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仏教 から派生した言葉

言葉の表面上の意味だけでは、分かり得ないルーツ / 語源の言葉があります。興味深い語源を持った言葉は世界中にありますが、今回は日常的に使われる仏教由来の言葉について、幾つかご紹介。また「心」を使った日本語の英訳例等もご紹介したいと思います。IcysummerによるPixabayからの画像)

仏教由来の言葉

日常で使われる慣用句や表現には、意外なルーツを持つ言葉があります。

以前、当ブログでは歌舞伎由来の言葉や、シェイクスピアの戯曲から派生した慣用句などをご紹介しました。

今回紹介するのは、日常で使われる仏教由来の言葉です。

じつは身近な仏教用語 (日蓮宗 Website )
意外と知られていない日常で使われている「仏教用語」ランキング 1位から10位(2015年05月19日 goo)

「玄関」など、これも?と言った言葉が、上記記事では紹介されています。

コトバンク / 日本大百科全書(ニッポニカ) より

玄関
仏教における玄妙の道に入る入口、すなわち仏門に入る入口を意味することから、方丈への入口を玄関とよんだのが初めである。

https://kotobank.jp/word/%E7%8E%84%E9%96%A2-60356

また 上位TOP3に選ばれた言葉、3位(同率)「四苦八苦」「愚痴」、2位「安心」、1位「有頂天」については、以下 YouTube 大乗寺真宗寺チャンネル の動画にて、大乗寺のご住職と真宗寺のご住職が解説されています。

英語で四苦八苦

愚痴は文脈にもよりますが complain と英語では訳される事が多いです。

では「四苦八苦」はどうでしょう?まず「四苦八苦」の日本語での意味を確認してみます。

四苦八苦

コトバンク / デジタル大辞泉
非常に苦労、また、苦悩すること

コトバンク / 精選版 日本国語大辞典
非常に苦しむこと。また、苦労すること

https://kotobank.jp/word/%E5%9B%9B%E8%8B%A6%E5%85%AB%E8%8B%A6-72853

もちろん仏教での言葉の意味も掲載されていますが、日常で使う場合は「苦労している / 苦しんでる」と言った意味で、「四苦八苦」は使われる事が多い言葉です。

「四苦八苦」を英語にする場合は、一般的に言えば struggle hard , pain などの表現を使って訳す事が出来ますが、前後の文脈によっては difficultyflounder または hardship / going through hardship を使って訳す場合もあります。

つまり「四苦八苦」と言う表現を使って、何を伝えたいかによって、選ぶ英語表現は変わると言うことです。

心がつく言葉の
英語表現

日常でつかわれている仏教用語、第2位にランクインした「安心」も「心」がついた言葉です。

安心は peace of mind / relief / reassurance / ease / security 等と訳す事が出来ますが、これも もちろん前後の文脈で、言葉の選択は変わってきます。

以下にて、幾つか「心がつく日本語」の英訳例をご紹介しますが、これらの言葉も前後の文脈によって言葉の選択が変わる事は、ご理解下さいませ。

  • 心温まる(心暖まる)
    heart-warming、
  • 心がけ
    be right-minded / be prudent / be provident
  • 心がける
    try
    《米》 endeavor
    《英》 endeavour ((to do))
    〔心に留める〕bear [keep] ((a matter)) in mind
    〔将来に備える〕provide for
    〔気をつける〕be careful
  • 心構え
    〔心の準備〕one's attitude
    〔用意〕preparation, readiness / one’s mental preparedness
  • 心配り
    〔配慮〕consideration
    〔気遣い〕thoughtfulness
  • 心強い
    〔自信をもたせる〕reassuring
    〔励ましとなる〕encouraging
  • 心遣い
    consideration; thoughtfulness
  • 心無い
    〔無情な〕heartless, hardhearted, merciless, unfeeling
    〔思いやりのない〕inconsiderate
    〔思慮のない〕thoughtless
    〔無責任な〕irresponsible
https://dictionary.goo.ne.jp/srch/en/%E5%BF%83/m0p1u/

Avatar
アバター

映画のタイトルでもお馴染み、またSNS等やバーチャル空間で自分自身の分身を表すキャラクター等を指す場合にも使われる「Avatar / アバター」も、実は仏教由来の言葉です。

コトバンク / ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

アバターラ / avatāra
サンスクリット語で権化,化身,降臨の意。
神が世を救うために,幾度もこの世に姿を現すこと。インド思想史上,この考え方は,有力神が他の多くの神々と同一視されたことに端を発する。特にビシュヌ信仰に顕著で,大慈悲をそなえたビシュヌ神は,悪人を滅ぼし,善人を救うために,重要な相として,通常,魚,かめ,いのしし,人獅子,こびと,パラシュラーマ,ラーマ,クリシュナ,仏陀,カルキの 10種の姿でこの世に降臨したと信じられている。

https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%A9-26526

大谷大学 Website より

「アバター」 門脇 健(教授 哲学)
「アバター」(avatar)はサンスクリット語のavatāraを語源とする。仏教漢語の「権化」「化身」に対応する語である。つまり、真の世界の存在が仮の人間界に現れる姿をアヴァターラと呼び、ヒンドゥー教では、この世に現れたゴータマ・ブッダもヴィシュヌ神の十のアヴァターラのうちの一つとしている。

https://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq000001waea.html

from Cambridge dictionary
avatar noun
an image that represents you in online games, chat rooms, etc. and that you can move around the screen:

especially in Hinduism,
a god who appears on earth as a person

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/avatar

英英辞典にも簡単に avatar の言葉の由来が書いてありますが、この言葉の語源について日本以外の国の方々と会話するのも「異文化コミュニケーション」の話題としては面白いかも知れません。

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