズをエスコートサービスと勘違いして電話をかけた際、ウェンディーズ従業員がマイケルに電話口で This is a Wendy's restaurant と返したのが由来だとか。
【Sir, this is a Wendy’s = 場違いですよ / お門違いですよ】この表現は、現在では普通の会話でもよく使われます。右田アンドリュー・ミーハン
AI時代に
なぜ英語を学ぶのか
もう一つご紹介したいのは、2025年11月20日 文芸春秋BOOKSにて刊行された新書「AI時代になぜ英語を学ぶのか」についての記事です。
本書の著者は、認知言語学を専門とされる日本大学法学部教授の町田章(まちだ・あきら)さんです。
「AIでよくない?」と思っているあなたに
【言語学】で考える
英語を学ぶとはどういうことか
AIで翻訳も通訳もできるこの時代。英語力は必要だけど、もう勉強する必要なくない? AIでよくない? ――そんな疑問が出てくるのは当然だろう。しかし、ことばが持つ機能はコミュニケーションの道具としてだけではない。忘れてならないのは、ことばは思考の道具でもあるということだ。もしそれが、私たちのものの見方や世界の捉え方を形作っているとしたら。
今後AIがいかに発展しようとも決して失われない、英語を、外国語を学ぶ意義とは。日本大学法学部教授で言語学者の町田章さんによる本書は、「認知言語学」に基づき、言語と思考、言語と文化に焦点を当てながら、ことばの興味深い側面を見ていく。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166615179
文春オンラインでは「AI時代になぜ英語を学ぶのか」の内容の一部を記事にて紹介しています。
- 「歩行中の男が男性に後ろから刃物で切り付けられました」の違和感 言語学が研究する“知ってるけど知らないこと” 『AI時代になぜ英語を学ぶのか』より #1
- 「関係者以外立ち入り禁止/Staff Only」の視点の違い 言語学で説明できる“翻訳不可能性”とは 『AI時代になぜ英語を学ぶのか』より #2
- 『雪国』の冒頭部を英語にすると… 言語学で考える“内から見るか、外から見るか”『AI時代になぜ英語を学ぶのか』より #3
これら記事に書かれている事は、通訳・翻訳者はもちろん、英語だけはなく他言語を学ぶ方にも興味深い内容だと思います。
該当記事を読んでさらに「AI時代になぜ英語を学ぶのか」にご興味を持たれた方は、同書は新書及び電子書籍でも刊行されていますので、ぜひ以下リンク他にてチェック下さいませ。
文藝春秋BOOKS
「AI時代になぜ英語を学ぶのか」
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166615179





