6月は LGBTQ / LGBT+コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが開催される月間「プライド月間 / Pride Month」です。そこで今回は「プライド」についてや、 LGBTQ / LGBT+コミュニティにおける英語表現等について、少し紹介をしたいと思います。
プライド とは
6月はプライド月間・Pride Month ですが、なぜLGBTQ / LGBT+コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが開催される月間に「プライド / Pride」と言う言葉が使われるのでしょう。
英英辞典で Pride を調べると以下の様な説明があります。
pride noun (SATISFACTION)
Cambridge Dictionary より
a feeling of pleasure and satisfaction that you get because you or people connected with you have done or got something good:
pride noun (RESPECT FOR YOURSELF)
your feelings of your own worth and respect for yourself:
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/pride?q=Pride
精選版 日本国語大辞典の解説によると、「プライド:自分の才能や個性、また、業績などに自信を持ち、他の人によって、自分の優越性・能力が正当に評価されることを求める気持。また、そのために品位ある態度をくずすまいとすること。誇り。自尊心。自負心。矜持(きょうじ)。」となっています。
英語の意味で、2番目に書かれている RESPECT FOR YOURSELF は、日本語における「自尊心」に繋がるかと思います。
この RESPECT FOR YOURSELF = 自尊心 が、今回ご紹介する「プライド月間=Pride Month」の語源に大きく関わっています。
プライド
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/ha/8.html
(前略)LGBTQの「プライド」とはいったいどのようなものでしょうか? 日本語でプライドというと「プライドが高い」「プライドが傷つけられた」というように、ネガティブな意味合いをイメージする方も多いと思います。「沽券」に近いニュアンスです。
欧米で言うところの本来の「プライド」は「誇り」であり、自らを恥じない、堂々と自信を持っているという意味です。Appleのティム・クックCEOがカムアウトした際に「私はゲイであることを誇りに思っている(I’m proud to be gay)」と述べたように、pride, proudは肯定的な(とてもgoodな)意味で用いられます。
(中略)自分が性的マイノリティ(クィア)であることを恥じることなく受け容れ、堂々とカミングアウトしよう、胸を張って生きていこうとする心意気が「プライド」です。
Magazine for LGBTQ+ Ally『PRIDE JAPAN』より
プライド月間は
なぜ6月なのか?
東京では5月のゴールデンウィークに Tokyo Rainbow Pride が行われています。ニュース等での報道も多いので、眼にした事がある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし世界的には、多くのプライド・パレードが6月に実施されています。
コレは1968年6月に アメリカ / ニューヨーク グリニッチ・ヴィレッジにあるゲイバー「ストーンウォール・イン」で起きた警察による強制捜査と、それに抵抗した性的少数者の争いが1つのきっかけになっています。
参考リンク
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/sa/1.html
Magazine for LGBTQ+ Ally『PRIDE JAPAN』
「ストーンウォ-ル事件」または「ストーンウォールの反乱」などと呼ばれているこの出来事は、日本でも2016年に公開されたローランド・エメリッヒ監督の映画『ストーンウォール』でも描かれています。
プライドパレード
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/ha/9.html
(前略)1970年6月28日、ストーンウォール1周年を記念して、NYで「Christopher Street Liberation Day 1970」という大規模なマーチが開催されました。※3。NYだけでなく、シカゴやサンフランシスコやLAでも開催されました。
このときの実行委員会は、ゲイたちが自身のセクシュアリティやジェンダーを肯定し、誇りを持てるようになることが大切だと考え、デモだけでなく1週間の「Pride Week」を設けました。これがプライドの発祥とされています。
Magazine for LGBTQ+ Ally『PRIDE JAPAN』より
こう言った背景があり、世界的に6月は「プライド月間 / Pride Month」として、LGBTQ / LGBT+コミュニティーを祝うパレードや、権利啓発のイベントが開催されています。
