2021年8月24日から開催された東京2020パラリンピックも、あっと言う間に終盤となりました。そこで今回はパラリンピック競技他、関連する話題の英語表現について少しご紹介します。
パラリンピック競技
英語で何と言う?
スピード、パワー、共に迫力の試合を見せてくれた車いすバスケ。ところで英語で車いすバスケは何と言うでしょう?
車いすは英語では Wheelchair と言うので、それに Basketball を足して Wheelchair basketball となります。
車いすを使う競技については、 日本語と同様に Wheelchair + 競技名となります。
- WHEELCHAIR CURLING
- WHEELCHAIR FENCING
- WHEELCHAIR RUGBY
それ以外の競技の多くは PARA + 競技名 となっています。例えば PARA SWIMMING, PARA TRIATHLON などです。
ではこの PARA = パラ とは何を意味するのでしょうか?
Paralympic の パラとは
「パラリンピック(Paralympic Games)」が正式名称になったのは、1988年のソウル大会から。現在はギリシャ語のパラ=Para(沿う、平行)+Olympic(オリンピック)とし、もう一つのオリンピックとして解釈されている。
パラサポWeb より
ギリシャ語の「沿う、平行」の Para は、例えば SF映画等で見られるシチュエーション Parallel World = パラレルワールド:現在の世界と並行して存在する別世界(異世界)の「パラ」でもあります。
パラリンピック、パラスポーツの総合サイト「パラサポWeb」によると、元々は Paraplegia 下半身不随などにつながる麻痺を意味する用語:対まひ者の Olympic = Paralympic という意味合いだったのが、開催を重ね、身体障がい者の国際大会と言う位置づけになったさい、現在の解釈になったとの事。
パラリンピックの歴史や、開催された背景他については、日本パラリンピック委員会 Website はもちろんの事、パラサポWeb にも詳しく掲載されていますので、ご興味のある方はチェックしてみて下さい。
- 日本パラリンピック委員会 Website
https://www.jsad.or.jp/paralympic/ - パラサポWeb
https://www.parasapo.tokyo/paralympic
Boccia/ボッチャ
パラリンピックの競技名については 車いす / Wheelchair + 競技名 、 PARA + 競技名 が多いと先ほどご紹介しましたが、もちろんそれ以外の競技名もあります。
代表的なのは「Boccia/ボッチャ」でしょうか。 Boccia ボッチャは イタリア語で「ボール」を意味しています。
因みに弊社代表通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、2017年2月に東京都庁で行われた国際パラリンピック委員会 (IPC) 会長 Philip Craven氏と、小池百合子都知事との会見及びボッチャの試合にて、通訳を務めました。
https://www.paralympic.org/news/ipc-president-meets-tokyo-governor-boccia-match
このほか、パラリンピックの英語での競技名についてご興味があるかたは、 国際パラリンピック委員会 (IPC) のWebsiteに掲載されているので、ぜひチェックしてみて下さい。
国際パラリンピック委員会
International Paralimpic Comittee
https://www.paralympic.org/
障がい者スポーツ用語
先程紹介した日本パラリンピック委員会Websiteには、障がい者スポーツに関連する表現を集めた「障がい者スポーツ用語/和訳_20180329」なども掲載されています。
例えば、Athlete with an impairment は「障がいのあるアスリート全般」と訳されていますが、それ以外に以下表現も紹介されています。
- Athlete with a physical impairment
身体障がいのあるアスリート - Athlete with a visual impairment / blind
視覚障がいのあるアスリート - Athlete with high support needs
特別な支援を必要とするアスリート
この用語集には、障がい者スポーツに関連する様々な表現が紹介されている他、同ページには解説や略号集、資料等も掲載されています。
日本パラリンピック委員会Website
用語集
https://www.jsad.or.jp/paralympic/what/term.html
障がいを持つ人を
表す英語
障がい者スポーツ用語集で 障がいを持つ人を表す場合、以下3つの言葉が英語では主に用いられています。
- Disability
- Disorder
- Impairment
障がい者スポーツ用語/和訳_20180329 では Disability / Disorder / Impairment については、以下の様な和訳が掲載されています。
- Disability
障がい(クラス分けの文脈では)能力障がい - Disorder
単体での紹介はなく mental disorder:精神障がい、emotional disorder:情緒障がい、post-traumatic stress disorder:心的外傷後ストレス障がい 等の和訳が掲載されています。 - Impairment
障がい(クラス分けの文脈では)機能障がい、visual impairment / vision impairment:視覚障がい、hearing impairment:聴覚障がい 等
Disability は、ability=能力が何らかの理由によって失われている事、能力に障がいがある事を表しています。
Disorder は、order=命令や秩序が失われた/乱された事を意味するので、例えば 「emotional disorder:情緒障がい」であれば、情緒によって命令や秩序が失われた/乱されている人を意味します。
Impairment は機能が失われている状態を意味する言葉で、動詞の Impair から派生している言葉になります。
これ以外にも障がいを持つ人を表す言葉で、一般的に耳にする言葉としては handicap があると思いますが、handicap は不利な状況、または不利な状況にある人を意味しています。例えばゲームやスポーツで、実力などの差がある人同士が競う時に、その差を埋める為の設定なども handicap と言います。
パラリンピック
開会式
既に終盤に入っている東京2020パラリンピック。閉会式は2021年9月5日に開催されますが、8月24日に行われた開会式も大きな話題となりました。
見逃された方は以下リンクNHK特設ページよりご覧いただけます(2021年9月3日現在)
NHK パラリンピック開会式全編
https://sports.nhk.or.jp/paralympic/highlights/content/1f86d407-9a6a-49d0-a1be-b3f8cf9df03a/?cid=dchk-yt-0824-olypara
ダイジェスト版
https://youtu.be/r0GDSmlSdZo
デコトラ
パラリンピック開会式では、公募キャストの和合由依さんが演じた「片翼の小さな飛行機:Little one-winged plane 」を始め、様々なパフォーマンスが注目を集めました。
なかでも、ソーシャルメディアで大きな話題となったと言えば、ギタリスト 布袋寅泰さんがデコトラで登場したこのシーンではないでしょうか?
動画【NHK】世界のホテイ全盲のギタリストらとデコトラで熱演 ・開会式 東京パラリンピック は、以下リンクより御覧頂けます。
https://youtu.be/1km_ExguBFU
因みに布袋寅泰さんのお名前は「ホテイ トモヤス」と読みます。
人名は日本語に限らず読みが色々と難しいのですが、布袋さんのお名前を「トラヤス」さんと、テレビ局のアナウンサーが間違って読んでしまっているのを、何度か見かけたことがあります。さすがに今回の開会式で間違われる事はありませんでしたが。
さて、このシーンで布袋さんや他ミュージシャン、パフォーマーと共に大きな注目を集めたのが、伊藤若冲の絵が描かれ、電飾で飾られた光るトラック「デコトラ」でした。
この「デコトラ」、デコレーショントラックの略語になりますが、和製英語ですので Decoration Truck と言っても海外の人には通じません。
Olympics.com では 「デコトラ」 を Giant illuminated truck と紹介。Japan Times は the Dazzling Truck (まぶしい/まばゆいばかりのトラック)と表現しています。
まだまだ熱い闘いが繰り広げられているパラリンピックですが、9月5日の閉会式 Closing Ceremony では、どんなパフォーマンスが見られるのでしょうか?こちらも今から楽しみですね。