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恐い話...

日本では昔から、夏の暑さを忘れる為に恐い怪談を聞いたり、話をしたりする事があります。そこで今回は、本ブログでも「恐い話」をご紹介。とは言えいわゆる怪談話ではなく、通訳の現場やビジネスで実際にあった「恐い話」ではありますが...

恐い話
通訳業界・派閥編

どの世界でも派閥はありますが、通訳業界にもあります。お世話になっている先輩や先生、よく組む相手等によるなんとなくのグループ的なモノになりますが。

初めて会った、特にベテラン層の通訳者に自分の「所属」を明かすと、そこで会話がプッツリと途絶えたり、相手の顔色が変わったりしたのを感じたことはありませんか? 

または、知らずに相手の気に入らないことをしたり、言ってしまって、殺気を感じたことはありませんか?

特に同時通訳の場合、狭いブースの中で仕事をするので、相手のそう言った気配も敏感に感じ取れる場合があります。

弊社代表通訳の右田は、以前、アメリカ・ニューヨークをベースに活動していました。

その頃の話ですが、先輩通訳者 何人かとご飯をご一緒する機会があり、おとなしく先輩たちの会話を聞いていたら、その場にいない人の噂話しばかり。

それも仕事とは全く関係ない意味不明な評判を落とす文句のオンパレードと言う事があったそうです。その時、弊社代表の右田はまだ駆け出しでしたので、余計な事は言うまいと息を殺してやり過ごしたそうです。

実力社会が基本の通訳業界ではありますが、首脳会議・オリンピックなどブランド案件獲得の攻防も一部では激しいですし、好き嫌いの激しい通訳者の逆鱗に触れると、大変な目にあう場合もあります。

もちろん経験も実力もある立派な通訳者は、他の実力のある人を恐れたりはしませんし、経験の浅い人と組まされても文句を言う事もありません。

しかし、オイシイ仕事だけをしたい有閑マダム的な方々は、経験の浅い人と組まされると自分が軽んじられたと思うのか、ちょっとでもその人の態度が気に入らなければ、周りにあることないことを吹聴し、評判を落としにかかったりします。

これは海外の場合だけではなく、日本でも年功序列的な考えが強く残っているため、古参の通訳者の意見を尊重するあまり、若い人が締め出しを食うことも残念ながら少なくありません。

恐い話
ビジネスマナー編

これは通訳業界に限った事ではありませんが、どの国や言語にもビジネス・マナーと言うモノはあります。

英語の場合、上司や同僚をファーストネームで呼んだりする光景を、ドラマなどのビジネスのシーンで見る事がある為なのか誤解される方も多いのですが、相手にファーストネームなど「〇〇と呼んでください」と言われるまで、一般的に Mr, Mrs/ Ms, Dr, Prof, と言ったなんらかの敬称を付けるのがマナーです。

  • 男性には一般的に Mr :ミスター
  • 医師や医療関係の先生には Dr:ドクター
  • 大学の教授や専門領域のある先生には Professor / Prof:プロフェッサー
  • 女性の場合は Ms:ミス
    (未婚・既婚関係ありません)
    ※既婚の場合は Mrs:ミシズ の敬称を使う場合もあります。

もう少し複雑なルールもありますが、これがまず一般的な英語での敬称ルールと受け止めていれば間違いはありません。

ジェンダー代名詞
プロナウン(pronoun)

オリンピックでも話題となった、性別に関連する代名詞

  • 男性代名詞=He, Him
  • 女性代名詞=She, Her
  • 男女の性別に捉われない(Nonbinary)代名詞=They, Them

ソーシャルメディアやメールの署名欄に自分のジェンダー代名詞を記載している人も、昨今見かける事もあると思います。

しかし、残念ながらオリンピックでも多くの解説者が間違えたことが問題になりました。第三者について話す場合は、コレも気を付けなければならないポイントです。

オンラインでのやり取り

最近はビジネスでも、メールやチャットなどのツールを使ってやり取りをする場合が多々あります。

オンラインの場合、相手が明らかに年下の場合であれば名前(First Name)だけで呼んでも問題ありませんが、年上、または年下であっても著名なキャリアのある方なら敬称を付けた上で、名字(Last Name)で呼ぶのが通常です、

