ブログ 異文化 言語 通訳

オヤジギャグ / Dad Joke ~通訳者の視点から~

オヤジギャグ / Dad Joke は文化が異なるにも関わらず、同じことを意味しています。今回のブログでは、このオヤジギャグ / Dad Joke についてや、ジョークを訳す場合の通訳者の対処方法等を紹介します。melancholiaphotographyによるPixabayからの画像)

オヤジギャグ
Dad Joke

オジさんが言うか否かは別として、概ね「つまらない冗談」を意味する事が多いオヤジギャグ。

冒頭にも書きましたが、英語でもオヤジギャグのことは Dad Joke と言います。

Weblio 辞書 実用日本語表現辞典 より

オヤジギャグ / 別表記:親父ギャグ、おやじギャグ
中高年の親父世代が言いそうな安直なギャグ。つまらない駄洒落という意味で用いられることも多い。

https://www.weblio.jp/content/%E3%82%AA%E3%83%A4%E3%82%B8%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%82%B0

From Merriam Webster dictionary
dad joke noun
a wholesome joke of the type said to be told by fathers with a punchline that is often an obvious or predictable pun or play on words and usually judged to be endearingly corny or unfunny

https://www.merriam-webster.com/dictionary/dad%20joke

なぜ、この様な冗談 / ジョークの事を英語でも日本語でも、同様の呼び方をするか... まぁ、なんとなく理由はわかる気もしますが、深く追求するのはやめておきましょう。

一方で、このオヤジギャグ / Dad Joke は通訳者にとって、難敵です。

なぜならば、言葉の音(韻)を踏んだ冗談が多いからです。

例えば「布団が吹っ飛んだ」これを英語にした場合 The duvet blew awayThe futon was blown off になりますが、まったく韻を踏んでいません。

説明する事は出来なくはありませんが、果たして笑えるかどうか...

ましてや通訳の現場の場合、短い時間で訳す事が求められる中で、長々と説明したのに相手が笑わなかったら、その場の空気も悪くなります。

ですので、以前このブログでもご紹介した様に、訳す事が難しいジョークの場合、通訳者は「今、相手が面白い事を言ったので笑ってください」と言ってやり過ごす方法を取る場合があります。

通訳者のこぼれ話

長々と話した先にようやく出てくるジョークの場合、つまり 話始めの段階ではまじめな話なのか、ジョークなのか、判断できない場合は、通訳者も最初は真面目に通訳しますが、途中で「これはジョークだな」と気が付いたり、落とし所がわかってきたら、訳す相手に響くようにストーリの流れを調整する事もあります。

それができない場合は、通訳者は「これはジョークでした、笑ってください」という様に対応する場合もあります。

日本語と英語の場合、話す順序や、その裏にあるマインド、カルチャー(文化と思想と常識)、コミュニケーションの取り方が全然異なる為、短い時間で訳す事が求められる通訳の場合、ササっと対処した方が、その場の空気を悪くしません。

因みに「その場の空気を悪くする」、オヤジギャグの場合は、日本語で言うところの「寒い」「空気が凍る」または「しらける」と言った感じかと思いますが、英語では dead air あるいは crickets 等と言います。

crickets はコオロギのこと。つまり冗談が面白くなくて場がシーンと静かになるあまりに、コオロギの小さな鳴き声がよく響くという意味です。

右田アンドリュー・ミーハン

冗談 / ジョークに
不可欠なもの

以下記事でもご紹介しましたが、冗談やジョークの場合、双方が背景情報を理解している事は必要不可欠です。

例えば有名なコメディアンのギャグを引用したり、有名な映画のセリフ等を言い換えて冗談にしても、そのコメディアンや、映画を相手が知らなければ笑う事は出来ません。

Britain's Got Talent で とにかく明るい安村さんが成功したのも、この背景情報の共有=「サッカー選手」「競馬の騎手」「ジェームス・ボンド(007)」が裸に見えるポーズと言うテーマの選択も上手かったからだと思います。

逆に言えば、言葉や文化は違っていても、お互いが共通認識している事や、話題を利用した冗談であれば、簡単に通じて笑い合うことが出来るケースもあります。

今はもうそんな人はいないと思いますが、コンピューター関係であれば、例えば「ウィンドウを開いて下さい」と言ったら「窓」を開けたとか、お互いがアニメ好きだった場合は、そのアニメのキャラクターやストーリー、決め台詞に関連したジョークを言う等でしょうか。

地域や場所によっても
笑いは異なる

異なる言語や文化の人に対して、冗談やジョークを話すのは確かに難しい側面もありますが、これは日本人同士でも起きる事です。

関西では常識だけど、関東の人には全くわからない事をジョークにしても、相手は笑ってくれませんし、年代の異なる人に話してもわからない冗談や話題もあります。

言葉の韻を踏んだジョークであっても、方言を使った場合は、異なる地域の人には「何の事やら?」になる場合もあります。

冗談やジョークが難しいのは、異言語 / 異なる国だからだけとは限りません。

相手を笑わせる=冗談やジョークと言うのは、簡単に見えて、実は奥が深いモノなのです。

関連記事



-ブログ, 異文化, 言語, 通訳
-, , , , , ,