アメリカ・ニューヨークの国際連合本部にて、今年2023年は9月19日より行われた国連総会・ハイレベルウィーク。今回はこの国連総会及び、国連の通訳者や国際の専門機関による会議での通訳・翻訳などについて、少しご紹介したいと思います。(AnfaengerによるPixabayからの画像)
国連総会
ハイレベルウィーク
2023年は、9月19日~23日及び26日に開催された第78回国連総会 ハイレベルウィーク / General Assembly High-level Week 2023 。
国連総会
https://www.unic.or.jp/info/un/un_organization/ga/
総会は国連の主たる審議機関で、政策を決定し、国連を代表する機関である。総会はすべての加盟国の代表から構成され、各国はそれぞれ1票の投票権を持つ。平和と安全保障、新加盟国の承認、予算のような重要問題についての決定は3分の2の多数を必要とする。その他の問題に関する決定は単純多数で行われる。
国連総会の会期は 開催年の9月開催日より翌年9月まで1年間。
総会開催時には、首脳が参加する一般討論をはじめとする各種会合が連続して開催される通称「ハイレベルウィーク」が行われ、首脳外交の場として活用されます。
参考:国連総会 (外務省)
ミーハングループは、2019年9月23日から26日に開催された第74回国連総会にて、安倍総理大臣(当時)と欧州理事会議長とのミーティングに関する翻訳等のお仕事をさせて頂きました。
国連の会議通訳者
になるには...
国連総会を始め、様々な国際会議が行われる国連(国際連合 / United Nations・略称UN)。
この国連の通訳者になる為には、入試を受ける必要があります。
国連では公式言語があり、3言語ができることが一般条件ですが、2言語だけでも、試験にさえ受かれば採用はされます。
まずA言語(母語もしくは同等レベルの対応言語)、B言語(母語ではないが完璧にマスターしている第2言語)、C言語(B言語としては劣る第3言語。通常はC言語から母語へ通訳するがその逆は欧州の慣習上しません)がチェックされます。
母語以外の2言語の訳し方と文法の正確性、完全な文体を作る力、相手や内容に合わせた表現の使い分け、話し手のスピードについて行く力、論理的に考えて同じ事を言ってる場合はそれを丁寧に文書剪定する力、難解であったり情報量の濃い文体に対応する力、デリバリーつまり訳し方のいわゆる美しさも見られます。
国連の評価委員は、まず英語から他言語へのパフォーマンスを聞きます。これに落ちると、その次の試験へは進めません。つまり、母語(非 英語)から他言語への同時・逐次通訳は受けられず不合格となります。
試験題材は過去7〜8年の中で世界で評価を受けた、国連通訳者が通訳をしたスピーチがよく使われています。
残念ながらそのスピーチをここで教えることはできないのですが、ヒントとして、Youtubeなどで再生回数が多い国連の総会や安保理などのスピーチをチェックすると参考になります。
国連で通訳をされている方の中には、ご紹介した3言語の試験にちゃんと受かった上で、5〜6言語の同時通訳に対応したりする人もいます。
AIIC
国際会議通訳者連盟
国連で働く通訳者の中にはAIICのメンバーも多くいます。
AIICとは、読み方は「アイイク」、日本語では「国際会議通訳者連盟」と訳される事が多い組織です。
日本ではまだ馴染みが薄い組織ではありますが、世界100ヶ国以上、約3,000名の会員が登録。
日/英の通訳者は20名ほどが会員となっており、日本在住のメンバーは7名(2020年8月現在)。弊社代表の右田アンドリューミーハンもその内の1人です。
- AIIC Website
https://aiic.org/ - AIIC Facebook
https://www.facebook.com/aiic.interpreters/ - AIIC X(Twitter)
https://twitter.com/aiiconline
AIICは、世界銀行、国際オリンピック委員会(IOC)などの国際団体、主要国首脳会議(G7 /G20)等と提携しており、これらの機関や組織で働く通訳者の多くがAIICの会員です。
国連もAIICと労使契約を締結しており、多言語会議ではAIIC通訳者を使用する決まりとなっています。そのため、AIIC会員になるは厳格な入会基準が設けられています。
参考:UN CEB (UN System Chief Executives Board for Coordination) AIIC Agreement
国連には翻訳部門と通訳部門があり、通訳者部門には国連の会議通訳試験を合格した、60名ほどの優秀な staff interpreter(フルタイムの常駐スタッフ)と、30名ほどの contract interpreter(契約登録しているフリーの通訳者)がいます。
https://meehanjapan.com/interpreting01/
ミーハングループ代表・通訳者 右田アンドリュー・ミーハン
国連 専門機関等による
様々な会議
国連には 国際的な問題に取り組む、様々な専門機関組織が多く存在します。
最近では、性被害調査で来日した国連難民高等弁務官 / UNHCR 等がパッと思いつくかも知れません。
ミーハングループは、この国連難民高等弁務官 / UNHCR が担当する他の案件にて、通訳を担当。昨年2回ほど福島で通訳を行いました。
また、国際連合の専門機関の1つである国際電気通信連合(ITU)にて、通訳及び英語でのミニッツテーカー(英語議事作成者)もアレンジしています。
この他にも、国連の専門機関ではありませんが 国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA) の「重要鉱物関連会合」にて同時通訳を担当。
昨年行われた世界銀行の「カンボジア道路連結改善プロジェクト(Cambodia Road Connectivity Improvement Project)」の会議でも通訳を務めています。
この様に、様々な専門機関による国際会議が 頻繁に行われており、これに対応する会議通訳者や、書類作成/翻訳に対応できる翻訳者のニーズも増えています。