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マルハラ 的な英語表現

「マルハラ/ マルハラスメント」はご存知でしょうか?チャットアプリ等でのやり取りで、文章の最後に「。」をつける事によるハラスメントのことです。英語の世界にも同じような事象があります。今回は「マルハラ」及び英語のやり取りでも気をつけたいマナーについて、ご紹介します。6689062によるPixabayからの画像)

マルハラ とは


仕事のやり取り、特に社内でのやり取りの場合、メールではなくチャット・アプリ(LINE等)を使う企業が増えています。

このチャット・アプリでのやり取りで、文章 / テキストの最後に「。」をつけると、相手に威圧感や冷たい印象、怒っている様な印象を与える事を「マルハラ / マルハラスメント」と呼びます。

文末の句点に恐怖心? 若者が感じる「マルハラスメント」SNS時代の対処法は(2024年02月06日 ITmedia NEWS)

テレビのワイドショーなどでも話題となったので、ご存知の方も多いかとは思いますが、これは異なる世代によるコミュニケーション・ツールの使い方の違いに起因している様で、「。」だけでなく、「、」や「!」の使い方等も含まれる場合もあるとか。

また、年齢層高め=会社では上役となる世代と、若者世代ではチャット・アプリ等で送る文章の量や、絵文字の使い方の違いもあり、コチラは「おじさん構文 / おばさん構文」などと呼ばれています。

「おじさん」の次は「おばさん構文」がやり玉に LINEを巡る世代間ギャップの背景(2023年11月8日 産経新聞)

時代や世代によって、コミュニケーションの取り方は変化していきますが、それまでの当たり前がハラスメント化してしまう場合もあるんですね。

「マルハラ」的 英語表現

「マルハラ / マルハラスメント」は、「。」を使うことで相手を不快な気分にさせる事を意味すますが、英語ではこの様な事は ハラスメント / harassment だけではなく triggering を使って表現される事も多いです。

これは triggering emotions / emotional triggers つまり「気に触る様な / 癇に障る様な」行為・発言等を意味します。

from the article How to Identify and Manage Your Emotional Triggers (November 13, 2020 Healthline media)

An emotional trigger is anything — including memories, experiences, or events — that sparks an intense emotional reaction, regardless of your current mood.

Emotional triggers are associated with post-traumatic stress disorder (PTSD).

https://www.healthline.com/health/mental-health/emotional-triggers

日本語で「。」は、文章が終わった事を意味する句読点ですが、英語の場合はピリオド / period が同様の役割を果たします。

このピリオドについても、チャット・アプリでの会話などで使用すると「これで会話は終わり!」と言ったニュアンスを含む場合もあるとか。

No More Periods When Texting. Period. (June 29, 2021 The New York Times)

Think of a mother using her son’s full name when issuing a stern ultimatum. Or of an upset lover speaking to a partner in a cool, professional tone, withholding intimate silliness and warmth to convey frustration. People gain and express interpersonal comfort through unpolished self-presentation, and acting (or writing) too formally comes off as cold, distant, or passive-aggressive.

https://www.nytimes.com/2021/06/29/crosswords/texting-punctuation-period.html

余りに正しい文法や文章からは、親密さが感じられない場合があります。日本語で言うと、ずうっと敬語で話されている様な感じと言ったら伝わるでしょうか。

その様な理屈から、チャットでの会話でテキストの最後にピリオドが打たれると「それ以上 返信をするな / それ以上 何も言わせない空気感 / 忙しいからもういいよね? 的なニュアンス / これで会話は終了と言った冷たいニュアンス / 怒っている様な感じ」 等を感じる人もいるとのこと。

特に絵文字 / Emoji 等を全く使わないと、余計にそう言った印象を与えてしまう様です。

とは言え、全員が全員、その様な印象を持つわけでもありませんし、逆に仕事の話で絵文字 / Emoji を使うと「不真面目 / 真剣味が足りない」と感じる人も居るので、難しいところです。

また英語の場合 ALL CAPS / 全てを大文字で書くと「怒鳴っている」ニュアンスになる場合もあるので、注意が必要です。

コミュニケーション・ツール
の多様化による マナーの変化

例えば、電話でのコミュニケーションが中心だった時代は、電話をする前に事前に了承を得てからかける等と言うことはありませんでした。

でも今は、突然電話をかける行為は失礼と感じる人が多い様です。電話をかけるのであれば、事前に短いメッセージなどで「電話をかけて良いか」聞くことが求められます。

email でのやり取りも 現在は好まない人が多く、短い内容であればチャット・アプリでやり取りするのが一般的になっています。

この様にコミュニケーション・ツールが多様化する事により、それまでのマナーやルールも変化しています。

例えばチャット・アプリ等でのやり取りであれば、文法的な正しさよりも、カジュアルで分かりやすく、スピーディーなレスポンスが重要視されます。

またテキストだけのやり取りだと 言葉のニュアンスが見えにくいので、スタンプや絵文字 / Emoji などを多用し、相手に自分の感情やニュアンスを伝える事も一般的になりました。

しかし、先ほども書いたように、これらは全ての人に共通する=統一されたルールやマナーではありません。

電話でのコミュニケーションが中心だった時代の人の場合、事前に相手の許可を得ずに電話をかける事が失礼とは思っていませんし、emailでのやり取りが中心だった世代の人の場合は、チャット・アプリのやり取りでも、絵文字やスタンプ無しで、長文のメッセージを送る事もあります。

こう書くと「マルハラ」的問題は、世代におけるコミュニケーション・ツールの捉え方の違いや、ルール・マナーの違いに起因する問題の様にも見えますが、一概にそうとも言い切れません。

なぜなら、これらのルールやマナーは、業界やコミュニケーションを取っているグループによっても、異なる場合があるからです。

例えば 政府系の仕事をしている人や弁護士など 硬めの仕事をしている人は、対外的なやり取りで絵文字 / Emojiを使ったりはしません。とは言え、これも 社内でのやり取りの場合は事情が異なりますし、コミュニケーションを行うツールや、その人の性格によっても異なります。

また、ALL CAPS / 全てを大文字で書くと「怒鳴っている」ニュアンスになる場合があると先ほど紹介しましたが、著名なファッション・デザイナー Rick Owens / リック・オウエンスは、テキストを全て大文字で書く事で知られています。

from the article Chatting in Caps Lock With Rick Owens (January 21, 2022 GQ)

RICK, I WRITE TO YOU IN YOUR NATIVE CAPS LOCK.

THX! I MEAN IT AS CHEERFUL PROCLAMATIONS NOT SHOUTING *

https://www.gq.com/story/rick-owens-headlight-interview

結局、どの様なコミュニケーション・ツールを使ってやり取りするにしても、相手に不快な想いをさせない=ハラスメントと思われる様な行為をしない為には、先ずは相手との信頼関係をキチンと築き、相手に併せた対応を柔軟にすることが大事な気がします。

最後に、世界共通と思われている絵文字 / Emoji であっても、実は文化的背景等によって伝わる意味が異なると言う事例の動画をご紹介したいと思います。あなたの真意はキチンと相手に伝わっているでしょうか?

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