今年2022年は9月19日が敬老の日、9月23日が秋分の日で祝日です。今回のブログでは、この敬老の日や秋分の日、「秋」の祝日や文化的行事にまつわる英語表現等を少しご紹介したいと思います。
敬老の日
2003年から9月の第3月曜日と定められた「敬老の日」。
国民の祝日に関する法律「祝日法」によれば、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日となっています。
ところで、英語では年長者の事を表す場合の表現として Old people/person と Elder がありますが、この使い分けについてはご存知でしょうか。
Old people/person は正に「年寄り」つまり年老いた人を意味し、文脈や言い方によってはネガティブな印象を与える表現です。また年配の方に面と向かって言っていい表現とは言い難いです。
Elder は、年配や年長者に対して使う場合は、常に複数形 Elders で表されます。Elders には長老などの意味もありますが、そこまで年配でもなくても知恵が豊富な人を指す場合もあります。
日本でも「おばあちゃんの知恵袋」などと言いますが、英語でも wisdom of your elders と言ったりします。意味は目上の人や先輩からのアドバイスといったニュアンスです。
敬老の日は Respect-for-the-Aged と言う言い方もありますが、弊社代表 通訳者の右田アンドリュー・ミーハンは、他国の人々から質問された場合は、日本語の意味を踏まえて Observance of our elders と答えているとのこと。
Observance には「法律や宗教上の慣習に従うこと」と言う意味がありますが、「〇〇に敬意をはらってお祝いする」と言う意味もあり、Observance of holidays は、行事や儀式でお祝いをする祝日と言う意味になります。
observance
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/observance
Cambridge Dictionary
the act of obeying a law or following a religious custom:
observance | AMERICAN DICTIONARY
a ceremony or action to celebrate a holiday or a religious or other important event:
また、英語では Respect your elders と言う事がありますが、これは目上の人や先輩には敬意を表わせと言う意味で、この場合の elders は単純に年上の人ことを差しています。
なお、日本では年老いた人の事を「シルバー」と表現する事もありますが、英語の Silver には、その様な意味はありません。
秋分の日
「秋分の日」も、国民の祝日に関する法律「祝日法」によって制定された日本の祝日です。
秋分の日は「昼と夜の長さが等しくなる日」と思っていらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、秋分の日の祝日の趣旨は、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことで、昼と夜の長さが等しくなることが趣旨ではありません。
3月20日または21日の「春分の日」も、「祝日法」によると「自然をたたえ、生物をいつくしむ」ことを趣旨とした祝日とのこと。
春分・秋分の日が、昼と夜の長さがほぼ等しいのは間違いない様ですが、厳密には昼が若干長いそうです。
この昼と夜の長さがほぼ等しい事を、英語では equinox と言います。
equinox
Cambridge Dictionary
either of the two occasions in the year when the centre of the sun is directly above the Equator, and day and night are approximately equal in length:the vernal (= spring) equinox
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/equinox
the autumn equinox
ただ、この言葉は専門的な言葉になりますので、聞いてスグにピンとくる人は多くはないと思います。
また祝日としての「秋分の日」「春分の日」は、実は仏教のお彼岸にも関連した祝日でもあります。
彼岸
https://kotobank.jp/word/%E5%BD%BC%E5%B2%B8-119265
コトバンク
春分・秋分を中日として,その前後おのおの3日にわたる1週間を〈お彼岸〉と称し,この期間に寺院では彼岸会という法会を行い,信者は寺に参詣し,説法を聴聞,また墓参などをする。このような習俗はインド,中国にもみられず,日本にしかない。彼岸の語はふつうサンスクリットpāramitā(波羅蜜多)の訳〈到彼岸〉の略とされ,仏教に由来する行事とするが,太陽信仰に関係があり,〈日の願〉から〈日願(ひがん)〉になったと推定する五来重の説もある。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版
しかし、この様な宗教的背景の説明は どうしても長々としたものになりますし、場にそぐわない場合もあります。また専門家でない限り、簡単には説明しづらい内容でもあります。
ですので、英語で簡単に、手短に説明するには、先ほどの敬老の日の表現で出てきた Observance を使って、Observance of our ancestors と言うのも良いかも知れません。
夏至 / 冬至
祝日ではありませんが、1年でもっとも日が出ている時間が長い「夏至」や、1年でもっとも日が出ている時間が短い「冬至」は、英語にも Summer Solstice / Winter Solstice または solstice と言う表現があり、国によってはお祭りを行う場合もあります。
中秋の名月
今年の「中秋の名月」は、9月10日でした。皆様はご覧になられましたか? この「中秋の名月」は、英語で Harvest Moon などと訳されている場合があります。
Harvest は「(穀物等の)収穫」を意味しますので、「秋の収穫時期の(美しい)月」と言う英語訳になります。
ただ 意味や由来を調べると、中秋の名月は「収穫」に必ずしも結びついている行事と言うわけでは無さそうです。
とは言え Harvest Moon は、実りの秋の月夜をイメージさせる、英語圏の人にもわかりやすい意訳だと思います。
月は国や文化によって、イメージも大きく異なります。ルナティック lunatic なんて言葉もある様に、ある種の「魔」的なイメージを月に持つ文化もあります。
この秋の連休は、そんな日本と各国の「秋」の文化や行事の違いについて調べてみるのも面白いかも知れません。
今週末は日本を縦断するのでは?と予報が出ている台風の動きも気になります。どうぞ皆様、お気をつけてお過ごしくださいませ。