春のお彼岸は、春分の日を中日として前後3日間・合計7日間と言われています。2025年は3月17日~23日まで。そこで今回のブログ記事では、春のお彼岸に因み仏教由来の言葉を少しご紹介したいと思います。(kazuoによるPixabayからの画像)
春分 / 秋分の日
の英語表現
春も秋も、お彼岸は「昼と夜の長さが等しくなる春分・秋分の日」を中日とし、前後3日間・合計7日間となっています。
この「昼と夜の長さが等しくなる日」の事は、英語で equinox と表現。春分は the vernal or spring equinox 秋分は the autumn or fall equinox と表現されます。
equinox
Cambridge Dictionary
either of the two occasions in the year when the centre of the sun is directly above the Equator, and day and night are approximately equal in length:the vernal (= spring) equinox
the autumn equinox
ただし equinox は、日本の様に「お彼岸」に関連する言葉ではありませんし、日常的に使われる言葉でもないので、英語話者でもピンとこない人もいるかもしれません。
春のお彼岸及び「春分の日」は、日本では本格的な春の訪れを感じさせてくれる行事でもありますが、キリスト教圏では、これに近い行事として「イースター / Easter 」があります。
イースターは、カトリックやプロテスタントなどの西方教会では「春分の日の後、最初の満月の次の日曜日」と言う やや複雑な日付が設定されており、2025年は4月20日が その日にあたります。
※正教会などの東方教会では、ユリウス暦を用いて日にちを決めている為、2025年のイースターは4月27日です。
「イースターの意味」とは?「発祥」「日にち」「楽しみ方」などさくっと解説!【大人の語彙力強化塾】(2025.3.11 Precious.jp )
彼岸とは
そもそも「彼岸」とは、仏教用語で「生死の迷いを河・海にたとえた、その向こう岸。悟りの境地」を意味するとのこと。
対義語となる「此岸(しがん)」は、「迷いの世界。悩みの多い現実世界。この世」を意味するそうです。
デジタル大辞泉 / コトバンク より
ひ‐がん【彼岸】
《〈梵〉pāramitāの訳「到彼岸」から》
- 仏語。生死の迷いを河・海にたとえた、その向こう岸。悟りの境地をいう。⇔此岸しがん。
- 「彼岸会ひがんえ」の略。《季 春》
- 雑節の一。春分の日と秋分の日をそれぞれ中日とする各7日間。春の彼岸と秋の彼岸。
- 向こうがわの岸。「蛍は…スウと遠く―の葦間に消えた」〈木下尚江・良人の自白〉
仏教由来の言葉
さて、日本語の中には、思っている以上に仏教由来の言葉が沢山あります。
本ブログでも以前、以下記事にて仏教由来の言葉をご紹介していますが、これらは ほんの一部です。
そこで今回は、春のお彼岸に因み沢山ある仏教に由来する言葉の中から、この時期に合う様な言葉を3つ選び、ご紹介したいと思います。
縁起
「縁起が良い」「縁起でもない」なんて言い方で使われる「縁起」。
仏教では、すべてのものには、必ずそれを生んだ因と縁とがあり、それを因縁生起(いんねんしょうき)=縁起と呼ぶのだそうです。
「縁起が良い・悪い」という言葉は、吉凶のきざしを指したりする際に使われる事が多いですが、本来は、他の多くのモノの力、恵み、おかげを受けて、私たちは生かされているという、仏教の基本的な教えを表した言葉だそうです。
「縁起」浄土真宗本願寺派(西本願寺)Website 仏教語豆事典 より
我慢
The Oxford English Dictionary(OED)にも掲載されている「我慢 / gaman」
from The Oxford English Dictionary
gaman noun
In Japanese culture: the capacity to endure hardship or misfortune with dignity, patience, and resilience, traditionally regarded as a virtue.https://www.oed.com/dictionary/gaman_n
gaman verb
intransitive. In Japanese culture: to endure hardship or misfortune with dignity, patience, and resilience.
この「我慢」、仏教本来の意味は あまりよい意味ではないとのこと。
仏教では「我慢」は、強い自我意識から生まれる慢心のことを意味しており、煩悩を七種に分けた「七慢(しちまん)」の内の1つなのだそうです。
それが日常生活の中で使われるうちに、現在の様な「辛い事を耐え忍ぶこと」と言った意味に変わっていったそうです。
「我慢」浄土真宗本願寺派(西本願寺)Website 仏教語豆事典 より
挨拶
驚く事に「挨拶」も、仏教用語から来ている言葉だそうです。
「挨拶」は前にあるものを押しのけて進み出ることを意味し、禅宗の「問答によってその力量を測る」意の語として用いられ、そこから言葉のやり取りを意味する現在の「挨拶」の意味になったとのこと。
「挨拶」浄土真宗本願寺派(西本願寺)Website 仏教語豆事典 より
さて、今回ご紹介した仏教由来の言葉「縁起」「我慢」「挨拶」は、これから新しい環境で生活をスタートさせる人々にとって、大事にしたい言葉や意識ではないかと思い、選んでみました。
これらの言葉の本来の意味を知り、新たに始める生活の、心の糧にして頂ければ幸いです。