しかしオンライン上では、アイコンに若い時の写真を使っていたりする場合もあり、相手の実際の年齢や、キャリアがわかりずらい場合があるので、注意が必要です。

例えば実は年上の相手に対して、敬称なし+愛称(例えば英語だったらトーマスをトムなど)でメッセージを送ってしまったり、オンラインの気軽さで、いわゆるタメグチでメッセージを書いてしまうと、常識を疑われてしまいます。

タメグチ
ドン引き

タメグチの事は英語で He/She/They spoke disrespectfully または casually と言います。

disrespectfully は非常に強い表現で、同等以下扱いの物言いをされて、怒っている場合に使われます。

ちょっと気にさわると言った場合は He/She/They was too forward / too casual と表現する場合が多いです。

too forward は前へ出過ぎ、つまり上下関係や人との距離間を無視している。too casual は馴れ馴れしく接近してくることを意味します。

でもビジネスの場では、具体的にそう言った事を指摘する事は少なく Unprofessional の一言で終了する場合の方が多い様に思います。

また、日本語で良く言う「ドン引き」ですが、英語では He/She/They came out of nowhere (and said 〇〇) または He/She/They annoyed me=(彼/彼女/彼らの言動で私は)気分を害した がよく使われる表現です。

恐い話
通訳業界・クレーム編

クレームはけして嬉しい事ではありませんが、場合によっては非常にためになったり、仕事の在り方を正すきっかけにもなったりするので、一概に悪い(恐い)話とは言えません。

しかし、ちょっと戸惑う様なクレームがあるのも事実です。

例えば、ミーハングループが受けたクレームの中では以下の様なモノがありました。

  • 要人が参加する式典での同時通訳案件にて、外から見えない様にガラス面にスモーク加工された同時通訳ブースに、ぼんやりと映った通訳者の影が「絵になってない」とのクレームがあった。
  • とある大企業の倒産会見及び投資家会議で、通訳者の姿勢が良くない、顔が怒っている様に見えるとのクレームがあった。


倒産会見及び投資家会議については、非難する様な意見や質問が矢継ぎ早に飛び交う騒がしい会場で、マイクなしで行われており、聞き取りにくい内容を逐次(ウイスパリング)で次々に訳さなければならない状況だったので、通訳者の顔が怒っている様に見えたのだと思います。

加えて雑音だらけの会場にて、壇上の長いテーブルの向こうの端の人の発言を聞き取る為、顔を知らず知らずしかめてたことも影響したのかも知れません。

会見などでステージや見える場所に通訳者が一緒に上がると、この様なクレームが発生する場合もあります。

しかし要人が参加する式典では、通訳ブースのスモーク加工されたガラス面に、薄っすら映った影が「絵になっていない」とクレームが入った訳ですから、ブースの中に居ても安心できるとは限りません。

通訳ブース・イメージ
仮設で設置される下の写真の様なタイプもあります。

ガラス面が透明なタイプの通訳ブースもあります。

いずれにしても通訳案件では「通訳内容」についてのクレームではなく、姿勢や表情などのクレームも実は多いのです。

フラストレーションを
感じた時の英語表現


この様な理不尽な状況にフラストレーションがたまった時、使える英語表現の例を最後にご紹介したいと思います。

  • to nitpick about 〇〇
    to nitpick は、マイナスのこだわり(小うるさい、あらさがし、いちいちケチをつける)と言った意味として使われます。因みに一般的な(良い意味も含む)「こだわり」は to be very particular about 〇〇 になります。
  • 〇〇 is just impossible
    「誰々にはもう付き合いきれない」「付き合うのが不可能」「ラチがあかない」と言った時に使います。
  • 〇〇 is just too much
    「もうやってらんない」「〇〇が過ぎてもうイヤ!」と言う意味です。
  • to push one's buttons
    これは 〇〇 is just impossible / 〇〇 is just too much の両方の意味で使える表現です。

こういう表現は出来るだけ使いたくないですが、言えないとフラストレーションがたまりますから、タメグチで話せる相手に、時々愚痴るのも大事ですよね。

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