カナダ・モントリオールで 2025年4月13日〜15日に開催された、Globalization and Localization Association が主催する翻訳業界の国際的なイベント GALA 2025 に、弊社・翻訳者の アラン・エバンスが参加しました。今回の記事では、その時の様子等をご紹介します。(BeenermによるPixabayからの画像)
GALA / Globalization and
Localization Association
カナダ・モントリオールで 2025年4月13日〜15日に開催された、翻訳業界の国際的なイベント GALA 2025。
このGALAとは、業界団体 Globalization and Localization Association の略称になります。
GALA は、多言語対応やグローバルビジネスの発展を支援する非営利組織で、翻訳・通訳サービスプロバイダーはもちろん、言語技術開発者や大学の他、翻訳サービスや技術を利用する組織や企業もメンバーとして参加。
業界の成長促進、最新技術の共有、ネットワーキング機会の提供を目的に様々なイベント等を開催しています。
GALA 2025は 同団体が主催する年次イベントで、翻訳関連企業や技術プロバイダー等が出展し、自社サービスや開発システムを紹介したり、専門家が集まり最新の業界トレンドや、技術革新についてのカンファレンス等が行われました。
日本からは、生成AIを搭載した翻訳支援ツール(CATツール)「ヤラクゼン」を提供する八楽株式会社が、出展者 / Exhibitor としてGALA 2025に参加されています。
- 翻訳業界の国際的な主要イベントGALA 2025に日系企業として唯一出展
八楽株式会社 プレスリリース / PR Times
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000004034.html - Globalization and Localization Association
Website https://www.gala-global.org/ - GALA 2025 Montreal
https://www.gala-global.org/events/events-calendar/gala-2025-montreal
カナダ
モントリオール
ここで、少しGALA 2025が開催されたカナダ・モントリオールに関する豆知識をご紹介します。
モントリオールは、カナダのケベック州の州都で、英語表記は Montreal フランス語表記は Ville de Montréal となります。
なぜフランス語表記を書いたかと言うと、モントリオールのあるケベック州の公用語がフランス語だからです。
これはケベック州のある地域が、元々フランスの植民地であった事に由来しています。この為、カナダの公用語は英語とフランス語になっています。
- カナダで公用語が英・仏語ふたつのワケ|特集「カナダの“なぜ”に迫る」(2019年1月11日 Toronto+Japan Magazine TORJA)
- カナダ 基礎データ(外務省)
GALA 2025
ミーハングループで 日本語>英語の翻訳を担当するアラン・エバンス は、 カナダで2025年4月13日〜15日に開催されたGALA2025に参加しました。
アラン・エバンス / Alan Evans
アランは、2023年アイルランド・ダブリン、2024年スペイン・バレンシアで開催されたGALAにも参加、今回が3度目になります。
以前のGALAでもテーマにはなっていましたが、今年は以前にも増して「AIを利用した機械翻訳(Machine Translation・MT)ツールの活用」が大きなテーマになっていたとのこと。
AIを活用した翻訳ツールを提供する企業の出展も多く、機械翻訳ツールについての議論やセミナーも多数開催されたそうです。
How to tame your AI
– a crash course in prompt design
/ GALA YouTube Channel @Gala_GlobalOrg
この動画は、GALA2025の開催前に公開されていますが、大規模言語モデル/ Large Language Models・LLM におけるプロンプトの作成についての動画になります。
この様に、AIをテーマにしたカンファレンスもGALA2025では、多数開催されました。
機械翻訳ツールを
使用した際の問題点
翻訳業界でも「AIを利用した機械翻訳(Machine Translation・MT)ツール」の利用は、(翻訳者や通訳者が、全面的にツールを使用するか否かは別として)もはや珍しい話ではなくなりつつあります。
しかし、この様な翻訳ツールを使用する事で懸念される問題も まだまだ沢山あり、GALA2025でも「機械翻訳ツールは、本当に翻訳や通訳に使えるのか?」と言った内容のミーティングも数多く実施されました。
ここでは、GALA2025で取り上げられたAI翻訳ツールを使用する際の懸念事項を、幾つか事例等も含めてご紹介したいと思います。
- 訳出内容に関する問題
- 誤った訳出がされる = もっともらしい嘘 / ハルシネーション問題
- 翻訳ツールが勝手に編集・判断し、翻訳対象の文章全体を翻訳しない事がある。
- 何度も翻訳ツールを使用して訳すると、翻訳内容が本来の文章より薄くなる。
- スキルの問題 / Over Specialization
- 翻訳ツールを使用して訳した内容を確認・修正するポストエディット(PE)作業は、翻訳者が本来要求される語学スキルとは、また異なるスキルが必要となる。
- 翻訳ツールの機能が向上した場合、ツールが複雑化する可能性もある。そうなると、翻訳者は本来必要とされる語学スキルに加えて、高度なITスキルも必要となる可能性がある。
- 翻訳精度や責任に関する問題
- 翻訳ツールが出した結果内容の責任は誰がとるのか?
- 翻訳ツールの訳出精度はどの程度が求められるのか? Good Enough=必要最低限レベルでOKなのか、Perfect=完璧に近いレベルなのか?その判断は誰がするのか?
- セキュリティクリアランスに関する問題
- 翻訳ツールのセキュリティはどの程度のものか?
- 翻訳した情報が漏洩する可能性はないのか?
- 翻訳情報が漏洩した場合の責任は誰がとるのか?
この他、機械翻訳が一般化する事により、新たに発生する問題や必要となるスキル等の問題も議題となっていたとのこと。
またGALA2025には、翻訳に関連したデジタルサービスを提供する企業も多数参加していた為、より専門的な、AIを利用した機械翻訳に関するミーティングも多数行われたそうです。
デジタル・テクノロジー
/ 機械翻訳との共存
様々な業界/分野で、AIを始めとしたデジタル・テクノロジーとの共存・協働が進んでいる現在。
問題点や懸念事項があるとは言え、AIを利用した機械翻訳(Machine Translation・MT)ツールも、想定以上の速さで進化、訳出内容も飛躍的に向上しています。
今回 GALA2025 に参加したアランも「テクノロジーの発展に伴い、これからの翻訳者 / 通訳者は語学スキルだけではない、高い専門性や視野・知識等を身に付ける必要があると、今まで以上に強く感じた」と話していました。
翻訳/通訳業界は、様々な言語・多様な人々のコミュニケーションをサポートするグローバル・ビジネス、かつ変革の時にある為、GALAの様な国際イベントに参加し、様々な立場の人々と情報交換する事は、大変 有意義だった様です。
来年2026年は 4月12日~14日 ドイツ・ベルリンで、GALAは開催される予定です。
- Globalization and Localization Association
Website https://www.gala-global.org/ - GALA 2026 Berlin
https://www.gala-global.org/conference/GALA-2026-Berlin
言語だけに留まらない
文化・ビジネス・
心の橋渡し
本ブログでも何度か機械翻訳についての記事を掲載していますが、これからの翻訳及び通訳者が求められる事の1つに、文化や常識・背景を理解した翻訳 / 通訳があります。
場の空気や、状況、発した言葉 / 書かれた言葉の奥に込められた真の意味等を鑑みながら、多様な視点で言葉を訳し、人々のコミュニケーションが円滑に進む様サポートする。
それは「人だからこそ出来ること」だと、我々は考えています。
ミーハングループは、新たなテクノロジーに柔軟に対応しながらも、 言語だけに留まらない『文化・ビジネス・心の橋渡し』を引き続き合言葉とし、単なる言葉の置き換えではない通訳 / 翻訳を行ってまいります。