LGBTQ / LGBT+
メディア / 施設
今回紹介した、LGBTQ / LGBT+ の話題には、余りご興味/馴染みのない方々もいらっしゃるかも知れませんが、昨今このテーマが、通訳を行う政治や外交、または企業間の会議等の場で話題に上る事や、翻訳をする文章に出てくる場合があります。
このブログにて、リンクや引用で紹介した Magazine for LGBTQ+ Ally『PRIDE JAPAN』のサイトには、LGBTQ用語解説 のページもありますので、気になる方はチェックしてみると良いかと思います。
また実際に足を運べる施設としては、2020年 10月11日に東京都新宿区にオープンした。日本で初めてとなる常設の大型総合LGBTQセンター『プライドハウス東京レガシー』があります。
コチラでも LGBTQ / LGBT+ に関する様々な情報が発信されているので、お近くにお立ち寄りの際は足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
Ally / Minority and more
Prideを始めとして、LGBTQ / LGBT+ には多くの用語があります。コミュニティにおける意味については、Magazine for LGBTQ+ Ally『PRIDE JAPAN』の LGBTQ用語解説 にてご確認頂くとして、当ブログでは本来の英語の意味を幾つか抜粋して、紹介したいと思います。
Ally / Alliance
LGBTQ / LGBT+コミュニティでは、LGBTQを差別することなく友好的な関係を築こうとする、LGBTQ以外の人々の事を Ally(アライ)と呼びますが、通常の英語でもこの言葉は使われます。
縁組や国同士の同盟などでも使われる言葉で、動詞として使う場合は Allying 過去形は Allied 複数形の場合は Allies になります。
また日本で「企業間の提携 / 業務提携」と言った意味で使われる「アライアンス / Alliance 」は Ally の名詞形です。
2020年6月に60周年を迎えた日米同盟は THE U.S.-JAPAN ALLIANCE 等と英語では表記されます。
参考リンク
https://jp.usembassy.gov/us-japan-alliance-gold-standard-60th-anniv/
U.S.Embassy and Counsulates in Japan Website
Minority
性的マイノリティ または Sexual Minority (セクシャル・マイノリティ)や Gender Minority (ジェンダー・マイノリティ)は、LGBTQ / LGBT+ コミュニティでも良く使われる言葉ですが、Minority (マイノリティ)は、多数/者/派= Majority (マジョリティ)に対する言葉で少数/者/派 を意味し、〇〇 Minority と言う形で通常英語でも使われる言葉です。
例えば Ethnic minority / Ethnic minorities は少数民族を意味します。
また時として Minority は、Majority / 多数派に対する少数派=弱者 として訳される事もありますが、文脈によってそれは異なります。
単に数として「少数」なのか、少数である事により社会的な立場が不利な「弱者」であるのか、日本語訳にする場合は見極めて使う必要があると思われます。
Diversity
Diversity (ダイバーシティ)または Diversity & Inclusion (ダイバーシティ&インクルージョン)は、「多様性」または 「多様性の受容」を表す言葉として、昨今では一般的に使われている言葉です。
ビジネスの場、特に日本では「人種・国籍・性・年齢等を問わずに人材を活用すること」と言った意味で使われる場合が多いかと思いますが、そもそも英語での Diversity は 「個人や集団の間に存在しているさまざまな違い」だけを表す言葉ではなく、多様な状態/状況を表す言葉になります。
例えば Diversity of languages は「多様な言語/様々な言葉」と言う意味ですし、Diversity of opinions は「様々な意見」と言う意味になります。
この様に、LGBTQ / LGBT+用語として使われている言葉には、通常英語で使われている言葉が多く含まれています。
この「プライド月間」に LGBTQ / LGBT+コミュニティについて理解を深める為、「用語」としてLGBTQ / LGBT+コミュニティで使われている言葉を勉強するのはもちろん、それぞれの言葉本来の意味を知れば、英語の語彙が増える事にも繋がるかもしれません。
第29回
レインボー・リール東京
セクシュアル・マイノリティをテーマとする作品を上映する映画祭「第29回レインボー・リール東京」が、2021年7月16日(金)〜29日まで開催されます。
株式会社ミーハングループは「言語だけにとどまらない様々な背景を持った人々の心の橋渡し」をモットーに、通訳・翻訳業務を行っており、LGBTQ/LGBT+ 案件も数多く手掛けている事から、同映画祭の英訳ボランティアの一員として、代表である右田・アンドリュー・ミーハンが、第29回レインボー・リール東京 Website 等に掲載されるコメントや文章の英訳翻訳等を手掛けています。