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Decoupling・デカップリング / De-risking・デリスキング ~報道から学ぶ英語表現~

ビジネスや政治、外交で使われる言葉は日々進化しています。今回は「Decoupling・デカップリング」と「De-risking・デリスキング」についてご紹介したいと思います。Lucas WendtによるPixabayからの画像)

Decoupling / De-risking
使われている場面

今回ご紹介する英語「Decoupling・デカップリング」と「De-risking・デリスキング」。

この言葉を最近報道で見かけた人もいらっしゃると思います。どの様な場面で使われている言葉なのか、先ずは見てみましょう。

5月に広島で行われた第49回先進国首脳会議 / G7広島サミットを含む 政治 / 外交の場面、現在は主に「中国」との外交政策に関連して使われているのがわかります。

Decoupling の意味

先程紹介した日本語の記事では「デカップリング(分断)」と書かれていましたが、Decoupling のそもそもの意味を先ずは英英辞典で見てみましょう。

From Cambridge dictionary

decoupling noun 
a situation in which two or more activities are separated, or do not develop in the same way:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/decoupling

「2つ、またはそれ以上の「活動」が分離すること、または(それぞれが)同じように発展しないこと。」とありますが、少し捉えずらい言葉です。

この Decoupling が、先ほど紹介した記事等での使用以外で、どの様な場面で使われるかご紹介すると、もう少しピンと来るかもしれません。

Some decoupling or local regulation is recommended for analogue circuitry.

It is a snapshot of the radiation at the time of decoupling between matter and radiation in the early universe.

By decoupling the motor from the computer case it prevents the resonance chamber effect from amplifying the noise.

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/decoupling

上記例文は、主に科学や物理(または工学)に関連する文章で使われています。

つまり Decoupling は「同じ活動領域にあった2つ(またはそれ以上)の物質を分離する」と言った意味で使われる事が多い言葉です。

また、例えば電車の進行方向を変える時に、運転席のある先頭車両を切り離す場合や、荷物を運ぶ大型トレーラーの運転席部分と、荷物部分を切り離す場合などにも使われます。

つまり「今まで同じ方向を向いて活動をしていた」ナニかを、分離したり、切り離す様なシチュエーションを意味します。

では、 Decoupling は「人間関係」などにも使われるのでしょうか?

例えば「人間関係」を科学や物理に例えて話す場合は、Decoupling を使うことはあるかもしれません。または「電車」や「トレーラー」、つまり「人間」以外の物質的な何かに例える場合は、使うケースもあるかもしれません。

でも基本的には「人対人」や「人間関係」に Decoupling は使われません。

今回の報道の場合も、あくまで「国 対 国」つまり外交政策の話だから使われたと見るのが妥当です。

De-risking の意味

De-risking Decoupling よりもイメージが捉えやすい言葉だと思いますが、まずは英英辞典で意味を見てみましょう。

From Cambridge dictionary

derisk / de-risk verb
to make something safer by reducing the possibility that something bad will happen and that money will be lost:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/derisk

derisk / de-riskverb / 動詞なので、ing をつけて現在進行形で表す事が出来ます。

つまり De-risking は、記事にもありましたが「リスク低減」「リスクの可能性を減らす」と言った意味になります。

UnhappyImpossible など、元々の言葉 Happy (幸せ)Possible(可能)の前に Un Im が付く事で、別の意味になるのと同じです。

時事英語

会議や外交の場でよく使われる言葉は、時代や状況でどんどん変わります。

ここ10年くらいで、よく使われる時事英語について、弊社代表 通訳者の右田アンドリュー・ミーハンに聞いてみました。

一昔前は「オール電化」なんて言葉が、ビジネス会議や外交の場でよく使われていましたが、ここ数年は「クリーンエネルギー」でしょうか。環境の話題は、とにかく多いです。

電気自動車もハイブリッド車がありますが、水素エネルギー(hydrogen energy, blue hydrogen, green hydrogen)などもっとクリーンな、かつグリーンな(環境にやさしい)エネルギーをどうするかの会議は多いです。

先程使いましたが「環境にやさしい」これももう一昔前の言葉。

「環境にやさしい」は、今ではもっと具体的な指標や数値を使った表現に変わってきています。私がよく関わる G7のエネルギー大臣関連会合 などでは、例えば「2030-2035年 ○○を達成させるためのエネルギー指標」と言う様な、具体的な表現をします。

また、今回紹介した Decoupling / De-risking も良く使われます。日本語の議事録などでは「デカプ」と端折った形で書かれたり、口頭でも「デカプ」と言ったりもします。

右田アンドリュー・ミーハン

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